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太陽の子 NHKドラマ

10年以上前に、先輩と話していた時に「8月15日正午に鳴るサイレンの意味を知らないこどもがいる」という事実を知った。確かめてみるとそれは本当で、それとともに、6月23日、8月6日、8月9日も、何の日かはっきり言えない。このことが、私に「まずい」と思わせて今に至っている。

今年のNHKの終戦記念日のドラマは「太陽の子」。戦況の悪化する中でも日本で化学兵器が開発され、その中に「アトミック ボム」があったのは知っている人もいるだろう。その開発にかかわった人の話だった。主人公の兄弟である軍人役で先日自死した三浦春馬さんが出演している。自分が作っていた兵器が、どんな結末をもたらすものなのかを知ってしまって、その後の人生はどうなったのだろうか。

そのあと9時から「忘れられた戦後補償」という番組が放映中だ。現在、韓国との間でさまざまな戦後補償問題が取りざたされているが、実は当の国民についても十分な補償ができたかどうかは疑問なのである。わかりやすいところでは、被爆者と認められてわずかながら補償される人とそうでない人がいるように。体の一部を失った人、孤児になった人、こどもを抱え寡婦となった人。「私が泣いてはいかんと思い、(農作業中に)藁の中に顔を突っ込んで泣いておった」。こんなおばあさん(桒田シゲヲさん)の証言を聞くと、戦争が終わったからと言って即、暮らしが立ち直ったわけではないということが、真実味を帯びて頭の中で映像になって迫ってくる。

おそらく勝っても負けても、人間は起こったことをすぐに忘れて、何もなかったかのように生活できるだろう。だけど、現実に傷をおった人は?おいて行かれてると思っている人は?そしてこれは、戦争だけでなく、日本や世界の災害に見舞われた地域の人々も同じような想いを抱えて生きておられるだろう。

「自分さえよければ」と思ってしまったり、「見たいものだけ見て生きていく」ことが容易な今の世の中を生きている私たちは、とにかく鈍感になっていい場面と、とにかく鋭く感じる力を発揮する場面とを、ちゃんとつかいわけていかないといけない。そう思う。

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