[ゲーム企画]オリジナルのスキルで戦うオンライン対戦ゲーム(架空レビュー)
※新しいゲームソフトのアイディアをnoteで書き出してみよう、という試みです。
今回は少し趣向を凝らし、「とあるゲーマーが書いたプレイ日記」という形式で架空のソフトを紹介していきます。ゲームの企画を練るのが目的ですが、軽い読み物のように楽しめる作品を目指しています。
あくまで想像上のゲームなので、細かい仕様まで詰めている訳ではない点にご注意ください。
これは対戦ゲームなのか?
友達から新しいゲームを勧められた。多人数で入り乱れるオンライン対戦ゲームらしいのだが、なるべく初見で遊んでほしいとのことで詳しい内容は聞かされていない。いわく「狩りを楽しむゲーム」だそうだが...狩った動物の数でも競うのか?
最初に出てきたのは主人公のステータス画面らしきものだった。「ポイントを割り振ってスキルを作成してください」...スキルを習得なら何となく分かるが、作成しろとはどういうことだろう。
何か一人用のアクションRPGみたいな雰囲気を感じる。初見であれこれステータスをいじれと言われてもピンとこないし、少ない初期ポイントを適当に割り振ってスタートボタンを押してしまうことにする。
マッチングが済むと広い3Dフィールドに放り出された。林やら廃墟やらが点々とした自然の多いマップで、地形には結構起伏もあって遠方までは確認できない。
このフィールドのどこかにライバル達も散らばっているのだろうが、周囲を見回しても特に人影はない。まずはマップを散策して武器やアイテムを集めたりするタイプのゲームか?
基本操作を確認しつつ少し歩き回ってみると、出てきたのは対戦相手ではなく、いかにもザコ敵っぽい見た目のモンスターだった。こちらに気づいてまっすぐに襲いかかってくる。
今のところ自分にできるアクションは簡単な近接攻撃だけ。適当に相手の攻撃を躱しつつ、数回殴っただけであっさりと勝利した。
何かアイテムなどが手に入る訳でもなく、代わりに少量の経験値を獲得。どうも本当にRPGっぽいというか...ひょっとしてモンスターを狩るゲームなのか?
それから何度かザコ敵との戦闘になった後、ようやく他のプレイヤーらしきキャラクターに遭遇した。お互い単純な近接攻撃しかできないので、特に駆け引きという感じもなく強引に殴り合う。残りHPわずかで辛くも勝利した。
そして手に入ったのはやはり経験値だけ...だがザコ敵を倒したのに比べると量が多い。なるほど、こうしてなるべく他プレイヤーを倒して経験値を効率よく貯めればいいのか。
とは言え相手が強いぶんリスクも大きいし、常に対人戦の方が美味しいというものでもなさそうだ。そこからしばらく探索して脱出用のゲートとやらを発見し、何とか一回目のプレイを死なずに終えることができた。
うーん、対戦がやりたいのになぜモンスターと何度も殴り合わないといけないのだろう。マップも妙に広いし、その割にアイテムが散らばっている訳でもないし、今のところ薄味なゲームといった感じだ。
友達がずいぶんノリノリで勧めてきたので期待してはいるが...もしかして騙されてないよな?
思ったより厳しい勝負
戦闘が終わると再びステータス画面に戻ってきた。手に入れた経験値でキャラクターがレベルアップし、新たにポイントを獲得。
どうやらここで新しいスキルを増やすこともできるらしい。近接攻撃、遠距離攻撃、設置攻撃(トラップなどを仕掛ける)といったカテゴリーから選んで1つスキルを追加し、そこにポイントを割り振って自分で能力をデザインしていく仕組み、だそうだ。
例えばさっきから使っている殴りアクションもスキルの一種で、最初からキャラクターにセットされている。その中に「一発の威力」「連打力」「間合いの長さ」といったパラメータが仕込まれていて、そこにポイントを分配して自分好みのスキルを育てていく、ということらしい。
新しいスキルはさておき、まずは何度も使っていた近接攻撃の連打力でも上げてみよう。遅すぎてちょっと使いにくかったし、とにかくまずは火力を上げないと殴り合いに勝てそうもない。
さっそく出撃してモンスターを殴ってみると、さっきまでより素早く倒せるようになっている。この感じなら対人戦ももう少し楽に勝てそう...と思ったが、相手も同じようにパワーアップしていたらどうなるんだ?
何となく嫌な予感を抱えつつ探索していると、また見知らぬプレイヤーに遭遇した。とにかく先に攻撃を当ててHPを削り切るしかない。勢いよく突進すると、敵がいきなり発射した魔法らしきものが体の横を掠めた。
なるほど、向こうは遠距離攻撃のスキルにポイントを割り振っているのか。それなら接近戦に持ち込めばパワーで勝てるはず...と思ったら、相手は後ろに下がりながら撃ち続けてきた。
お互い移動速度は同じなのでなかなか追いつけない。射撃の威力1つ1つは大したことないが、一方的に体力が削られていく。まずいと思って後ろに下がったら、今度は逆に相手が詰めてきて絶妙に距離が取れない。
障害物のない場所で戦ったのがまずかった。結局ほとんどダメージを与えられないまま敗退し、いつものステータス画面へと逆戻りすることに...んん?
キャラクターのステータスが初期値に戻っている。というか、また一からキャラクターを作る画面に戻ったと言うべきか。どうやら一回死んだらそのキャラクターは帰ってこないようだ。
おいおいそれは厳しくないか...?思わず愚痴りそうになったが、そう言えばこれは一人用のRPGではなく対戦ゲームだった。キャラクターをじっくり育てていくというより、どんどん死んで色々なプレイスタイルを探っていく方向性なのかも。
気を取り直して、まずはどんなスキルが作れるのか調べてみるか。さっきの一方的な負けはちょっと悔しいな...だが負け方も含めて今後の参考になるはず。少しやる気出てきたかも。
戦うだけのゲームじゃない
あれから色々試してみたが、思った以上にスキル作りの自由度が高い。格闘戦重視にしたり、離れて狙撃で戦ったり、あるいはトラップを仕掛けて敵を誘い込んだり。
スキルには特殊な効果を付与することが可能で、例えば飛び道具に爆発効果を付けて手榴弾みたいな攻撃にしたりできる。あるいは攻撃力ゼロのトラップに体力回復の効果を付けて、自分用の回復ゾーンを作ったりすることも。
試しに1つ面白い戦法を紹介しよう。特殊効果の中には「対象を吹き飛ばす」というものがあって、相手を殴って崖の底に叩き落とすといった作戦が狙えるのだが、これを敵ではなく自分に向かって発動することもできる。
あくまで吹き飛ばすだけ(ダメージはない)なので、自分自身がジャンプするように飛びかかるスキルを作れる。敵にガンガン突っ込んで接近戦を仕掛けるのに有効だ。
要素の組み合わせ次第で様々なスキルを作成でき、思わぬ発見がある。自分なりの戦法を編み出していくのがなかなか楽しい。
そんな感じでゲームの面白さは分かってきたが、スキル同士の相性があったりしてどうも勝率が伸びない。狙撃で安全に遠くの敵を倒そうとしたら、横から別の接近戦タイプの相手に襲われて為す術もなくボコボコにされたり。
しっかりした狙撃スキルを作るには射程にポイントを大量に振る必要があるので、他に接近戦向けのスキルを作る余裕はなかなかない。キャラクターの能力は必ず一長一短になるようにできている。
いまいちコツが掴み切れないまま再びフィールドを歩き回っていると、遠くの方でモンスターと戦っているプレイヤーが見えた。連射の利く射撃スキルを使っているようだ。
弾に当たったモンスターが少し吹き飛ばされている。恐らく射撃に敵を押す効果を付与し、距離を取って一方的に攻撃し続ける戦闘スタイルなのだろう。そのぶん一発一発の火力はかなり低いように見える。
対してこちらのスキルは、一撃が非常に重いが全く連打の利かない打撃のみ。さっきから対人戦は連敗中なので、ヤケクソになって一点にポイントを振り続けている...素直に正面から行けば撃たれ放題だろう。
このまま戦闘を仕掛けても厳しいと判断し、試しに相手を尾行してみると、しばらくして別のモンスターがそのプレイヤーの前方に現れた。先ほどと同じように敵を突き放す射撃スキルで応戦を始める。
今なら相手の不意を突いて背中を殴れるのでは?そう思った俺は少しだけ待ち、ちょうどモンスターが倒されそうなタイミングで近づいて振りかぶった。相手に最も隙が出来る瞬間...つまり敵を仕留めようと集中する最後の最後に、こちらの一撃を割り込ませた。
モンスターが射撃に倒れるのと同時、強烈な打撃が無防備な相手に炸裂した。仕掛けるまでにずいぶん時間が掛かったが、勝負はほんの一瞬。本当に決まると思っていなかった。ただのゲームだというのに、いつの間にか緊張で手が汗ばんでいる。
そういうことか、と急に腑に落ちた。このゲームは無闇に戦えばいいというものではなく、準備が大事なのだ。敵を先に発見し、能力や戦闘スタイルを読み、こちらのスキルを活かせる作戦を立ててから挑む。そこまで含めて駆け引きなのだと。
ということはこのゲーム、情報収集がかなり重要かもしれない。そういえば索敵系のスキル(望遠とか、音を聞こえやすくするとか)も作れそうだったな。戦闘スキルに手一杯でつい軽視していた。
待てよ?さっき自分がやったように、誰かにひっそり観察されているケースもあるのか。ザコ敵を狩る時でも周囲に注意する必要があるな。最初はテンポの悪いゲームかと思っていたが、どんどん考えることが増えてきたぞ。
まだ本番ですらなかった
ようやくゲームのコツを掴み始め、今までで最高のレベルに到達したところで、新たなルール「制約」とやらが解放された。わざと条件や弱点を付加することでスキルをさらに強化できる仕組み...?なんだかよく分からないが面白そうだ。
スキルに回数制限を設けるとか、スキルを使うと自身にダメージを受けるなど、何らかのリスクを背負った分だけ追加でポイントを割り振ることができるらしい。これはスキル作成の自由度がぐっと上がるんじゃないか。
試しにこの「タメが必要」という制約を設定して、連射は利かないが強力な射撃スキルを作ってみよう。いわゆるチャージショット的な必殺技になるはず。自分でゲームを作っているみたいでテンション上がってきたぞ!
ノリノリで出撃してしばらく周囲を探っていると、前方の建物の中へと入り込むプレイヤーを目撃した。さっそくちょうどいい獲物が現れたな。
新しいスキルの破壊力を試すためすかさず後を追う。が、入り口に突っ込んだ瞬間いきなり視界が暗くなり、前が見えなくなった。
何だ何だ?状況が分からないまま相手に一方的に攻撃され体力が減っていく。恐らく一時的に視界を奪うスキルを食らったのだろうが、思った以上に効果時間が長い。連射できないチャージショットでは闇雲に撃って当たるはずもなく。
結局視界が晴れた時には瀕死で、ろくに新スキルを活用できないまま倒されてしまった。せっかくここまで育てたキャラクターがあっさりと...しばらく呆然としていたが、少し冷静になった後で重要なことを思い出す。
そう言えば、自分を倒した敵のスキルやパラメータは確認できるんだった。こうやって訳も分からず負けた場合は原因を探った方がいいな。一旦落ち着こう...はぁ。
どうやら相手は視界を奪う効果を付けたトラップを仕掛けていたようだ。「一回使うとしばらく再使用できない」という制約が設定してあり、そのぶん効果時間が長い。狭い建物に入ったのはトラップに引っ掛けやすくするためか。
そもそも遠距離スキルがこちらの武器なのに突入すべきじゃなかったな...高い勉強代になったが、制約を絡めるとスキルの脅威が一気に増すことは良く分かった。
制約システムが導入されてから何戦かしてみて、他にも変化があったことに気づく。明らかにプレイヤー間のレベル差が顕著になり、格上の対戦相手がちょくちょく出現するようになった。どうやらマッチングの仕組みが変わったようだ。
今までは基本的なスキルだけで初心者同士で戦っていたのが、ここからは様々なレベルのプレイヤーが入り交じる本格的な勝負になる、ということだ。序盤はあくまで練習モードみたいなものだったのか。
レベル差は大きな脅威だが、制約を上手く使えば作りたてのキャラクターにも結構強力なスキルがセットできる。作戦次第で格上相手でもどうにかなるのがこのゲームの面白いところだ。
逆に言うと、自分のレベルが上がってきても油断ならない。死ぬ時はすぐ死ぬし、そもそもぱっと見で相手が格下か格上かも分からないので、とにかく情報と準備が物を言う。キャラクターがいい感じに育つと、いつロストするか分からない緊張感がじりじりと増していく。
なるほど、これが狩りの醍醐味なんだな。未知のスキルが予想外のプレッシャーを生み出す、ひりつくような空気はこのゲームでしか味わえないかもしれない。
手塩に掛けたキャラクターが倒れる喪失感は凄まじい...だが手痛い失敗の後こそ、次はどう対策しようかとアイディアが広がっていく。だから新しいスキルを考えるのが楽しい。気づけば夢中になってパラメータをいじくり回している自分がいる。
俺の狩りを見せてやる!
制約システムが使用可能になり本格的な勝負が始まると、フィールドに散らばるモンスターも新たに追加された。接近戦に長けた屈強な敵、遠距離から弓で仕掛けてくる敵など、ザコ敵との戦闘も幅が広がっている。
モンスターを効率よく狩るなら色々なスキルを使い分ける必要があり、キャラクターの育成方針にも結構影響する。対人戦よりも安全にレベルを上げられるので、経験値稼ぎの手段が増えた感じだ。
対戦ゲームなのに何故やたらザコ敵が出てくるのか、最初は不思議に思っていたが今なら意味が分かる。これが他プレイヤーの能力を探るヒントになっているのだ。
あちこちにいるモンスターが様々な手段でプレイヤーを襲ってくるので、スキルを全く使わず実力を隠し通すことはできない。プレイヤー同士で様子見ばかりしてゲーム展開が硬直しないよう、うまく場を荒らす役割を担っている訳だ。
それにしても...スキルを自作して戦うというこのゲーム、改めて見るとなかなか独特なルールだと思う。ゲームを自分で作っているような楽しさがあるし、作戦が見事にハマった時の爽快感は格別だ。
狩りの緊張感や没入感、その土台となる情報戦と心理戦など、遊べば遊ぶほど思わぬ深さが見えてくる。友達がやけに強く勧めてきた理由がようやく分かった。
さて、そんな感じで今日もモンスターと戦っているのだが、先ほどから近くに人の視線を感じる。こっそり尾行しているつもりだろうが、俺は視界の端できっちりお前の動きを捉えているぞ。
少し背中を向けて隙を作ってやるのもいいだろう。さっきからあえて軽いスキルだけで戦い、手の内は見せないようにしている。ザコ相手にだいぶ時間を掛けているので、もしかしたら弱いキャラクターだと思い込んでくれるかもな。
さあいつでも来い...どっちの作戦が上回るか試してみようじゃないか。お前がこちらを狩ろうとするその瞬間、俺の「切り札」が火を吹くぜ!
※本文は以上となりますが、有料部分にオマケのストーリーを付けてみました。連勝中のプレイヤーを際立たせ、駆け引きを盛り上げる「賞金首システム」の仕様を紹介しています。
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