他人の仕事を安易に引き受けすぎないほうが良い理由
他人の仕事を安易に引き受ける人がいる。
それは他人の頼みを断れない性格だったり、その後の人間関係を気にして引き受けてしまうなど色々な理由が挙げられる。
しかし、他人の仕事は安易に引き受けすぎないほうが良い。
予めお伝えしておくが、何も「他人の仕事を引き受けるな!」と言う意味ではない。「引き受けすぎないほうが良い」くらいの話である。
本記事では、その理由を簡単にお伝えしたいと思う。
① 自分の仕事のパフォーマンスが落ちる
人間誰しも1日24時間の持ち時間しかない。その中で個人ができることには限りがある。その限りある貴重と言える時間の中で、自分のやるべき仕事を行うしかない。
しかし、そこで他人の仕事も引き受けてしまうとどうなるか?
余程スケジュール管理ができていたり、色々な仕事をさばけるスキルがあるならば問題ないが、大抵の人はそうではないのでやることが増える状態になってしまう。
やることが増えるということは、自分のやるべき仕事の持ち時間が少なくなる。また、1つ1つの仕事に対しての体力・判断力などのリソースの配分も小さくなってしまう。
その結果、引き受けてしまった他人の仕事も含めて、自分が抱えている仕事の1つ1つのパフォーマンスが落ちてしまうという事態になってしまう。
② 自分の健康を損ねることになる
上記のように1つ1つの仕事のパフォーマンスが落ちてしまうことは避けたいと思うだろう。
すると多くの人はどうするか? 残念ながら仕事を減らすなんてことを考える人はあまりいない。
多くの人は、自分の持ち時間の中から仕事以外の時間を減らして、仕事に取り組もうとする。仕事以外の時間とはプライベートであり、そこには食事時間、睡眠時間といった健康に関係する要素も含まれる。
食事や睡眠時間、加えて運動するといった健康に関わる時間を減らすとなあるとどうなるか? それは当然ながら不健康になる。健康を損ねる。
健康を損ねた状態のままで仕事をするとどうなるか? 当然ながら仕事のパフォーマンスが落ちてしまう。短期的には健康を損ねて仕事のパフォーマンスを維持できるかもしれないが、長期的には仕事のパフォーマンスは低下してしまうの
③ 他人(担当者)の成長にならない
自分の仕事を自分以外の誰かに任せる人がいる。
それは良く言えば「他人に頼るのがうまい」ということであり、昨今ではビジネススキルとしても必要だとされている。
しかし、それは他人に任せることで、自分が本当にやるべき仕事に専念したりクオリティを上げるといったことを期待してのことだ。決して自分以外の誰かに丸投げしてサボることではない。
他人に頼ることは大切であるとは言え、本来であれば自分の仕事は自分でやるのが基本である。そして、それは自分の仕事を自分の力で遂行することによって、色々な成長が遂げられるという意味もある。
仕事は「面倒だ」「少し大変だな」「苦しいな」と思うことほど、それに向き合って試行錯誤しながら乗り越えたとき、それが失敗で終わっても「やって良かった」と思える。それもまた成長である。
しかし、最初から他人頼みだと成長につながらない。それは職場のチームメイトの一員としての怠慢でもある。少し大変でも最初は自分でやるという姿勢はあるべきだと思う。
④ 引き受けた人がいなくなると職場が回らなくなる
ここまでお伝えしても、他人の仕事を引き受けてしまう人はいる。そうして知らず知らずのうちに、色々な仕事を引き受けてしまった人は職場内で色々なことができるようになり、職場のことを色々把握できる人になる。
何だかそれは良いことのように見えるが、それはその職場にとって非常にリスクであると思ったほうが良い。
これまでのビジネスでは、職場に1人の有能スタッフがいることが良いとされてきたが、この複雑で多様な社会においてはむしろ職場は「分散型思考」であったほうが有益であることがある。
色々なことができる・知っている人がいれば安心かもしれないが、その人だけに負担が集中しすぎると、それこそコンピュータのようにフリーズしてしまう。
いや、フリーズなら良いほうが。問題なのはその人が倒れてしまったり、復帰不能になってしまうことである。そうなると、今まで色々な仕事を個人に頼ってきたツケは職場全体に押し寄せてしまう。
要は「あの人がやってきた仕事が誰もできない」「任せっきりだったからどうすればいいか誰もわからない」という事態になるわけだ。その姿はひどく滑稽でもあるが、今まで自分がすべき仕事を他人任せにしてきたツケを払うしかないだろう。
――― とまぁ、本記事は何かのビジネス書にも書いてあるようなことをお伝えしてきたわけだが、それでも他人の仕事を安易に引き受けてしまう人は少なくない。
何ならその延長で、他人のミスや職場の失態まで引き受けてしまうこともあるらしい。他人の仕事を引き受けてきた結果、自分の範疇ではないことまで背負わされるのだ。何というバカバカしい話だ。
もしも、他人の仕事を安易に引き受けすぎていると自覚しているならば、他人の仕事を引き受けすぎて疲弊しているならば、たまには勇気をもって断ることも大切だ。
可能ならば、「たまには自分でやってください」と言ってもいいだろう。おそらく相手は驚くだろうが、そうでもしないと甘えが常態化してしまっている人もいるにはいる。どこかで気づくことも必要だろう。
仕事は人生の大半の時間を費やすが、それはあくまで自分の仕事の範囲だ。
他人の仕事まで自分の時間、つまり自分の人生に割り込ませようとするのは違うと思う。
もちろん、そのとき・今後の関係性を意識して意図的に引き受けるならば良いし、自分がやったことのない仕事を1つの経験としたいならばそれも良い。
何でもかんでも引き受けず、自分として意義や納得感をもってから他人の仕事を引き受けるようにしよう。
ここまで読んでいただき、感謝。
途中で読むのをやめた方へも、感謝。