化粧
化粧。
厄介なもの。
高価なもの。
悩ましいもの。
ドラッグストアの床の輝きや照明に、眩しく感じながらも長居している。
デパートや専門店の陳列棚は、ながらく近づいたことがない。
朝の洗面台で長く時間をかけるわけにもいかないけれど、若い頃ほど適当で済ませるわけにもいかない、私の肌。
発色の良すぎるグロスにうろたえる。意外となじんだチーク用日焼け止めに感動する。まったのきかない首筋の衰えにがっかりする。
特別な日の、ちょっとはりきった、でも手持ちの商品ですませたメイクがうまくいくと、ほっとする。
化粧。しなくてすませたいけど、頭の片隅にはそれがいつもある。