20年の仕事をふりかえる11
予備校にデザインが必要なの?と皆さんは思うかもしれない。
弊社は十数年にわたり松尾学院さんの運営する東進衛星予備校の校舎を多数設計してきた。東進はフランチャイズ制で、各地のフランチャイジー加盟校が全国で校舎を展開している。それぞれの校舎を別々の経営会社が運営しているので、東進衛星予備校どうしもライバル企業ということになる。少子化の影響もあり、加盟校どうしの生徒争奪戦は過酷なものとなっている。東進は録画された授業をインターネットを通して受けるシステムなので、どの加盟校でも同じ授業を受けることができ、サービス内容で差別化することは難しい。「同じ授業を受けるなら、こっちの校舎に通いたい」校舎のデザインで差別化しようというのが松尾学院さんの戦略。
松尾社長の思惑は見事に的中し、夏期講習の生徒数 日本一の記録を更新するなど、様々な記録を樹立し続ける。予備校にデザイン性を取り入れるという戦略は完全にブルーオーシャン、今では松尾学院の校舎が近くにできると聞けば他の加盟校が撤退を考えるという無敵状態になった。
この十数年、松尾社長にはデザイナーとして鍛えて頂いた。毎回違うテイストのデザインに挑戦させて頂き、他の経営者であれば「まさか予備校にこんな尖ったデザインを導入するのの?」と眉をひそめられそうな提案にも「面白いな、やろう」と言って下さる。
今の私があるのは松尾社長のおかげだと思う。
東進衛星予備校 千里山田校
https://ktx.space/2015/03/02/creating-an-illusion-of-floating-in-a-zero-gravity-environment-2/
#20年間の仕事をふりかえる