愛されたくて愛せなかった

ブラインドから差し込む太陽の光が姿見に反射して朝を知らせるみたいに、誰のものか気づけない光がある。

君から届く言葉の節々に過去の人の影を感じて苦しくなる僕は愚かかもしれない。
彼はきっと恋人の愛し方を、気持ちの伝え方を、思い出して入力しているだけだから。
使い古された愛情表現なんて、ご機嫌取りの為の愛情表現なんて、いらないと拒絶した僕は幼い。
不幸せでない幸せには気づけないように、君が隣にいなくならなければ必要だと分からない。

愛すのが下手くそでごめんとよく言っていた君の、優しくて柔らかな愛は僕の心に届いてもすぐ沈んで消えていってしまいそうで、一生懸命掬って大切にしまっていたはずなのに、思い出そうとしたらどこにしまったか分からなくなっていた。

ちゃんと愛しているよ、って言葉が自分勝手にしか見えなくて、じゃあもっとこうしてよってとび出た言葉が君を苦しめていた。

君を''ちゃんと''愛せなかったのは僕の方なんだろう。

君のそばにいると痛かった心は、君のそばにいないともっと痛くなった。

ねぇ、僕は君を愛せていたかい?
君も愛し合って傷つけあった日々を想ってくれてるいだろうか。そうじゃないといいな。
君の心が、僕が傷つけた心が、跡も残らず治ってしまっていますように。

あの時よりはきっと柔らかい愛をこめて、僕より

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