Love wins allを通して推し活と失恋と向き合う日
失恋したときによく聞いたり、聞こうと決めている曲はありますか?
私はこの曲と出会ったので…
今回自分の気持ちを語る一助にしたいと思います。
Love wins all、改めて曲が良すぎる
私はUAENA、IUのファンを名乗るにはおこがましいけれど、彼女の声や、人となりには魅せられてばかりいる。国民の妹と呼ばれるIU。幼くかわいらしい印象の先入観を見事に裏切る、物腰が柔らかくも、聡明さに驚いたIUパレット初視聴。それ以来、多くの曲を聴いた。
聡明さを纏う彼女の透き通った声で聴く、Love wins all。もともと好みで聴いてはいたものの、ここ最近は空で歌えるように発音まで確認するハマり具合だ。
壮大なオーケストレーション、継続を予期させる終わり方。
MVも素晴らしかったけれど、まずは歌詞の話をさせてほしい。
Love wins allはひとりよがりか?
彼女がファンソングと語ったと聞いて、とても納得した。
これほどまでに大きい愛なのに、1人称で綴られているのがいじらしくて切なくて。
悲壮感がないこの曲の仕上がりは、AgustDのDearFriendの逆だなと思った。あの曲のように気持ちを乗せて感情を昇華する、逆。
優しく爽やかだからこそ内に宿る、美しさと常に対の依存的な想い。
例えば出だしはこうだ。
この文章だけで、ふたりが”ふたりだけ”をあえて選び取って、それが間違っていると感じていることが伝わる。
どこかふわふわとした宇宙に浮かんでいるかのような歌詞のなかで、愛だけがそばにある。
この後も現実逃避かと思われるような閉じた世界が続く。
大人は依存先を増やしなさい、なんていう。
ひとつだけだと、それが崩れてしまうと終わりだから。
でも注げる愛情の量は決まっていて、複数あることは、ひとつずつが薄まることを指すとも思う。
ひとりに向けられた愛情が強いほど、世界は閉じていくとも。
この“口付けて”の部分、直訳だと“もっと愛を込めてわたしに口づけをしてよ”という意味で、受動態がほとんど使われない韓国語でとっても強い言葉だなと感じた。愛だけを選び取ったのかな。それとも、選び取らなかったのかな。
この”서로”ということば。ソロ活動のソロにも聞こえるかなとおもったけれど違うみたい。お互いしかいない、対になる関係という意味だそう。
ふたりは結局、ふたりぼっちで、ふたりだけで、ふたりよがりな気がした。
アイドルとファンの関係
何か巨大な壁の前で立ち止まるとき、思うことがある。
死や戦争とひとりの人間同士の関係性を謳うにはあまりにも誇大なのかもしれないけれど。
大きなシステムという壁の前に、諦めなければならない人生や関係。
人と人であればいっそう、すれ違うのは当然で。
仕方ない、で片付けられることで世の中は溢れている。
関係性のひとつひとつに便宜上名前を付けたり、法律で縛ったりすることはできるけれど、結局名前でしかなくて、結局すべて違うものだ。
アイドルとファンもその一つであるように思う。
名前がひとつなだけで、人ごとに違う関係性がある。相手が、たとえひとりでも。
2次元のアイドルを推す方が、現実の人間よりよっぽど健全なのではないかと今でも時々思う。
偶像として、ひとりひとりの異なる期待を載せた愛情は、相互の関係なのだろうか?と。
偶像の衣装を脱いだ彼らからも、私たちが与えるだけでなく、奪ったものは多い。
通常の暮らし、平凡な人生、友人や恋人、、、。
MVでのVと純粋に自分を重ねられた人はどのくらいいただろう?
私たちは常に、あの理不尽に襲いかかるキューブの仲間かもしれない。
私は怯えながら観た。どこに隠れても見つけ出し、そして理不尽に攻撃し、奪い去る…。
だから、愛情を裏切らない”ファンにとって不都合”な部分がなく”葛藤”をかかえることがない、二次元のアイドルに一方的な愛情や期待を載せるほうが健全なのではないかと。
一緒に来てくれる?同じように。
人である以上、毎日変わっていく。
歳を重ねれば肌ツヤは悪くなり、声は少しずつ低くかすれてゆく。
選手生命のように考えれば、人生より短い終わりに対して納得することもできるけれど、アイドルや歌手はどうだろう。
最愛のペットとの別れを予期しながら、それでも出会ってしまったら始めることはある。永遠がないからこそ始められることすらある。
アイドルの終わりは人生の終わりでももちろん、ない。推す側も。
でもいつか終わりは来る。
この歌詞の伝える”終わり”はどこなんだろう。
いつか歓声が鳴りやむ時そばにいて
私は大好きな친구(チング、Friends)のサビであるこの歌詞を思い出した。
いつかわからないけれど必ず来る終わりまで、貴方といたい。そんな想いかなと。
それが人生の終わりでなくても、他のなにかに押しつぶされてしまうものでも、納得できない別れでも、きっと。
遊泳するように浮かび上がったあの日、
キラキラ舞う銀紙に負けない頬を伝う涙の輝き、
喉を押しつぶして泣いた鼻の奥の塩辛さ、
全身の震えで感じた会場の推しの声。
そのすべては消えてなくなるものではなくて。
同時にすべてはその瞬間が終わったところで消えてなくなってしまうものなのだと思う。
先に死ぬとわかっていてもペットを飼うことを後悔はしない。
もし別れる運命を知っていても彼と付き合っただろう。
彼らがいつか自身の人生を歩む選択をして、マイクを置く日がくるとしても私は今、彼らのことを推し続ける。
もしそれが、到底納得できないような別れだとしても、それでも、私の人生を、そして私自身を変えてくれた経験は変わらずあったから。
これからの人生を彩るスパイスの一つとして、鮮やかに咲き続ける思い出たち。
もし関係が壊れてしまっても、
その瞬間は当人にさえも壊せないから。
愛は勝つ。Love wins all.
そんな意味も込められているのかもしれないなと思った。
でも、愛を与え続けられなくてごめん
IUの曲といえば私は밤편지(パムピョンジ、夜の手紙)という曲も大好きで。
IU自身が不眠症に悩んでいるときに、友達が眠ってしまい一人は寂しいと思ったことがきっかけでできたというこの曲。
自分が眠れなくとも、良く眠って欲しいと思える人が愛する人だと言っていた。
当時のIUが“I love you”を訳したら、“おやすみなさい、良い夢を。”ということなんだろう。
とっても素敵な曲だと思う。
私にも思い当たる節があったから、より一層心に響いた。
いびきがうるさいって拗ねてごめん。
貴方が眠れそうなときに、自分はそうでもないからと起こしてごめん。
よく寝てね、と言ってあげられない愛しか。
あげられなくてごめん。
自分より貴方を想い続ける、愛をあげられなくてごめん。
ほんとうは、共に落ちてほしかった。
一緒に最期までいてほしかった。
正しさなんてどうでもよく、道に迷ってほしかった。
それでも、貴方と過ごす、しあわせな未来の私とは、ここでお別れです。
幸せはゴールではなく旅路、そんなことを教えてくれたテヒョンさんを思い出す。
先に待つものではなく、今感じる物事そのもの。
苦しみもまた、人生のスパイスなのだろうか、それとも味そのものだったりもするのかな。
私にとってひとつ、人生と切り離せない大切な曲が増えた日。
ここに記させてもらって、今日は、おやすみなさい。
↓リンク 日本語訳が素敵で参考にさせていただいたことばたち
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