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仕事は人間関係が良好でなければいけない・・・なんてことはない
■ 職場の人間関係を良好にする必要はない
職場の人間関係に悩んでいる人は多い。具体的に何に悩んでいるのかは人それぞれであろうが、「自分の仕事をちゃんとするためには、職場の人間関係が良好でなければいけない」という思い込みがあると思う。
仕事において人間関係は大切であるが、職場での人間関係が「良好でなければいけない」なんてことはない。
職場とはお互いの職務を遂行することで全体の事業目的を達成する場である。個々のスキルをもって業務を行って情報共有をするのが基本だ。
極論を言えば「基本は個人、たまに他人と一緒」である。
同じ場所で同じ時間、同じ仕事をするチームプレイな仕事であっても、細分化すると作業自体はソロプレイである。そのソロプレイを連結したものがチームプレイになるだけのことだ。
同じ場に同僚やチームメイトがいたとしても、大切なことはその場における自分の職務に専念することである。
■ 「嫌な人」はどの職場にも出現してしまう
介護現場を俯瞰して見ていて、このようなことを考えるようになった。特に介護の仕事では人間関係を理由に辞めるという話はよく聞くが、それは同じ現場で同じ仕事をしていると思い込みがあるからだと思う。
「え? 同じ現場で同じ仕事をしているから、嫌な人がいると悩むんですよ」と反論を受けるかもしれない。
しかし、よくよく考えてみれば作業自体は一人になることが多い。たまに2人ペアになって連携して介助することはあるが、同じ場所で同じ仕事をする時間というのは限られている。
もちろん、「嫌な人」とは同じ職場の人だけではなく、利用者たる高齢者だって含まれることは分かっている。しかし、これもよくよく考えれば介護に限った話ではない。
仏教では”怨憎会苦”という言葉があるように、会うのも見るのも嫌になる他人というのはどこにでもいるもの。それはどの職場でも起こりうることなのだ。しかも、自分が嫌だと思う相手を思い浮かべて「いなくなれ~」と願ったところで100%いなくなることはない。
仕事は基本的に独りきりであり、嫌な人は必ずいるものと割り切ると、職場における人間関係の悩みというものの実態が、いかに曖昧なものかご理解いただけると思う。
■ 仕事に没頭すれば人間関係に悩んでいる暇はない
とはいえ、このように書いている私もまた職場の人間関係に悩む者の1人だ。しかし、それは事業者という経営や人事という視点での話なので、多くの人が抱えている悩みとズレてしまうことから共感が得られにくい。
だからこそ、「自分はこんな人間関係で悩んでいるんだぁ!」と訴えたところで周囲に分かってもらえないということを分かっているとも言える。
そのため、ある程度悩んだら「ま、とりあえず自分の仕事をしよう」「嫌な人がいるけれど今日を乗り切ればいいか」くらいに考えて仕事に没頭するようにしている。
実際、介護の仕事は判断と肉体、そして己の知識と技術が試されることから、利用者に介助をしている間は人間関係の悩みなんて考えている暇がない。人間関係を良好にする策なんて考えている暇があったら、目の前の利用者の介助を終えることが先決である。
それは孤独ではない。自分が自分の責任のもとに、自分の職務を果たすことに没頭する個人としての時間だからだ。
■ 人間関係が良好でなくても、とりあえず仕事はできる
仕事において人間関係を良好にする必要はない。
もちろん、人間関係が良好であるに越したことはない。しかし、無理に良好にしようとしてもうまくいかない。
実際、人間というのは自分が嫌な人がいると思うのと同様に、周囲の誰かも自分のことを嫌だと思っているものだ。それに気づいたからといって良好にするというのは時間の無駄である。
相手から嫌われていると思っても「ここは職場だ。仕事をする場だ。この人のことを嫌だと思うけれど、この職場の目的を達成するための最低限度関わればいい」と割りってもいいのだ。
そう考えて関わることもまた人間関係であり、仕事においては事業目的を達成するということを優先することもプロフェッショナルのあり方だ。
「人間関係が良好でないので成果が出ません」という言い訳をして給料をもらえるわけはない。仕事をして給料を貰っている人はみんなプロフェッショナルだ。
仕事において人間関係が良好でなくても、とりあえず仕事はできる。せっかくだから成果を出しておけば、人間関係は良好でなくとも評価は得られる。評価を得られれば給料にも反映される(はず)。それくらいの話だ。
仕事の人間関係に重きを置きすぎなくていい。人生において仕事なんてそれくらいの位置づけだ。案外、仕事熱心でないくらいのほうが力が抜けて、人間関係は良好になるかもしれない。
ここまで読んでいただき、感謝。
途中で読むのをやめた方へも、感謝。