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帰る場所をたくさんもつこと

最後に地元へ帰省してから、およそ8か月が経った。

わりと最近じゃないか、と思われるかもしれない。
けれど、2017年の春に上京してから3年間、平均すると2か月に1回くらいのペースで実家に顔を出していたわたしにとって、半年以上も帰らないというのは初めての経験だ。

勿論、世界を揺るがす疫病の流行がなければ、今年もそれなりに帰省はしていただろう。
一方で、帰れなくても自分が案外ふつうに過ごしていることに、ちょっとだけ寂しさを覚える。


わたしは大学を卒業するまでの約22年間、ずっと同じ町で、同じ家に住んでいた。
1か月以上離れたことも、ほとんどない。

だから、東京に来てからもしばらく、わたしの拠点は実家にあるような気がしていた。
就職してはじめてのゴールデンウィーク、新幹線で名古屋に降り立った瞬間、息が楽になったように感じたのを覚えている。


けれど、そんなわたしにも、少しずつ東京に大切なひと、もの、ことができた。
昨年のはじめにはソーシャルアパートメントと呼ばれる大型シェアハウスに引っ越して、その勢いは爆発的に加速した。

そうして東京での暮らしが楽しくなっていくにつれて、
「ああ、わたしはもう22年間暮らしたあの家に戻ることはないのかな」と、勝手に感傷的になっていた。


けれど、単純に考えれば、大好きな場所とそこでのつながりが増えて、いろんな場所で「おかえり」と言ってもらえるのって素敵なことじゃないか、と思う。
これは、実際にいちど外に出てみないと分からなかった感覚だ。


今後もし東京を去るときがきたら絶対に寂しくなってしまうけど、そんなときはこのnoteを読み返そうと思う。


(678字)

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