ふと、

当たり前に幸せな恋人との日々にたまにとてつもなく不安な気持ちが芽を出してくる。
君に愛されなくなる未来よりもよっぽど、君を愛せなくなる未来が怖い。

愛すのも愛されるのも下手な僕は、間違いばかりを選んできた。愛されたくて好きでもない人に思わせぶりなことをしたり、愛したくて僕の理想を押し付けたり、自己愛が空回りして他者を愛せなかった。

僕が彼を愛せたのは手が届かないと思っていたからかもしれないし、顔が好みだからって単純な理由かもしれない。どれだけ好きでも愛されない自分に納得していたし、離れようと思えなかった。
いつか二番目に好きな人を上手に愛せればいいやと思っていた。

なぜだか叶ってしまった恋は、想像していた何倍も難しかった。
愛され方を知らない僕は自分の感情で彼を否定したし、僕の求める愛をくれないと癇癪を起こすほど幼稚だった。
 離れられる不安が毎日毎日僕を苦しめて、苦しんでいる僕を見る彼も苦しそうだった。
別れを切り出したことは何回かある、いずれも寒かった気がする、寒さと寂しさは似ている。だから冬は嫌いだ。
変わらない愛を与えてくれた彼を僕は少しずつ信じられるようになって、愛されている自覚が出てきた。それでもいつか終わるという気持ちが無くならないのは僕に取り憑いて離れない希死念慮と、噛み合わない結婚願望のせいだろう。

どちらもどうしようも無いもので、好きじゃない以外の理由で別れたくない僕はまたきっといつか傷つくことになる。傷が浅いうちにと別れを切り出しても、きらきらした目で僕を見つめて愛を伝えてくれる恋人に、傷つけたくないという理由で傷つけることなんて出来ない。

さて、

最近、愛すことの難しさを感じる。
彼と結婚の話をしたからだろうか。愛して生きていく自信が少しづつ消えていく。
僕は、どんなときも愛していると誓えるだろうか。
病める時も健やかなる時も愛を誓うだなんて、できるだろうか。
こんなことを考えていたら、君のことを愛せなくなる未来を想像して吐きそうになった。

あぁ僕は今でさえ彼を愛せていないのかもしれない、神様、どうか僕が彼を愛せていますように

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