坂本図書とは坂本龍一氏が2017年ごろから着手されていた、自身の本を多くの人と共有するための空間のことである。2023年にオープンしており、そこには坂本が読んできた多くの本があった… 図書空間『坂本図書』は極めて個人的な展示ということで場所は非公開という、非常に閉じた空間だ。都内の雑居ビルの一室にあり、「こんなところにあるのか」という印象を受けた。 予約の枠は3時間。途中退出可とのことだったので途中タバコ休憩にでも行くかと思っていたが、入室した瞬間からその蔵書数、空間の雰囲
はじめに2023年3月28日にこの世を去った坂本龍一。彼の代表作は何かと問われれば、Yellow Magic Orchestra時の作品や映画のサウンドトラック、ソロ作品など様々な作品が浮かぶだろう。しかし、そうした音楽は彼の本来目指していた音楽だったのだろうか。彼は晩年に至るにつれて、ノイズや残響を取り込んでいるような前衛音楽、現代音楽的な作品を残している。これはポストモダンと言われる時代にミュージシャンとしての活動をスタートした坂本が真に嗜好する音楽が晩年に至るにつれて