最速スキルアップは安全域から出ること
介護施設の運営という立場として、職員に教育する場面は結構ある。
それは研修という形式のときもあれば、何かのタイミングで知識を伝えることもある。個別に苦手とする介護技術をその都度教えることもある。
このように書くと、何でも分かっているような印象を与えるかもしれないが、大抵の場合は分かっていないことが多い。何となく分かっているけれど教えるには曖昧なこともある。
「自分は何でも知っている」「何でもできる」なんて公言できるほど、介護という分野は甘くはない。突き詰めるほどに自分の未熟さを痛感する。
だからと言って落ち込むことはない。分からないことは分かるまで学習すればいいし、できないことはできるまで訓練すればいい。それだけだ。
その地道な取り組みがいわゆる”スキルアップ”につながる。
地道なスキルアップを積み重ねた先にあるチャンスが、”キャリアアップ”と呼ばれるものにつながる。
しかし、スキルアップやキャリアアップを誤解している人は少なくない。
それは「同じことを繰り返す」だけでスキルアップができると思い込んでいるのだ。また、「今いる環境のまま」頑張っていれば、向こうからキャリアアップの切符がやっていると思い込んでいる人もいる。
それはつまり、現在できること・知っていることだけで、スキルアップやキャリアップを成し得ると思っているということだ。
かつての年功序列という雇用体制であれば、それは可能かもしれない。
しかし、もはやそんな時代ではない。
今持っているスキルを繰り返しても、スキルアップにならない。
筋トレで言えば、すでに持ち上げられるバーベルをこれまでと同じ回数持ち上げても、筋肉は発達しない。既に肉体がその重さに適合しているからだ。
同じ環境にずっといても、キャリアップのチャンスはやってこない。
海外で働いている自分を目指すならば、日本から出なければいけない。ときには今いる職場を辞める必要だってある。
スキルアップもキャリアアップも受け身のままでは果たせないことであり、自ら行動することでようやく糸口を掴めるものなのだ。
ありがたいことに、現代はスキルアップもキャリアアップも取り組みやすい環境にある。勉強したいことや働きたい職場をビジネスとして準備してくれる企業は多々ある。
独学でも良いだろうが、今まで自発的に勉強や挑戦をする習慣がなかった人にとってはハードルが高いと思う。だから、まずはこういうサービスを活用してみることも良いだろう。
これでもまだ受け身な気はするが、何も行動しないよりはマシだ。
それにスキルアップやキャリアアップに向けたサービスを利用しても、結局動くのは自分である。それは自分の人生なのだから当然だ。
もちろん、うまくいかなかったら中断してもいい。新しいことを見つけたならば、それに移っても問題はない。それも自分の人生なのだから当然だ。
しかし、いずれにせよ自分が動くということの意義は体感できると思う。
自分が動くことの意義とは「安全域から出る」ということだ。
”コンフォートゾーン”から出る、と言ったほうが伝わるかもしれない。
スキルアップもキャリアップも、現在の自分という安全域から一歩踏み出すということであり、自ら変化していくという取り組みに過ぎない。
今のままの自分で良いならば、ずっと安全域にいればいい。それは突き放す意味ではなく、それも自分の人生であるからだ。
私だって安全域にいたほうが楽だと分かっている。
しかし、仕事における立場もあってか、安全域に居続けることはできない。
毎日のように何かしら起きる。それに対して対策を講じる。
未経験のことも考えなければいけないし、苦手なことにも向き合わなければいけない。うまくいかなくて苦情や信頼を損ねることもある。
しかし、何とか対応できたケースも失敗したケースも、過ぎてみればちゃんとスキルアップにつながっている。介護未経験だった自分が、運営という立場にいて統率するほどのキャリアアップになっている。
それは私が優秀であるわけでなく、結果論だと思っている。
もしも未経験なことや苦手なことだからといって向き合わなければ、今の自分は知識も技術も浅くて、自分なりの思考も哲学もないまま、仕事に不満を言いながら無駄な日々を過ごしていたと思う。
だからこそ言える。
スキルアップしたければ、安全域から出るのが最短ルートだと。
そのルートはとても険しいけれど、一気にレベルアップできる。
そして、レベルアップすると視点が変わる。
すると、目指すべき道も変わる。それがキャリアアップにつながる。
――― スキルアップもキャリアアップも誰かが代わってやってくれることはない。自分で歩むしかない道である。
大変な道であるが、1つ1つ向き合って、現状把握して検証して、学習しながら問題解決していくしかない。
何だか偉そうなことばかり述べたが、私だって安全圏を出るのは躊躇する。しかし、面倒でも怖くても一歩踏み出してしまえば「ええい、ままよ!」として突き進むしかない事も知っている。
というわけで、今日も職員から相談された事項で分からないことがいくつかあったので、これから学んで・考えていこうと思う。
ここまで読んでいただき、感謝。
途中で読むのをやめた方へも、感謝。
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