2024年マイベストソングランキング
音楽サブスクが2024年ベストソングランキングを発表すると、いよいよ今年も終わるなあという気持ちになります。せっかくnoteを今年つくったので、音楽に紐づく記憶とともにここに記録しておく。
10位 『絶絶絶絶対聖域』ano, 幾多りら
アニメ映画『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』のタイアップ曲。その映画の主演声優であるあのちゃんと幾多りらがツインボーカルを務めるという、2020年代のエンタメ業界の粋を集めた曲。ano自身が作詞した歌詞、これは見事に作中の主人公2名の関係性を象徴しており、何度でも聴ける名曲だった。凛として時雨のTKが作曲した曲調はウルサメのアッパーな感じでシャウトとかもしているのだが、ボーカルの声質のおかげで驚くかなバラードを聴いているかのような心地の良さ。
上記のサビに象徴されるようなある種の友情やシスターフッドブラザーフッドに対するラブソング感があり、そして現在の憂うべき世情も踏まえていることもあり、単にタイアップ先の作品の曲というところから抜け出して一般的な訴求力を持った名曲であったため、かつてのおもかげ的なコラボのような2024年紅白歌合戦での披露を期待していたのだが残念無念。
9位 『毎日』米津玄師
「おッコーヒーのCMで聴いたことがある曲をSpotifyで聴くか」とポップな音楽が聴けると思ったら、「クソボケナス!!!」「毎日!!毎日ィ!毎日ィィ!!」とハリウッドザコシショウのヤバいサラリーマンみたいな曲を聴かされるという衝撃的な曲との出会いをした。ともかく私にとっても20代が終わった2024年。30歳にもなれば、日々の刺激はなくなり単調な毎日になるのは誰でも抱く環状な気がしており、米津玄師33歳ですらそんな風に思うんだと感じる灰色の毎日をうたった楽曲。石川啄木の「はたらけど はたらけど猶 わが生活 楽にならざり ぢつと手を見る」という短歌からの引用があり、まさに令和の労働歌たる名曲に仕上がっている。
全体的に非常に灰色な激務サラリーマンが満員電車に詰め込まれる情景が目に浮かぶネガティブな歌詞なのだが、サビだけは明るい曲調が維持されて、上記引用部のように歌詞もちょっとポジティブになって、それでもたまに楽しいことがある毎日みたいな感じを受けて良い。まさに令和のプロレタリア文学ソングである。
8位 『feat.あなた』名誉伝説
ありとあらゆるネット媒体に採用されているサジェスト機能はフィルターバブルとエコーチェンバーを増長する憎むべきものであり、我々の可処分時間を奪う唾棄するものであると思っているのだけども、音楽ストリーミングサービスのサジェスト機能だけは認めることができるのは、Spotifyのそれのおかげで名誉伝説というバンドを知ることができたからである。聴いていて心地よいという形容しかできない歌声とポップなメロディーで、そして何をうたっているのかというと日常生活のモチーフを使ったラブソングという、何度でも繰り返し聞きたい楽曲を生み出すバンドであるそのバンドの姿勢を最も顕著に示している楽曲がこの『feat.あなた』という曲。直接的な愛情表現はないのだが、毎日いろいろな場面であなたのことを思い出すという描写から、どうしようもない愛の深みを感じる。
たとえば上記の引用部では、神経衰弱という全国民が遊んだことのあるゲームをモチーフにして「あなたの存在が頭から離れない」という直接的な比喩をしながら、神経衰弱それ自体が「街中であなたみたいな後ろ姿を見かけると違う人でも目を追ってしまう」という日常生活であなたを忘れられないことの間接的な比喩になっており、意味の分からない入れ子構造ラブソングになって頭がおかしくなりそうで、それ自体もまさにあなたを忘れられないことを体験させられているようで…というスゲー曲。
7位 『more than words』羊文学
2023年から生き残った唯一の曲。呪術廻戦の最終章の連載が始まったあたりと推しの子第2期のエンディングだった『Burning』がリリースされたあたりのタイミングで、年を通じて聴いていた記憶があり。呪術廻戦はスゴイ好きだったけど羊文学はそうでもなかったのになぜここまでハマったかというと、以下に引用したサビのフレーズが、フレーズが呪術廻戦という作品の核を黒閃ばりに捉えている一撃を放っているからだと思う。
アニメで描かれた渋谷事変編でもはや主人公と思えないほど精神を打ち砕かれる虎杖、原作でも最終決戦でラスボスから「良かったな 役割が与えられて」とか言われるとかいう観たことのない主人公になるのですが、そのあたりの切なさが描かれておりとてもよい。毎週毎週失われていく原作の展開にもマッチしており、今後もずっとこの曲は呪術廻戦公式ソングとし君臨していただきたい。
6位 『ライラック』Mrs.GREEN APPLE
物凄い勢いでスターダムを駆け上がっていき国民的バンドの座を不動のものにしたMrs.GREEN APPLE、5人組体制のときからウォッチしている人間としてはいやはやという感がするものである(古参アピール)。この曲が配信された週にSpotifyで聴いたのだけれど、「これは激ヤバ名曲だ・・・」と思った自分の直感は正しく、今年を代表する国民的ヒットソングになった。
「大人になってから青春時代を思い返す」という内容の曲にノスタルジーを感じる年齢になったのもあるだろうが、そのノスタルジーさの直接的な引用先として、5人組時代の『青と夏』が参照されているのが素晴らしい。単純に青春時代の象徴としても、バンドの歴史時代にも重ね合わせることのできる素晴らしい構成であり、大ヒットも納得。そして今年の紅白歌合戦では、この二曲のメドレーということで、素晴らしいパフォーマンスになると思います。
ちなみに同じ名前の曲では美波の『ライラック』もだいぶと好きでした。ライラック最高!!!
5位 『さよーならまたいつか!』米津玄師
朝ドラ「虎に翼」の主題歌なのだが、「虎に翼」は1ミリも観ておらず単純に曲が良くて聴きまくっていたら何故かたくさん聞いていたようだったいう比較的に珍しいタイプなファンな気がいたします。さすが朝ドラの主題歌なだけありまして、毎日聴いていても聞き心地がよく、特にサビのメロディーラインは非常に気持ちいい。一見するとキャッチ―なポップソングなのであるが、歌詞に通底するメッセージは力強いものである。はかとなく自分にないものを追い求め、決してそれを手に入れるまであきらめないという気持ちが描写されている。
そのような歌詞とメロディーの妙によって、単なる朝ドラ「虎に翼」主題歌から脱色された普遍的な応援歌たる曲になっている。米津玄師の技術力はやはり目を見張るものがあり、それを紅白歌合戦という舞台で観れるのは2024年最後の楽しみです。
4位 『ナビゲーター』名誉伝説
名誉伝説というバンドとの出会いはすでに述べたので割愛する。これも名誉伝説ならではの愛情を日常に落とし込んだ珠玉のポップソングといえる。カーナビを使ったドライブ、パートナーとともに歩む人生に例えており、その引き出しの多さと発想力はほんとに感銘を受ける。ほんとうにフレーズごとに例えが散りばめられており、これはもう引用の要件を満たさないレベルで引用したくなる曲と言っても過言でもない。
最も素晴らしいフレーズは、Cメロの上記の引用部である。ドライブが全て楽しいものではないのと同様に、パートナーとの歩みの楽しいことばかりではない。それを「渋滞」というキーワードで見事に表現をしており、聴いたら全員がすっと理解できるキラーフレーズ・・・素晴らしいです。よくわからないけど作詞しているメンバーはたとえツッコミとかもできそう。
3位 『YOU&愛Heaven』ano
2023年から2024年への年跨ぎのCDTVで披露しており、元旦から配信スタートしていた曲。2024年前半に聴きまくっていた曲。世間的にはハネた曲ではないけれども、本人の作詞作曲した楽曲ということもあり、本人の今の気持ちがすごく出ていて胸に刺さった。なんとなくデビューまでのストーリーを知っているくらいなのてすが、タレントとしてもアーティストとしても誰かに光を当てる側の立場になる決意の裏返しのような曲な気がしてすごく好きな曲。
どこか「機動戦士ガンダム 水星の魔女」のスレッタマーキュリー感と神聖かまってちゃん感があるのだけど、このフレーズと歌い方にこの曲のメッセージが強調されているような気がしてすごく好きなところ。あとは、サビの「I want to Heaven」というフレーズに違和を感じてしまうのですが耳で聴く分には「I want Heaven」になって違和感が消えるのでオーケーです。
2位 『青春謳歌(feat.ano)』幾多りら, ano
アニメ映画『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』のタイアップ曲その2で、anoの曲でいうとその3。世間一般的にもあのちゃんが売れに売れた2024年であったものの、当方においてもそれは例外ではなかった。この曲は二人の駆け合い歌唱がとても気持ちよいのが特徴的で、その曲名に負けない青春感を醸し出しており、月並みな表現をすればあるいはもはや死語かもしれないが、とにもかくにも「エモい」のである。
この曲は「デデデデ」の主人公2人の関係性を表象した曲で、二人の駆け合い歌唱と歌詞に散りばめられたキーワードに要素によって、作品の中身を思い出してしまう。もはや映画の延長線上といっても過言ではない。とにかく「デデデデ」のアニメが各種サブスクでの配信が始まったので、年末年始に観ようと思います。
1位 『あわいに』TOMOO
2024年に出会うことができてスゴイ良かったシンガーソングライターTOMOOの2024年リリース曲。本年に生み出された曲のなかでポジティブ性の強い究極のポップソングと言っても過言ではないと思う。自分は朝の通勤中音楽を聴くことが多いのだけど、朝に聴きたい曲ランキング堂々たる第1位に輝くべき曲であり、まさに今年は文字通り毎朝聴いておりました。
この曲のとんでもな素晴らしいところは、各サビのラストのフレーズに凝縮されております。
引用部はこの曲のラストフレーズであるが、そこに至るまでの各サビのラストにおいて、「楽しくなる余地ばかりのこの世界で」「仲良くなる余地ばかりのこの世界で」「味わう余地ばかりのこの世界で」というフレーズが繰り返されており、この曲の精神性を如実に表している。このフレーズに凝縮されたポジティブさは、むやみやたらに「がんばれ」を押し付けるような無責任なものではなく、ネガティブを反転させたものであることが特徴的で好みなポイント。「余地ばかり」といワードによって、今の世界は楽しくなく仲良くなく味わえていないネガティブに捉えているように感じる。特にBメロでうたわれているこの世界の人々を花に喩えている歌詞を踏まえれば、We are the worldに比肩しうる世界平和を謳った曲といっても過言ではない(大マジメに言ってます)。激ヤバ出来事が次々と起こる2024年であるけれども、このような世界の捉え方をすれば、絶望ばかりせずにすむという曲であり、これぞポップソングのあるべき姿だ!!と思った名曲です。