障がい福祉サービスの種類と申請方法
障がいを抱える方にとって、「障がい福祉サービス」は非常に大切なサービスです。
ですが、
▶よくわからない
▶利用するハードルも高そう
▶そもそも自分が利用できサービスの存在を知らなかった
…ということが多いかと思います。
今回は、なるべくわかりやすく障がい福祉サービスについてご紹介したいと思います。
障福がい祉サービスってなんだろう?
障がい福祉サービスとは、
障がいのある方が生活していくための支援を受けるサービス
のことです。
このサービスは、障がい者総合支援法に基づいて提供されています。
Q、障がい者総合支援法とは?
A、障がい者総合支援法は、障がい者と障がい児が日常生活や社会生活を営むことができるよう、障がい福祉サービスなどの支援を総合的に行うための法律です。
障がい者総合支援法は、2012年6月に、障がい者自立支援法を改正するかたちで成立しました。
その後、障がい者の定義に「難病など」が追加され、障がい福祉サービスの利用対象者となり、2013年4月に施行されました。
さらに2014年4月からは、重度訪問介護の対象者の拡大や、ケアホームのグループホームへの一本化などが実施されました。
障がい者福祉サービスの区分
障がい者福祉サービスのサービス区分は、大まかに2つに分けられます。
介護の支援を受けるための「介護給付」と、生活や仕事に関する訓練を提供する「訓練等給付」です。
介護給付 【訪問系】
①居宅介護
ホームヘルパーが自宅に訪問し、入浴・食事・排泄の介護など日常生活で困難なことを援助するサービスです。
②重度訪問介護
ホームヘルパーが重度の障がいがある方の自宅に訪問し、日常生活で困難なことを援助するサービスです。
居宅介護との違いは、外出時の移動支援や入院時の支援なども行う点です。
③同行援護
視覚障がいのある方が、外出するときに必要な情報提供や同行を行うサービスです。
④行動援護
知的障がいや精神障がいで自己判断能力が制限されている方が行動するとき、危険回避のために必要な支援を行うサービスです。
外出前後の着替えや移動中の介護、食事および排せつなどの介護、その他行動する時に必要な援助も行います。
⑤重度障がい者等包括支援
重度の障害があり、より多くの介護が必要な方に、居宅介護や行動援護など複数の支援を包括的に行うサービスです。
介護給付 【日中活動系】
①短期入所
障がいのある方を介護する方が不在のとき、一時的に施設で預かり、必要な介護や支援を行うサービスです。
②療養介護
「医療機関での医療的なケア」かつ「常に介護が必要な方」に対し、医療機関で入院した際の医療行為のほか、機能訓練・看護・介護などを提供するサービスです。
③生活介護
常に介護を必要とする方に対し、日中の入浴・食事・排泄などの介護を行うほか、創作的活動や生産活動の機会を提供するサービスです。
介護給付 【施設系】
①施設入所支援
施設に入所している方に対し、夜間や休日の支援を提供するサービスで、入浴・食事・排泄などの介助などを行います。
訓練等給付 【居住支援系】
①自立生活援助
ひとり暮らしに必要な理解力や生活力などを補うため、定期的な居宅訪問や対応をするサービスです。
②共同生活援助(グループホーム)
夜間や休日に共同生活を行う住居で、相談・入浴・食事・排泄の介護や日常生活の援助を行うサービスです。
訓練等給付 【訓練、就労系】
①自立訓練(機能訓練)
自立した日常生活や社会生活ができるように、一定の期間、身体機能の維持や向上のために必要な訓練を行うサービスです
②自立訓練(生活訓練)
自立した日常生活や社会生活ができるように、一定の期間、生活能力の維持や向上のために必要な支援や訓練を行うサービスです。
③就労移行支援
一般企業などへの就労を希望する方に対し、一定期間、就労に必要な知識や能力の向上のために必要な支援と訓練を行うサービスです。
④就労継続支援(A型)
一般企業などでの就労が困難な方に、就労の機会を提供するとともに、能力などの向上のために必要な訓練を行うサービスです。
「雇用型」とも呼ばれ、利用者は事業所と雇用契約を結びます。
※最低賃金が保証されます
⑤就労継続支援(B型)
一般企業などでの就労が困難な方に、「就労の機会を提供」するとともに、能力などの向上のために「必要な訓練を行う」サービスです。
「非雇用型」とも呼ばれ、利用者は事業所と雇用契約を結びません。
※給料のかわりに工賃が支払われます
⑥就労定着支援
一般就労に移行した方に、就労に伴った生活面の課題に対応するための支援を行うサービスです。「就職後6ヶ月以降」の方が対象となり、「利用期間は3年間」と決まっています。
サービスの対象者と利用者負担の上限
障がい福祉サービスの対象者
障がい福祉サービスの対象者は、
「障がいのある方」のほか、「難病の方」も一部対象となります。
月ごとの利用者負担の上限
障がい福祉サービスは、月ごとの利用者負担に上限があります。
この上限額は、所得に応じて以下の4つの区分に分かれます。
▶生活保護
▶低所得
▶一般1
▶一般2
自己負担分は、所得に応じて負担上限月額が設定されています。
※ひと月に利用したサービスの量にかかわらず、上限以上の負担はありません
申請の流れ、利用に必要なものなど
サービス申請の流れ
障がい福祉サービスの申請は、全国の各市区町村の窓口で行われます。
窓口の名称は、お住まいの市区町村で異なります。
担当する窓口の名前がわからない場合は、市区町村の総合窓口で教えてもらえます。
サービス利用に必要な物
障がい福祉サービスを利用するためには「障がい福祉サービス受給者証」(以下、受給者証)が必要です。
お住まいの市区町村へ申請し、認められることで受給者証が交付されます。
受給者証には、
▶利用者の情報(住所・氏名など)
▶受給者証の期限
▶支給決定期間
が記載されています。
また、サービスを提供する事業所の記載欄などもあります。
※受給者証の申請には、以下のものが必要です。
▶印鑑
▶申請者の氏名や住所が確認できるもの
▶障がい者手帳
▶医師の診断書もしくは意見書
他にも収入がわかる書類が必要な場合もあります。
市区町村によって異なるので、お近くの区役所などの福祉担当窓口にご確認ください。
Q、障がい者手帳が無いと、サービスは受けられないの?
「障がい福祉サービスの利用には障害者手帳が必要なのか?」
という質問がよくあります。
事情により、障がい者手帳を持っていないという方もいらっしゃいます。
A、障がい者手帳を持っていなくても、受給者証があれば障がい福祉サービスを利用することができます。
では、障がい者手帳を持っていない場合の受給者証の申請は、どうすればいいのか?
障がい者手帳を持っていない場合、以下の書類があれば受給者証の申請ができます。
▶自立支援医療受給者証
精神障がいの場合、自立支援医療制度の対象となる場合があります。
この制度が適用されると、通常3割負担の受診料が1割負担になります。
この自立支援医療受給者証があれば障がいの証明ができるので、受給者証の申請ができます。
▶医師の診断書または意見書
医師の診断書や意見書でも、障がいがあると証明できます。
ただし、身体障害の場合は障がい者手帳が必要となることも多いので注意が必要です。
※受給者証には期限があります
期限以降も継続してサービスを受けるためには、更新手続きをする必要があります。
更新時期が近付くと、書類などで通知が送られてきます。
その書類の指示に従い、手続きをしていきます。
困ったときは相談支援事業者へ
障がい福祉サービスの種類は非常に多く、申請手続きも複雑です。
ひとりですべての手続きをするのは、正直不安な方も多いことでしょう。
そんな時、支援を求める方々をサポートするのが「相談支援事業者」です。
この相談支援事業者に相談すると、手続きについて手伝ってもらうことができます。
※相談支援事業者については
相談支援事業者とは|障がい福祉サービスについてレクチャー (note.com)
で詳しく解説いたします。
まとめ
障がい福祉サービスについてまとめましたが、
▶サービスの区分が非常に細かい
▶誰がどのサービスを受けられるのか
▶利用者の負担する費用はどれくらいなのか
▶サービスを受けるために必要な申請方法
など、混乱してしまうと思います。
必要な人に必要なサービスを提供するために、相談支援事業者がいます。
障がい福祉サービス従事する方向けに、わかりやすく情報を発信しています。 「参考になったよ」という方はサポートしていただけると今後の情報発信の励みになります。 また、「こんなことを知りたい!」という提案も併せて承っております。