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#2 『確率が10万人に1人の病気』

泣いてる妻の手を握り、背中をさすりながら

『これから俺達がしっかりしなきゃいけないよ
あさひが1番辛いんだから』
『頑張ろう あさひの人生、全力で一生支えよう、あさひなら必ず乗り越えられる』
『俺達の息子は負けない』

二人で泣きながら
自分に言い聞かすように励ました

食欲もなく
切り替えなければいけないと
頭では理解していても
現実を受け止めることができず
その日の夜は、お互い涙が止まらなかった

一睡もできずに次の日を迎えた
面会時間は11:00からだったが
9:00から大丈夫です
あさひ君が会いたがってますと
病院から連絡が入り、急いで車を走らせた

ママの顔を見た瞬間に息子は泣きはじめた
全身の身動きが取れずに左半身は動かない
大人でも不安なのに9歳の子供が耐えれるわけがない、、

『もう大丈夫だよ、怖かったよね、ごめんね、、』

会話はできる状態
顔色も昨日よりは良くなってる
良かった、、

午前に2回目のMRI検査
終わった後に顔を見に行ったら

『お腹が空いた、昨日から何も食べてないから』

『そうだよね、何が食べたい?』

『しょっぱいものがいい、、ポテチとか、、』
飲み物は大好きなオレンジジュース

看護師に相談したところ
少量ならオッケーと承諾を得た
すぐに一階のコンビニで買ってきて
食べさせた

バリバリと勢いよく食べていた

『あさひ!今日はクリスマスだから
サンタさんからプレゼントが届いてるよ』

『え、、今日クリスマスなの?クリスマスなら骨付きチキンとケーキが食べたい』

『お家に帰ったら一緒に食べような』

嬉しそうに頷く息子を見て
胸が痛くなった

息子はサンタさんへの手紙で
【最新ポケカBOXを3つ】お願いしていた

以前、息子は
『BOXを一気に開封するのが僕の夢』
と言っていた

しかし、このBOXは
何処に行っても即完売してしまう
ネットでも偽物が横行していたり
手に入らないポケカだったのだ

当日までに用意できずにいたので
仕方なく、違うプレゼントを用意していた

でも不安と恐怖心と闘っている息子を
少しでも喜ばせたくて勇気付けたくて
息子が倒れた夜に
ダメ元で親戚、友人、知人に事情を説明して
ポケカを探してもらっていた
皆が色んなところに問い合わせて探してくれて奇跡的に3つ用意してくれたのだ!
本当に感謝しかない、、

明日には手術で意識が1日中戻らない
もし失敗すれば
重度な後遺症や命を落とす可能性もある
難しい手術だ

意識がはっきりしているうちに
12/24の今日、プレゼントを渡すことにした

お菓子を食べ終わった後に
息子の夢だったポケカをプレゼントした

『サンタさんが持ってきてくれたよ!良かったね!』

頷きながら息子は嬉しそうにしていた
顔が少し麻痺しているので
笑顔は作れないが、嬉しかったと思う

まず一つ目を開けてカードを確認
二つ目を開けるかと思ったら

『今日はもう開けない』

『どうしたの?一気に開けるのが夢だったんじゃないの?』

『元気になってから開ける』

息子を不安にさせないようにと
【あさひの前では泣かないようにする】と
夫婦でルールを決めていた

涙が溢れそうになったのをグッと堪えて
『うん、そうだな!元気になってから一気に開けような!約束だよ』

息子と一緒に目標を誓った

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アサリク
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