スキルアップ・キャリアアップの道標を職場が準備して当然という風潮
求人広告を見ると、賃金はもとより「スキルアップ」や「キャリアアップ」もアピールポイントになっている。
充実した教育制度、資格取得の支援、職務段位といった求職者が自分の将来をイメージできるようなPRをする。
これにより求職者は「ここなら自分を成長できる」と期待して、賃金などと総合的に判断して応募を決める。
特に未経験で応募する場合は「初心者の自分なんかが働いていけるのだろうか?」と不安に思うため、しっかりとした教育制度があれば安心できるのはよく分かる。
もちろん、このような方々が入職したあかつきには、求人した職場は表記したPRどおりに「スキルアップ」や「キャリアアップ」できるよう働きかけをしなければいけない。
一方、求人に応募した側も、入職したからには一人前になろうと成長する姿勢が求められる。そこも踏まえて職場は求人を出している。
何だか上から目線の物言いだが、働くということはそういうことだ。
もちろん、職場は最初のうちは基本スキルや具体的な作業内容を教えたり、職場間の人間関係を取り持つ必要はある。
しかし、この辺りをいつまでも「職場がやってくれる」と思うのは違う。
どこかの段階で独り立ちして、自分の役割に責任をもてるようになってこそ第一段階の「スキルアップ」「キャリアアップ」である。
そして、自分の役割を職場の期待通りに達成できるようになってはじめて、求人募集で見たとおりの賃金を受け取っていると言えるようになる。
もちろん、そこまでの間も提示された賃金を出しているが、この間は職場としてその人が成長するまで投資していると考えたほうが良い。結構、この辺りを勘違いして「自分ひとりで成長した」「自分はもっと賃金を貰えるはず」という振る舞いをする人はいる。
残念ながら、そのような人の成長は停滞する。そして、後から入職した未経験の新人にすぐに追い抜かれてしまう。
なぜ、成長が停滞するのか?
それは「スキルアップ」や「キャリアアップ」に対して受け身になっているからだ。受け身とはどういうことかと言うと、次のようなイメージだ。
「スキルアップ」に必要な教材を職場がイチから準備しておいてくれ、
順番が来たら指導員がその人のもとに足を運んで丁寧に説明してくれ、
つまずいても手取り足取り優しく解説して、
クリアしたら「おめでとうございます!」と労ってくれる。
今後の「キャリアアップ」について色々な選択肢を提示してくれ、
そのために必要なプロセスを実力に合わせてコーディネートしてくれ、
成功するまで応援したり失敗しても違う道も容易してくれる。
――― 多少は大袈裟に伝えてみたが、それでも「スキルアップ」や「キャリアアップ」の取り組みについて、”お膳立て”してくれると勘違いしている求職者が増えているように思う。
つまり、「スキルアップ」や「キャリアップ」も職場が道筋を準備して当然と考えている。それに乗っかっていればエスカレータ式にレベルアップできて、幸せなキャリアが待っている・・・という受け身な姿勢だ。
しかし、当然ながらこんな受け身の方は成長しない。なぜならば、ある程度のお膳立てがあったとしても、成長とは結局は自分の意志をもって行動するしかないからだ。
このあたりを勘違いして、さらに「自分ひとりで成長した」と考えている人は、そこから誰も成長の手伝いをしてくれるわけはないので、気が付くと初心者クラスで立ち止まったままになる。
辛辣な言葉が続いたが、何度も言うようにこれが働くということだ。
賃金という対価を得るということは、こういうことなのだ。
黙って口を開けて入れば親鳥がエサを運んでくれる時期を脱却し、自ら羽ばたいて何度も失敗しながらエサを食べていかなくてはいけない。
社会は別に厳しくはない、単純に甘くないだけだ。
自分の成長すら「誰かがやってくれるだろう」と思っているような人は、誰も相手にしてくれなくなる。だからこそ、最初のうちはがっちり基礎を学ぶことができたら、その一方で自らも学習や思考・試行することが大切だ。
――― 何だか説教臭くなったのでここまでにする。
自分の職場の求人を出すときに「スキルアップ」「キャリアアップ」というワードが引っ掛かっただけだ。そんな八つ当たりのような記事となって恐縮だが、成長に関しての考え方は間違っていないと思う。
1日5分でいいから、自ら行動して成長や将来に向けた取り組みをする時間を設けてはいかがだろう。
ここまで読んでいただき、感謝。
途中で読むのをやめた方へも、感謝。
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