なぜ「仕事がつまらない」と思うのか?
「仕事がつまらない」という人は少なくない。
このような人はおそらく、1日のうちで何度も時計を見ては勤務時間が終わることを願っているのだろう。
しかし、時間とは貴重である。「早く時間が過ぎて欲しい」と願うことは、それは「早く死にたい」と言っているのと同じだ。
もちろん、自分の死を願っているわけでないことは分かる。単純につまらない状況から脱して、それ以外の楽しいことをしたいだけの話だろう。
とは言え、生活のためにも、つまらなくても仕事はしなければならない。
だから、今日も出勤してはつまらない仕事に従事する。
しかし、仕事がつまらないという負の感情は拭えないから、今日も何度も時計を見ることになる。
このような話をすると「仕事を面白くしよう」「仕事を好きになろう」といった考え方の話になる。
しかし、仕事に限らず、自分がつまらないと思っていることを面白くする、あるいは好きになるなんてことのほうが難しい。
そんなポジティブな考え方ができるならば、おそらく「仕事がつまらない」なんて思うことはないだろう。
もちろん、どんなに過酷な状況であっても前向きに考えたり、自分の心の中は誰にも侵害されないと分かって生きることは大切だ。
しかし、今はそういう話でない。そもそも「仕事がつまらない」というのは、「その仕事が嫌い」「今の仕事が辛い」という話ではない。そこまでの話ならば、好き嫌い以前に辞めたほうが良いだろう。
ここでのポイントは、「なぜ『仕事がつまらない』と思うのか?」である。
なぜ「仕事がつまらない」と思うのか?
それは「言われたことを、ただやっている」からである。
言い換えると「自分の考えが介在していない」からである。
それは突き詰めると「仕事に対して無責任」ということだ。
これは逆算的な考えであるが、(何だかんだ言って)仕事が楽しい、充実しているという人は、自分が担当する仕事に責任をもっている。
責任をもつということは、これから自分が行う仕事に対して向き合うということである。
「この仕事は何のためにあるのか?」
「どのような成果を出せばいいのか?」
「そのためにはどのような準備が必要か?」
「この仕事に関わる人たちは誰か?」
仕事に責任をもつと、意識的または無意識に「自分を変えねば」と思うようになる。それが仕事を乗り越えたときに「大変だったけれど、楽しかった」という感想になるわけだ。
一方、「仕事がつまらない」という人は、仕事に責任をもっていないので、その仕事の目的も成果にも興味がなく、そのため準備も人間関係も気にしようとしない。
自分を変える必要もないので、そのままの自分で言われたことをやって、何となく1日を過ごす。そこには責任というエキサイティングな要素は一切ない。結果、仕事を乗り越えたという感慨もない。
このような毎日を送っているわけだから「仕事がつまらない」となるのは当然だと思う。
別に「1つ1つの仕事に責任を持て!」なんて言うつもりはない。そもそも、責任というものは意識して身につくものでもない。
それでも、責任というスパイスがないまま日々の仕事をしていても、つまらない状況は変わらないのは言うまでもない。
責任というものを強制的に奮い立たせるには1つ方法がある。
それは「自分がやったことのない仕事をする」のが手っ取り早い。
いわゆる「コンフォートゾーンから出る」というものだ。
それは何も、全くの未経験でなくても良い。何なら「この仕事を引き受けると面倒くさいことになる」ということでも良い。
ここで大切なことは、完璧に仕事をこなすことではない。
とりあえず「グダグダになってもいいから、未経験のことに自ら飛び込む」というスタンスである。
自分がやったことのないこと、面倒事を自分から引き受けてやってみる。
それで給料が上がるわけでも、周囲から評価を得られることもない。
しかし、自分のエリアが広がるという感覚は得られると思う。実際、未経験だからこそ、何とかしようと足掻くプロセスの中で、自分がそれまで目を向けなかった視点やスキルが身につく。
それに気づけば「仕事がつまらない」とはならなくなる。何だか自分本位な考え方かもしれないが、「仕事がつまらない」と思いながら出勤している日々よりはマシだろう。
――― もちろん、未経験のことや面倒事、新しいことに飛び込むのは二の足を踏むだろう。しかし、その仕事をやってみたい・やりたくない、興味のありなしなどの如何に限らず、「これ、誰かやってみる?」という仕事が現れたら、とりあえず手を上げてみればいい。後に引けない状況にするのだ。
私事で恐縮だが、立場的に仕事を振られるということはないものの、次々とやったことのない仕事(トラブルや難問など含む)が現れるので、受けざるを得ない日々である。
正直言って、逃げ出したいことも多々ある。しかし、終わってみれば「ああ、やってみて良かったな」と思う。もちろん、何の感情も湧かないこともあるが、家に帰ればどっと疲れが出てよく眠れる。それだけで儲けものだ。
別に仕事を面白くしようとしなくてもいい。しかし、つまらないと思うならば、それは職場や上司がどうこうする話ではない。「つまらない」を何とかするのはあくまで自分なのだから・・・。
ここまで読んでいただき、感謝。
途中で読むのをやめた方へも、感謝。