計画相談員の役割とセルフプラン
計画相談員
計画相談員は、障がい福祉サービスを受ける際に必要な計画を立案し、適切なサービスを利用者に受けたいただくための支援を行う専門家です。
計画相談員の主な役割は以下の通りです。
利用者のニーズ把握
利用者の生活状況や障がいの程度を把握し、どのような支援が必要かを評価します。サービス計画の作成
利用者のニーズに基づいて、適切な福祉サービスの利用計画を作成します。サービス提供の調整
福祉サービス提供者と連携し、サービスが適切に提供されるよう調整します。モニタリングと評価
サービス利用後も定期的に利用者の状況を確認(モニタリング)し、必要に応じて計画を見直します。
セルフプラン
セルフプランとは、計画相談員を介さずに利用者自身が福祉サービスの計画を立てる方法です。
主要都市では、計画相談員の不足により、「セルフプラン」を採用し、障害福祉サービスを提供しています。
セルフプランには以下のようなメリットとデメリットがあります。
メリット
迅速なサービス利用
計画相談員を介して申請する必要がなく、ご自分で申請するため、早期にサービスを利用できる。自主性の尊重
自分のニーズや希望に基づいてサービスを選択することができる。
デメリット
情報の不足
セルフプランでは、利用者自身で自分に合ったサービスを探す必要があります。そのため、ご自分にどんな福祉サービスが必要なのか、その困りごとを解決する障がい福祉サービスはあるのかなどの情報を調べ、把握していないと、適切なサービスを選ぶことが難しいです。計画の質の低下
専門知識が不足しているため、サービス計画が効果的でない場合があります。負担の増加
障がい福祉サービスは多岐にわたっており、かつ、事業所ごとにもそれぞれ特徴があります。そのため、ゼロからご自分の力で調べていくは、時間と労力がかかるため、利用者にとって負担が非常に大きくなってしまいます。
計画相談員の重要性
計画相談員が担う役割は、セルフプランでは代替できない重要な部分があります。
以下にその具体例とデータを挙げます。
利用者A(身体障がい者)
背景
40歳の男性、交通事故で下半身不随となり、自宅で生活を続けたいと希望。計画相談員の介入
計画相談員が適切なリハビリテーションと在宅介護サービスを提案し、生活環境の改善も含めた総合的な計画を作成。結果
Aさんは自立した生活を送ることができ、生活満足度が向上。
利用者B(知的障がい者)
背景
25歳の女性、親元を離れてグループホームでの生活を希望。計画相談員の介入
計画相談員がグループホームの選択肢を提供し、日中活動のプログラムも組み合わせた計画を立案。結果
Bさんは社会参加の機会が増え、自己肯定感が向上。
厚生労働省の報告によると、
計画相談員が介入したケースでは、利用者のサービス満足度が「80%を超える」ことが多く、セルフプランによる満足度の50%を大きく上回っています。
また、計画相談員を利用することで、福祉サービスの利用効率が向上し、重複利用や無駄なサービス利用が減少することが確認されています。
計画相談員としての働き方と資格取得
計画相談員として働くためには、特定の資格とスキルが必要です。
以下にその詳細を説明します。
資格取得の方法
計画相談員になるためには、以下のステップが必要です。
学歴と経験の要件
大学または専門学校で福祉関連の学位を取得することが推奨されます。また、一定の実務経験が必要です。資格試験の受験
厚生労働省が実施する「計画相談員認定試験」に合格する必要があります。継続教育
資格取得後も定期的に継続教育を受けることが求められます。
詳しくは過去の記事をご参照ください。
結論
現在、主要都市を中心に、計画相談員の不足が不足しているため、障がい福祉サービスの利用を希望している利用者自身またはそのご家族自身が申請する「セルフプラン」が採用されることが増えています。
セルフプランには、迅速なサービス利用や自主性の尊重といったメリットがありますが、情報不足や計画の質の低下、利用者の負担増といったデメリットも存在します。
そのため、計画相談員の存在が重要になります。
計画相談員は「利用者のニーズを的確に把握」し、「効果的なサービス計画を提供する」ことで、「利用者の生活の質を向上させる」ことができます。計画相談員として働きたい方は、必要な資格を取得し、多様な働き方の選択肢を検討することで、社会に貢献することができます。
計画相談員の認知と重要性、そしてその役割についての認識を高めることは、障がい福祉サービスの質を向上させ、利用者が適切な支援を受けられる環境を整えるために不可欠です。
このnoteでは、現役の相談支援専門員としての経験をもとに、福祉サービス提供者のための実践的なガイドやノウハウを発信しています。
就労支援の管理者兼サービス管理責任者としての4年間、計画相談員としての2年間の経験を活かし、職場改革に必要な知識を共有しています。
障がい福祉サービスに従事したい、障がい福祉事業所の開設を考えているという方は、コンサルティングも提供していますので、ぜひご相談ください。
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