北枕

美術展の感想をつらつらと述べる備忘録

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美術展の感想をつらつらと述べる備忘録

最近の記事

強烈な母性と暴力と(ルイーズ・ブルジョワ展)

六本木ヒルズの象徴といえば…… 都会のど真ん中にそびえ立つ巨大な蜘蛛。 初めてこれを見た時に「なんだこれは」と思って調べたのが最初でした。あれから数年経ち、ついにルイーズ・ブルジョワの個展開催。 展覧会概要名称:ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ 開催場所:森美術館(東京・六本木) 開催期間:2024/9/25(水) ~ 2025/1/19(日) 展覧会公式サイト: 作品リスト: 感想第1章 私を見捨てないで ブルジョワ

    • ボンドに宿る生命性(松谷武判)

      彼の作品を以前どこかで(何かの展覧会かネットか)見たことがあって、その時は特に誰の作品なのかとか深くは調べなかったのだけど、強く印象には残っていたようで、本展覧会の特設サイトを見た際に「あ、これ」ってなった。特徴的な質感の正体はボンドだったのか。 具体美術協会(今までにない新しいことをやろうぜ的な団体。1954年結成)に入り、当時の新素材であった木工用ボンドを使用して頭角を現した松谷武判の個展。 展覧会概要名称:松谷武判 Takesada Matsutani 開催場所:東京

      • 都市の深層(SIDE CORE展)

        日本のストリートアートを代表するアートチームであるSIDE COREの個展。 今回の個展について、特設サイトに下記のような紹介があった。 暗渠というのは地下に埋められた、もしくは隠された川のこと。個人的に、これには少し前から関心がありました。 「渋谷駅がある場所はもともと渋谷川が流れていたが、それが暗渠化されており、今でも駅の下を川が流れている」というのを知り合いから聞いたことがあって、その話に何故かすごく惹かれたのです。 少し調べてみると、あらゆるところに暗渠があることを

        • 美術館からの提案として(MOTコレクション展)

          今回のMOTコレクション展は、「竹林之七妍」「特集展示 野村和弘」「Eye to Eye—見ること」という3つの切り口を設けて現代アートの魅力を発信しています。 展覧会概要名称:MOTコレクション  竹林之七妍 特集展示 野村和弘 Eye to Eye—見ること 開催場所:東京都現代美術館(東京・江東区三好) 開催期間:2024/8/3(土) ~ 2024/11/10(日) 展覧会公式サイト: 作品リスト: 感想竹林之七妍 高木敏子 高木は京都西陣の機屋(はたや)の

          賑わいのある美術展(開発好明 ART IS LIVE ―ひとり民主主義へようこそ)

          開発好明さん、一見風変わりなアーティストの個展。 アートを通じて学校や地域でのワークショップや被災地での展覧会など社会活動的なことも多くやっているそう。 展覧会概要名称:開発好明 ART IS LIVE ―ひとり民主主義へようこそ 開催場所:東京都現代美術館(東京・江東区三好) 開催期間:2024/8/3(土) ~ 2024/11/10(日) 展覧会公式サイト: 作品リスト: 感想本展覧会の入り口で、いくつかのアイテムが入った青い袋を手渡される。これらのアイテムは参加型

          賑わいのある美術展(開発好明 ART IS LIVE ―ひとり民主主義へようこそ)

          とある精神科医が見た日本美術史(日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション)

          高橋龍太郎。精神科医の現代美術コレクターらしい。個人のコレクターが展覧会なんか開けるの?と思ったけど、コレクションの数は3,500点を超えるとのこと。どんだけだよ。 ということで本展覧会では、高橋龍太郎という一つの私観から、戦後から現代に至るまでの日本現代美術史を辿ろうというものだ。日本人作家の作品が一度にたくさん観れる機会もそうそうないのですごく楽しみ。 展覧会概要名称:日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション 開催場所:東京都現代美術館(東京・江東区三好) 開催期間:2

          とある精神科医が見た日本美術史(日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション)

          狭い部屋と広い世界(遠距離現在)

          世界は物に溢れ、それらは世界規模で展開しており、地球の反対側で起こっていることですら簡単に見ることができる現代。 今この瞬間にも、資本や情報は陸を駆け抜け海を渡り、私たちの手元に届きます。 しかし逆に私たち個人のリモート化は進み、狭い部屋の中で全てを完結させてしまうことができる。 2020年に始まった世界的なパンデミックを契機に、遠隔で社会と繋がるという1つのスタンダードが生まれました。 それは便利であると同時にどこか寂しさもはらんでいます。 本展覧会では、「Pan- の規模

          狭い部屋と広い世界(遠距離現在)

          ピカソって何がすごい?(キュビスム展)

          「アート」と言われて、まずピカソの絵が頭に浮かびます。そしてピカソといえばあの意味不明な絵、”キュビスム”。 なんか幾何学的な柄で、多角的な視点で……とそんな認識ですが、「ピカソって何がすごい?」と聞かれても、うまく答えられない。 そんな自分を変えるために上野に向かいました。 展覧会概要名称:パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展—美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ 開催場所:国立西洋美術館(東京・上野) 開催期間:2023/10/3(火)~ 2024

          ピカソって何がすごい?(キュビスム展)

          私たちはどう生きるか(私たちのエコロジー)

          地球温暖化が騒がれ、最近でもSDGsという言葉が広まり、人類の環境問題に対する意識は年々高まっているように感じます。人間の生活を便利にする代償として地球に与えてきたダメージはどれだけでしょうか。そしてそれは人類にどのような形で返ってくるのでしょう。 森美術館開館20周年を記念した本展覧会では、人間と地球環境との関わりの歴史を振り返り、また今後、どのように生きていくべきなのか、「エコロジー」をテーマにあらゆる視点からアートをとおして考えます。 展覧会概要名称:私たちのエコロジ

          私たちはどう生きるか(私たちのエコロジー)

          アートはみんなのもの‼︎(キース・ヘリング展)

          キース・ヘリングに関しての知識は、「ピクトグラムのような絵」「ストリートアート、ポップアートの先駆者」「たまにユニクロとかのTシャツのデザインで見る」程度のものでした。アートに関心のない友人でも、彼の絵は知っていたりするくらい大衆に根付いた作品を残しています。 展覧会に行く前に一応下調べをしていくと、彼が多くの社会問題、特にHIV・エイズの問題に対するメッセージを持って活動していたことを知りました。 恥ずかしながら、日常の中で作品を目にする機会は少なくないのにそこに込められた

          アートはみんなのもの‼︎(キース・ヘリング展)