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仲良くなくても仕事はできる

介護の仕事における離職理由のトップに「人間関係」がある。

おそらく、これは介護の仕事に限った話ではないだろう。

人間関係の問題は、特定の個人への嫌悪やストレスもあれば、その職場全体における雰囲気や違和感など様々である。

特定の個人であれば「嫌い」「合わない」ということもあれば、そこまでいかなくても「何となく話しかけにくい」ということもある。

職場全体であれば「何も教えてくれない」「自分ばかり負担が大きい」という業務的なこともあれば、いわゆる「仲間外れ」といったこともある。

これらはハラスメントも含めた労働基準として違法になる範囲であるが、少し個人の感情も混じっていることもある。

そのため、非常に難しい話であるが、職場の人間関係を考えるときには感情を抜きにして客観的かつ冷静に考えることが望ましい。

そのうえで、仕事を辞めるかを考えてみても損はないだろう。


 
人間関係を感情を抜きにして考えるとは、「その人間関係は業務に支障をきたしているか?」ということである。

例えば、職場の特定の個人を「嫌い」「合わない」と言うのは感情である。
業務に直接影響する要因とは言えない。

「あの人が職場にいるせいで仕事のパフォーマンスが下がる」ということも影響がないとは言えないが、「嫌い」「合わない」の範疇ならば自分の業務に影響を与えることはない。

一方、「何も教えてくれない」というのは感情ではない。業務遂行の手順や方法を職場が教えないことは、業務に支障をきたす。
上司や先輩は教育する立場にあり、職場としてはマニュアルを整備するなどにより、その業務を担当する者が円滑に遂行できるようにする義務がある。

もちろん、教えを受ける側の姿勢も大切だ。「聞いても教えてくれない」というならば別として、黙っていて「何も教えてくれない」と言うならば、それは仕事に対してのスタンスを改めたほうが良いだろう。


 
また、職場の人間関係において、多くの人たちが誤解していることがある。

それは・・・

「職場の人たちと仲良くしなければいけない」という誤解
「職場の人たちと仲良くしなければ、良い仕事はできない」という誤解

である。

仲が良いに越したことはないが、その程度のことくらいの話である。実際、仲が良い者同士がチームを組んだからといって、良い仕事ができるとは限らない。

もちろん、意見を言いやすい風土や相談しやすい環境であることは大切だ。しかし、それはあくまで情報共有と意思決定のためのプロセスやツールの話であって、”なぁなぁ”に仕事をして良いという話ではない。

そもそも、仕事とは社会(顧客)の課題解決や要望に応えることが目的であり、その目的を達成したカタチが成果である。

顧客からすれば、自分が期待する成果が挙がってくれば満足なのであって、その成果を出した職場やチームが仲が良いかどうかなんて関係ない。いっそ興味はないと言っても過言ではないだろう。

それなのに、仕事の成果を出すことや目標を達成することよりも、職場の人たちと仲良くすることばかりに目を向けるのは本末転倒である。

つまり、職場の人間関係を良くすること自体は仕事ではない。


 
極論を言えば、別に職場の人たちと仲良くなくても仕事はできる。
職場の人たちと仲良くなくても、良い仕事はできる。

その場に揃った人たちが、その事業に対して共通の目的と意義をもち、役割分担と情報共有、そして意思決定さえあれば、成果は達成できる。それが良い仕事というものだ。

「あの人が嫌い」「自分と価値観が合わない」「何か話かけにくい」と言いたくなるのは分かるが、それを理由に成果を出すための手がにぶったり、自分の仕事のクオリティが下がる言い分にしているようでは、仕事がなくなってしまう。

また、話すべき相手が「何か話しかけにくい」と感じても、それもまた仕事であり成果を出すためのプロセスである。別にそこで小粋なトークなんて必要ない。仲良くする必要もない。最低限のやり取りさえすれば良いのだ。

つまり、職場の人間関係を気にしてしまうならば、

「職場には仕事をしに来ている」
「成果を出して給料もらうために来ている」

くらいに考えたほうが良い。


 
このように言うと、私がメンタルが強いように思われるが、そのようなことは決してない。それなりに人間関係は気にする。
介護事業において経営や運営という立場にいることから、陰口を言われたり反発されることだって多々ある。中には露骨に目を合わせない職員もいる。

「上の人は現場のことを分かってくれない」と憤慨している人もいるし、「頑張っているのに褒めてくれない」と不満を言う人もいる。単純に私という存在が苦手とか話が合わないとかいう人もいるだろう(実際、直接言われたこともある)。

しかし、そのような人たちのご機嫌とりはしない。目を合わせなくても、とりあえず業務遂行のために必要最低限の情報が伝わり、それに沿って業務をしてくれれば上出来である。

会議ではその人なりの意見を言ってくれれば、その内容に妥当性があれば普通に採用する。私のことが露骨に嫌いな態度を示しても問題ない。だって、その場は成果を出すための話し合いだからだ。

もちろん、指示や協議した内容と異なる動きをしたら注意する。特に介護はチームプレイの仕事なので、独りの判断が利用者(高齢者)の身に危険を及ぼすリスクだってあるから、言うべきときは言う。


 
職場の人間関係で思い悩んでいる人の中で、もしもその仕事自体に不満がなくて、職場の人間関係に居心地の悪さを感じいるならば、本記事を参考にしていただければ幸いである。

別に職場で仲良くしなくたって良い。職場は仕事をするだけの場所だ。
その場所で仕事して、成果を出して給料をもらうくらいに考えればいい。

最低限のコミュニケーションとして、朝の挨拶は明るく「おはようございます」と言って、仕事中は「ありがとうございます」「すいません」「お願いします」くらいで十分だ。

あとは、職場が提示する目的や方針に従って動くことで、自分の時間を費やせばいい。それだけだ。

それでも、その職場がしんどいならば、そのときこそ転職を考えればいい。
それだけだ。


ここまで読んでいただき、感謝。
途中で読むのをやめた方へも、感謝。

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