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「人から聞いた話」は大抵の場合、真実ではない

私はニュースをほとんど見ない。そのときの自分にとって必要な情報を、随時入手できれば問題ない。

これは「人から聞いた話」も同様である。

特に「人から聞いた話」は必要と思っていないのに、勝手に周囲から舞い込んでくる。正直、迷惑だと思うこともある。

それは「人から聞いた話」の大半は、真実でないことが多いからだ。

そもそも真実なんてものはないが、何かの出来事に対して1人の人間の認識を経由すると、そこには必ず当人の価値観や偏見が入り込む。

そのような価値観と偏見によって、インプットされた出来事や情報が純度を失い、アウトプットされるときには別物になってしまう。それを真実とは呼べない。


 
介護事業の運営をしていると、たまに「スタッフのAさんは利用者さんを怒鳴っている」「Bさんは手を抜いて介助をしている」みたいな報告がある。

しかし、よくよく話を聞くと、それを報告してきたスタッフはその場を見ていないということが多々ある。そこで話の出所を聞くと「人から聞いた話」となるわけだ。

これはカンファレンスといった話し合いの場でもある。その場にいる全員が問題を目の当たりにしているような雰囲気で話すものの、それもまた「人から聞いた話」がベースであり、半分以上が自らの目で聞いたり、実体験としてあるわけでない。

そのため、深く事実確認をしたり、話に整合性のとれない部分を指摘すると、問題を報告してきた人たちの間で「え? あれってそういう意味じゃないよ」「え、聞いた話と違う」みたいに揉め始めることもある。

問題を報告してくれるのはありがたいが、「人から聞いた話」だけで議論しようとすることに呆れてしまう。 ハッキリ言って時間の無駄だ。
 


 
「人から聞いた話」の多くのテーマは「「〇〇さんはこうだ」という、特定の人物をターゲットにしたものが多い。

きっと、このような共通認識下の「悪人」「敵」がいることで、それを指摘している自分たちに正当性を持てる気になるのだろう。

しかし、情報ソースは「人から聞いた話」なのに、それがまるで真実かのように広まると「〇〇さんは悪い人なんだ」「〇〇さんは倫理に反した存在なんだ」みたいに決めつけてしまうのが人間だ。

すると、そのターゲットにされた人は、少しのミスや一時的な態度によって「やっぱり〇〇さんは、聞いていたとおりの人なんだ」という確信を周囲に抱かれてしまう。

そして以降は、何をやっても「〇〇さんは危険だ」「〇〇さんに任せてはいけない」みたいな雰囲気になる。

しかし、何度も言うがこれらは全て「人から聞いた話」がもとになっており、真実かどうかなんて誰にも分からない。
むしろ、真実かどうか分からないまま、「人から聞いた話」だけでその人物を「悪人」「敵」と認定するほうが、よほど「悪人」ではないだろうか?



特定の人物を「悪人」「敵」にする前に、「人から聞いた話」を知った時点で、すぐに事実確認をしたほうが良い。

具体的には「こういう話を聞いたんだけれど、本当?」と本人に聞くのだ。

すると、事実ではないこともあるし、仮に事実であっても何かしらの事情があったことから納得できることもある。

また、その場面を見た人が「〇〇さんのやっていることは問題だ!」と思ったとしても、当人から話を聞けば「いや、〇〇さんのやっていることは一般的だよ」となることもある。

つまり、その場を見て「問題だ!」という人の無知こそが原因であるのだ。そういう意味で言えば、良く知らないままに周囲に「問題だ!」という人のほうがよほど問題である。 


 
そして何より「人から聞いた話」が悪影響になる根本的な原因は、単純にコミュニケーション不足なだけである。

上記で「〇〇さんがやっていることは問題だ!」と言う人に限って、その当人との関りが薄いものだ。もしかしたら、苦手なのかもしれないし、ウマが合わないのかもしれないが、そのような関係性なのに問題視して周囲に喧伝するわけだ。

そしてさらに、「人から聞いた話」を真に受けた人たちもまた、ターゲットとなった当人と関わりが薄い。もしも、日常でそれなりにコミュニケーションをとっていれば「え、〇〇さんが? ・・・それって何かの間違いじゃない?」「ちゃんと本人に事情を確認した?」となるはずだ。

しかし、職場に限らず私のもとに来る「人から聞いた話」をベースにした問題の多くは、それを問題視している人たちと、問題視されている当人との間で話し合いが欠落している。

それを指摘すると「いや、問題のある人への事実確認や注意をするのは上の立場の方がやるべきでは・・・」と目を逸らす。

自分たちは当人と直接関わる気はないのに、他人にそれを求めるとは、ずいぶん都合の良い話だと思ってしまう。 


 
何だか辛辣な記事になってしまったが、「人から聞いた話」だけで勝手に問題視して、その問題解決を他人(上司など)に委ねるのは滑稽であると思うから、このような内容になった。

もちろん、問題を最初に上司などの判断者に相談するのは適切だ。しかし、その情報ソースや問題(と思われる)のスタートが「人から聞いた話」である場合は、まず1番の情報発信者に突っ込んで聞いてみればいい。

それができないということは、インターネット上のとんでも話を真に受けているようなもの(かつては”情弱”と言われていた)だと思ったほうが良い。

真実かどうか、問題かどうかは、その情報を受けた人の処理能力である。
つまり、「人から聞いた話」だけで動く人は情報処理能力が低いのだ。

「人から聞いた話」をベースに動くことはやめよう。
というか、そもそも「人から聞いた話」を聞くこともやめよう。
それが1番の対策である。

ここまで読んでいただき、感謝。
途中で読むのをやめた方へも、感謝。


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