坂本図書
坂本図書とは坂本龍一氏が2017年ごろから着手されていた、自身の本を多くの人と共有するための空間のことである。2023年にオープンしており、そこには坂本が読んできた多くの本があった…
図書空間『坂本図書』は極めて個人的な展示ということで場所は非公開という、非常に閉じた空間だ。都内の雑居ビルの一室にあり、「こんなところにあるのか」という印象を受けた。
予約の枠は3時間。途中退出可とのことだったので途中タバコ休憩にでも行くかと思っていたが、入室した瞬間からその蔵書数、空間の雰囲気に圧倒され、結局休憩などする必要がなかった。
どこまで蔵書について触れていいのかわからないが、画集や写真集、漫画から人文領域の本まで幅広く数百冊の本が置かれていた。彼はヴィトゲンシュタイン、フーコーが好きだったのかと推察できる程度にはその2人に関する本が多かった。そして室内では坂本が最後に残したアルバム『Opus』の曲が流れていた。坂本が愛飲していたというワイン、コーヒー、緑茶を飲むこともできる。
私は坂本が愛用していた椅子に3時間座り、じっくりと本を読んだ。坂本の脳を、考えていたことを探るような時間であった。
閉ざされた空間故に、あまり多くのことは書けないが、ただまた行きたいと思える場であった。