動き出すことがやっとできた。
10年前の暑い夏だった。実家に帰っていた私は、次の日に小児病棟でケーキを子どもたちと作る講習のために、滋賀県に戻る最中、京都駅で一息ついていた。
携帯は持たないくせにiPadは持ち歩いていて、駅ビルの喫茶店でメールをチェックしていたら、彼女からメールが届いていた。
タイトルは覚えていない。
明日行くはずの病院には、彼女の6才の女の子のお子さんが入院していた。その子のために始めたボランテイアだった。
講習は中止になった。
あの子はケーキを作るのを楽しみにしてくれてたのに、作らせてあげるとこができなかった。
私はそれから小児病棟でボランティアをしていない。
前にnoteに書いたけれど、ケーキが食べられない子どもたちだから、お誕生会やクリスマス会にケーキがあると嬉しいんですよ、という看護師さんに教えてもらったことを、その女の子の思い出とともに、抱えていた。ずっと心に引っかかっていた。
インスタでフォローしてくれた方に、小児病棟に手作りおもちゃを作って、届け続けている方がいらした。そしてその方の元には、子どもたちのためのたくさんのおもちゃやマスクや巾着が届いていて、いつも届いた段ボールを開ける様子を動画にアップされていた。
クリスマスが近づくにつれ、毎日続々とプレゼントがアップされる。それを見ているだけでもとても楽しかった。
そして思ったのだ。
「この方にケーキを作って届けてもらおう」
クリスマスケーキを2ホール、ピザを3枚作って、11月30日に届くように送った。そして私のプレゼントも、その方のインスタに動画で段ボールを開けるところからアップしてくださった。
普通に生活していても出会うことがないだろうな、という方にふと出会える。私はそんなネットの空間が好きだ。noteでもそう。私はiPad越しに、共鳴したり、励まされたり、教えてもらったり、エールを送ったり、笑ったり、唸ったりしてる。
ようやく動くことができた。