第30話 楽々人間関係②(転生神語)
他人に関心が無くなると、人間関係が、本当に楽になるけれど、私は、最初から、それを目指していたわけではなく、自分を掘り進んで行ったら、結果として、そうなった、ってことだった。
以前の私は、他人優先で、常に、頭は、人の事ばかり。困っている人を見ると、ほっとけなくて、ついつい相談に乗ってしまっていた。一人で居る時も、「あの人、こうしたらいいんじゃないか?」とか、「ああしたらいいんじゃないか?」とかって、解決策を考えてあげていた。
結局、相手は、相談するというより、悩みや愚痴を、聞いて欲しいだけだった。それなのに、私は、それを自分事の様に、受け入れていた。しかし、相手は、愚痴や悩みを出し切ってしまうと、連絡をして来なくなり、私が久しぶりに連絡すると、そっけない感じだったり、相談したことすら、忘れられていて、がっくりしたこともあった。
結局、私は、愚痴や悩みのはけ口にされただけで、なんて馬鹿だったんだろうと思った。随分、自分の貴重な時間を無駄にしてしまった。
もう、二度と、こんなことやらない!
もう、他人の問題に、首を突っ込まない!
私は、プライベートの人間関係を、全て遮断した。慣れるまで大変だったが、一人の時間を増やしたら、本当は、自分は、一人が好きだった、ってことも分かった。
触らぬ神に祟りなし!
他人の問題に関わって良かったことなど、一度も無かった。相手に感謝されるならまだ良いが、度を越せば、お節介と取られる。感謝されたとしても、一時的だ。
プライベートの人間関係を全て遮断したことにより、頭の中を占めていた他人が、少し消えた。しかし、職場は、退職するまでダメだったし、
身内は、どうしても感情的になるから、さらにダメだった。ついつい、トラブルに口出して、巻き込まれたり、八つ当たりされたりして、口論になってしまったりで、ストレスになるだけだった。
いくら身内であっても、自分が関わっていない事には、介入しないこと!
何故なら、自分の幸せには、関係無いことだから!
私は、無意識のレベルまで、身についてしまった、この厄介な癖を直す為に、
触らぬ神に祟りなし!
触らぬ神に祟りなし!
と、自分に言い聞かせた。他人の事を考えそうになると、この言葉を思い出した。
自分が、この事を意識し始めたら、周りの人たちが、他人の事を、あれこれ言っているのが、気になって仕方がなくなった。
自分が幸せなら、それで良いけれど、知らず知らずのうちに、ストレスになっているようだと、自分の生命エネルギーを減らしてしまって、挙げ句の果てに、病気になったり、寿命を縮めることになりかねない。だから、
触らぬ神に祟りなし!
この言葉を意識しなくなった時、私の頭から、他人が、完全に消えていた。そして、他人と、気楽に付き合えるようになっていた。