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[ゲーム企画]敵を次々乗っ取る多自機アクション(架空レビュー)

新しいソフトのアイディアをnoteに書き出し、文章の上でゲームデザインを考えていく試みです。「とあるプレイヤーが書いた架空のレビュー」という形式でゲームを想像して内容を練っていきます。
 今回は完全に空想のゲームではなく、以前作った試作品を元にイメージを膨らませていきます。良ければまずは動画をご覧ください。


侵略者になって星を乗っ取るのがゲームの目的なのだが、この作品の方向性は少し独特かもしれない。現地の生物を排除するのではなく、寄生することで自分の手下を増やしていくのだ。
 プレイヤーが操作する主人公は異星からやってきたエイリアン。といっても侵略者らしい屈強な見た目ではなく、何か黄色い粘液のような...強引に例えるならチーズみたいなウネウネした生物である。ちょっと美味しそうなのが嫌だ。

オープニングで主人公は未知の惑星に着陸し、草原をのんびりウロウロしていた小動物に飛びかかる。黄色い粘液がその体を飲み込むと、姿形はそのままに動物の全身が黄色っぽくなった。
 色が変わるのは寄生が完了した証。プレイヤーの最終目標はこの星の生物を次々乗っ取り、全てを黄色く染め上げて支配下に置くことである。ちなみにジャンルは2Dアクションだ。

短いオープニングを終え、まずは最初に捕らえた動物を走らせて前に進むと、同じような小動物が何匹か散歩している。プレイヤーは寄生した生物から黄色い粘液を飛ばし、他の生物にぶつけることができ、ウィルスのように自身をコピーしていく。
 こうしてどんどん寄生しまくる訳だが、面白いのは乗っ取った生物たちが1つの操作で一斉に動くところ。まずは3匹ほどの動物が自分の支配下に入り、全く同じリズムで右へ左へ移動、そしてボタン1つで同時にジャンプする。一見楽しげなダンスだが実態はホラーだ。

しばらく進むと目の前に高い壁が立ちはだかる。普通のジャンプでは乗り越えられない。だが動物の上に別の動物を乗せるようにジャンプすると、高く積み上がって高所に登ることが可能だ。
 と言っても、踏み台にされた動物たちは壁に引っ掛かって進めない。壁を乗り越えた1匹に追従してカメラが前進すると、使い捨てになった動物たちは画面外へと静かに消えていった。哀れなことに彼らの出番はもう終わりである。

さらに先へ進むと、今度は深い崖があって飛び越えられない。だが穴の向こうにはまた別の動物がのんびり昼寝をしている。粘液を飛ばせば届きそうだ。
 かくして崖の向こう側の動物を乗っ取って前に進むと...崖の手前にいた元の動物はすっと穴の中へ飛び降りていった。黄色く染まった生物はプレイヤーの命令に忠実で死をも厭わない。なんとも言えない哀愁が漂うゲームである。

このように敵を次々乗り継いでいく感覚はなかなか独特だ。アクションゲームの基本は、いかにキャラクターを操作して地形を乗り越えていくかだとも言えるが、今作では自機を使い捨てにすることで思わぬ場所に飛び移れる。

といっても常に一筋縄とは行かない。プレイヤーに襲い掛かる荒っぽい生物もいるし、力強い動物は一回粘液を当てるだけではすぐには乗っ取れない。
 中には巨大なボスもいて、ちまちま攻撃していては到底倒し切れない時も。そんな時に大事になってくるのが「数の暴力」だ。
 ザコ敵を大量に捕まえて支配下に置き、一斉に攻撃を仕掛ければ屈強な相手にも寄生できる。マップを歩き回って自機を増やしてからボスに挑むなど、探索手順を考えないといけない時も。

そして何と言っても面白いのが、あらゆる敵を乗っ取って自機として操作できてしまう点。巨大なボスを動かして悠々と小動物を踏み潰して回ることも可能だ。
 ジャンプの高いカエルや空を飛べる鳥など、乗っ取る相手によって操作法もどんどん変わる。ステージごとに展開も多種多様で、ある意味色んなアクションゲームのいいとこ取りと言えるだろう。
 まあどんな生物を手中に収めようが、最後は使い捨てにしてしまうのだが。このエイリアン、本当に無慈悲である。圧倒的な強者として世界を呑み込んでいく爽快感は、他のゲームではなかなか味わえないものだ。

ちなみにちょっとしたカットシーンもあって、意志を持ってセリフを喋る敵キャラクターも現れる。星を守るべく勇敢に立ち上がり、「俺は侵略者に屈しない!」と叫んだ獣の戦士を乗っ取って「エイリアン様バンザーイ!」などと言わせるシーンには妙な背徳感があった。

また、ステージによってはパズル的なギミックも用意されている。例えば複数の自機で分担して、いくつかのスイッチを同時に押すとドアが開くといったものだ。
 このゲーム、1つの操作で全てのキャラクターが一斉に動くので、操作そのものはシンプルだが意外と頭を使う。あちらを立てればこちらが立たず、が何度も起きる。迷路のように入り組んだ地形に自機たちを放り込み、複数のルートを同時に踏破して奥にあるスイッチを全部押す...といった問題はなかなか歯ごたえがあった。
 ちなみにパズルが難しいと感じたら、ここでも数の暴力が物を言う。大量に自機を増やして液体のように流し込んでしまえば、割とゴリ押しも可能だ。中に詰まってしまった生き物たちはどうなるのかって?まあ...見なかったことにしよう。

その他、本編とは別に対戦モードも用意されている。1つの広めのフィールドでカメラは固定、そこに2〜4人のプレイヤーが入り乱れて戦う。
 画面上にウロチョロしているザコ敵を上手く取り込んで自機を増やしていくのがポイントだ。時にはフィールド全体に散らばった自機たちを制御し、複数のプレイヤーを同時に相手にする必要もあり、なかなかに目まぐるしい。
 自機の頭数を揃えてから敵の群れに突撃する感じはある種RTSのようだ。地形に引っかかって上手くまとまって行軍できなかったり、そこを防御側が各個撃破して数的不利を覆したり...シンプルな操作に見合わず意外と戦術的な駆け引きもある。

複数のキャラクターを一斉に動かすという独特の仕組みが、多彩な遊びを生み出すのが本作の魅力。君も未知の惑星を侵略して無慈悲な支配者になろう。ただし、部下を使い捨てにするのはゲームの中だけにして頂きたい。


※本文は以上となりますが、有料部分に軽いオマケ(企画についてのちょっとした後書き)を付けています。
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ちなみに冒頭で紹介した試作品は、Switchが手元にあれば実際にプレイ可能です。ぜひ「数の暴力」を直に体感してみてください。

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