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データサイエンスは今後ビジネスでどのように貢献するのか?

こんにちは。くにです。
みなさん、ビジネスでデータサイエンスの実践をされていますか?
ここ数年で、「データドリブン」というキーワードを付けた様々な取り組みが注目されてきました。また、機械学習技術をシステムに組み込むための実証プロジェクトも数多くあったかと思います。

しかしその一方で、数年前に始まったAIブームも落ち着き始めています。様々なデータサイエンス関連のプロジェクトや組織では、このトレンドの影響を受けているのではないでしょうか?

バズワードと共に盛り上がったビジネス領域は賞味期限があるものです。では、そのお祭り騒ぎが終わった後にそのビジネスはどうなるのでしょうか?

私は以下の2つの道があると考えています。

一つ目の道:全体最適のコンセプトに統合される道

一つ目の道は、新しく輝かしいコンセプトがどこからともなく提示され、そのコンセプトに統合される道です。実際、データ分析や機械学習技術は、少し前からAIでなくDXの文脈で語られ始めました。それが適切どうかはさておき、こうしたことは遥か昔から繰り返されてきたことなので驚きはありません。本質的な合理性はひとまず脇に置けば、時流に乗った「冠」を付けることは、マーケティングの上で効果的でしょう。それが向けられる先は、組織内部向け・外部向けを問いません。

特に、ITの分野は様々なコンセプトが提示されてきました。例えば、「デジタル化」「DX」というキーワードとそのコンセプトを目にして、かつて注目を集めた「エンタープライズアーキテクチャ(EA)」を連想した人もいたのではないでしょうか。
こうしたコンセプトの狙いは、いずれもビジネスの優位性を築くために技術を活用することです。そして、そのために全体最適を目指す取り組みです。なぜこうしたコンセプトが数年毎に発明(あるいは再発見)されるのかといえば、全体最適を成すことが本質的に難しいからだと思います。

確かに、部分最適はコストが膨らんだり、組織としての方向性がぶれたりするなどの弊害があります。したがって、全体最適を目指すことは理想的と言えるでしょう。

しかし、全体最適を実現するための青写真を描き、それを実装まで持っていくには相当のコストと時間がかかるはずです。特に、組織が大きくなればなるほど難易度が上がるでしょう。仮に全体最適が成し遂げられたとしても、その時にまた新しいビジネストレンドや技術が生まれているかもしれません。

実に難しいテーマだと思います。

二つ目の道:特定領域に自然に組み込まれる道

もう一つは、特定の領域に対して、技術が自然な形でビジネスに組み込まれていく道です。お祭り騒ぎのような注目は集めないかもしれませんが、インハウスの特定の業務で欠かせない存在となります。つまり、部分最適の末の定着です。
一つ目の道ほど「大きなビジネス」に見えないかもしれませんが、より実用的で頑固な取り組みとなるでしょう。

周りを見渡してみれば、データを使った分析が必要な領域では、ブームと関係なくデータサイエンスが定着していることがわかります。例えば、マーケティングでの需要予測、医療分野の治験、Webサービス企業でのA/Bテスト利用、ECサイトのレコメンドなどです。

その課題が顕在化しているか潜在的であるかを問わず、ビジネスに必要なテーマは残るものです。ビジネス分野においては、いくら技術的に画期的であっても、組織やビジネスに貢献しない取り組みはいつかなくなってしまいます。逆に残るテーマというのは、特定のビジネス課題にガッチリと刺さって抜くに抜けない状態になっているものではないでしょうか。

AIブームによる過剰が期待とお祭り騒ぎが終わった後、後に残るのはそのビジネスに本当に必要だった取り組みだけだと考えています。そして、ブームと関係なく、まだ人知れずに、データサイエンスの適用を待っているニッチな課題がどこかに眠っていると、私は信じています。

ニッチだがビジネスに貢献できる応用を目指す

私が現職で目指しているのは、二つ目の道、つまりデータ分析や機械学習技術がビジネスで恒常的に利用される領域を見つけてソリューションを作ることです。これは個人的な戦略や考えに基づくもので、組織目標とは一線を画しています。一言でいえば、技術を刺せば大きく改善するようなビジネス課題を見つける戦略です。ニッチとも言えますので、伝統的な営利企業でこれを目指すのは至難の業です。

振り返ってみれば、データサイエンスを始めたときからこちらの道を探し続けてきたような気がします。これまで幾つかのニッチな領域にデータサイエンスの活路を見出してきましたが、いずれも以下のような小さな発想に基づいたものでした。

「この業務課題はルールベースでは実現できない。統計的なアプローチが使えないだろうか?」
「IT適用の歴史が長いこの業務で、まだシステム化できてないプロセスは何だろうか?」
「○○分野の技術応用例で解決されている課題が、△△分野の課題に似ている。上手く転用できないだろうか?」

このようにして見つけたデータサイエンスの活用先というのは、世間的に見れば非常に小さな領域でした。中には、ビジネス的に投資回収が折り合わないものもありました。
その取り組みはとても全体最適とは言えませんでしたが、その中で残ったテーマは業務プロセスの一部を部分最適化しつつも、業務全体の方向性を緩やかに支援するものでした。部分であることには変わりないのですが、やっていることの価値は全体に寄与するものだったと言えるでしょう。

なぜ二つ目の道を探索しているかと言うと、私個人の関心が常に「実用」に向いていることが大きいと思います。また、ふんわりしたコンセプトを立てるのが苦手なことも影響しています。正直に言えば、純粋なビジネス系のコンサルの方ほどの発想力がないのかもしれません。
この弱点は、ここ数年の実務で嫌というほど痛感しました。SEからキャリアを始めたこともあり、どうしても現場実務、運用の観点でテーマを絞ってしまうのです。今の仕事の中でも上流の案件も増えていますが、あくまで技術コンサルティングという立ち位置になるかと思っています。

さて、このような効果的な「技術の刺しどころ」を見つけるためには何が大切になるでしょうか。私の狭い経験を振り返って考えてみると、以下のようなマインドセットが重要ではないかと思いました。

・ビジネスプロセスの非効率な部分や穴を見つけようとすること。
・技術に対して、仕組みだけでなくその応用方法に重きを置いて学ぶこと。
・狙っている業務の実務担当者の生の声を聴くこと。
・技術に対して、複数の分野での応用例を把握しておくこと。
・疑問に思ったことに対して、「もし○○だったらどうなるだろうか?」という "What if" の発想で考えてみること。

今回はふと思いついたことを赴くままに書いてみました。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

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