未経験で人事になりたいあなたへ 015/100 日下 なつめさん
未経験で人事になりたい方向けに、人事コンサルタントの多田が100人の人事にインタビューをする企画「未経験で人事になりたいあなたへ」
日下さんは、Twitterを通じて知り合い、今回のインタビューを通じて初めてFace to Faceでお話をさせていただきました。
会社や「人事」という仕事に対する想いだけではなく、プライベートのお話も含めて伺わせていただき、控えめにいってめっちゃ楽しかったです・・・!日下さんと話をすると、誰でもスターティアさんに興味持っちゃうと思います。
経歴
ー 一番最初の経歴からお伺いしてもいいですか?
新卒で、中小企業向けにITインフラの整備事業を展開しているスターティア株式会社に入社しました。入社してから6年程度は法人向けのセールスを担当していて、実際に営業するところからチームを持ってマネジメントを経験しました。
その後、新卒社員を専門に教育する部署に異動して、教育者として5年間新卒社員の研修やオンボーディングを担当していました。
ー セールスから育成担当に異動した背景はなんだったんですか?
会社側からアサインされたことがきっかけです。私が会社のことを大好きだったこともあって、セールスよりも会社を好きと言う価値観を広めていく役割の方が適している人材だと評価されたのだと思います。私個人としても、セールスの中でポジションを上げていくタイプではなかったなと認識していました(笑)
ー 育成担当としてはどんな仕事をしていたんですか?
ハード面・ソフト面の両方を、お客様先へ行って提案をする一連の流れの中でOJTという形で教育していました。ハード面では知識のインプットやテキストの打ち方であったり提案書の作り方といった部分を、ソフト面では社会人としてのあり方やスターティア内でのあり方、仲間とどう切磋琢磨して、どう失敗していくかというようなところを教えていました。
スターティアの中で活躍してもらうことはもちろんですが、スターティアで新卒キャリアを始めたことでビジネスパーソンとしての今後の礎を築いていってほしいという想いがあるので、会社として新卒社員の研修にはかなりのリソースを割いています。
現在は、育成の部署に人事から採用の役割だけをもってきて、育成と採用が一つの部署になっています。
現在の仕事内容
新卒採用の企画・選考・内定者のフォローといった採用業務全般と実際に入社した若手メンバーのオンボーディングとして研修や1on1などをやっています。
他にもSDGsの観点から、平等な学習機会の提供・ジェンダー・グループ内の健康と福祉についても社内方への掲載、アンケートの実施、施策検討などを通して携わっています。
経験してきた人事の仕事
人材採用は現在2年目で、人材育成・組織開発に関しては5年間みっちりやっていました。
制度設計・運用に関しては、過去に女性活躍の観点からいくつか制度を検討し施行させるというプロジェクトに属したことがある程度です。
人事の仕事のポジティブな面
・ダイレクトに成長を感じることができる
新卒で入社した社員に始まり、会社や自分自身まで全ての人の成長を毎日のように感じることができます。例えば、会社の代表と直接「こんな組織にしたい」という話をしていたり、採用したメンバーの大きな成功や失敗を肌で感じたりした時には、組織として前進できていることを実感します。
・多面的に考えることができるようになる
人事の仕事は、物事を多面的に捉えることが必要な仕事だと思っています。例えばあまり良くない知らせを聞いた時にも、人事というポジションだからこそ、「今から変えれることは何か」「誰をアサインするのが適切か」を考えて実行に移すことができます。
・どんどん会社のことを好きになる
元々会社のことを好きでしたが、より好きな部分が増えています。成長を感じることができたり、誰かの成長を第三者的に耳にしたりした時には、自社の良さを再確認することができます。
人事の仕事のネガティブな面
・できることの範囲が広すぎる
人事は深い沼のような仕事だと思っています。やれる事のスケールの大きさに対して、「頑張ろう」とモチベーションを掻き立てられる反面、どこから手をつけていいのか目の前が雑然としてしまうこともあります。自分の力量の足りなさを実感することが多いので、ネガティブな気持ちになることも時にあります。何か課題が見つかった時に、その課題が一過性のものなのか潜在的な別の課題があるのかの判断も難しいですし、その課題を掘り下げて別の課題が芋づる式に見つかった時には、目を背けたくなることもないわけではないですからね。。
・立ち位置が難しい
「私が会社のことが好きだ」ということが社内に認知されている分、私に会社について相談することを躊躇させてしまっていることを感じる場面があります。その場面に直面すると、自分の立ち位置に悩むことがあります。人事は、ニュートラルな立場であることを社員に見せることで得ることができる情報も多いと考えています。私自身、ニュートラルな立場とは真逆に位置しているタイプなので、組織にとって本当に必要な人事になれるのか考えさせられることがあります。
人事プロフェッショナルに必要な要素
・ニュートラルな立場にいること
自分がニュートラルな立場にいることを他者から認知してもらうことも必要ですし自分の機嫌をニュートラルに保って、感情を入れずに全て事実として受け取ることが大事だと思っています。物事が良いことであるか悪いことであるかというのは、物の見方による部分が大きいと感じるからです。誰かの今後の人生に関わる場面に立ち会うことが多い分、良いか悪いか、好きか嫌いかではなく、事実として捉えることが重要です。
・好きになろうとする努力
会社だけでなく、人や事業やこの世の中ですら好きになろうとする姿勢でいるといいと思います。どうしても変わらないことに対して嘆いていても仕方ないので、自分の捉え方や解釈を変えたり、事実を知りにいこうと努力したりすることは必要かと思います。ダメな部分をしっかり受け入れて、なるべく良いところを見ようとする姿勢で、会社やチームメンバーに接することが大事だと思っています。
・動いてみること
世の中で高い評価を受けているものには、何かしらの理由があるはずです。具体的なところでいうと、Wantedlyが最近のトレンドだなと感じるのであれば、実際に記事を書いてみたりユーザーとして登録してみるといった行動を起こす姿勢が大切です。人事の目線でのみ物事を見ると視野が限定されてしまうので、求職者の目線になるための行動を起こすことも必要ですし、世の中の動向を把握するという意味で、守りより攻めのスタンスでいることが重要だと思います。
人事キャリアを目指す方にアドバイス
ひとつの答えに辿り着いたとしても、もういくつかの選択肢を出してみて多面的に物事を捉える練習をすることをおすすめしたいです。自分の属性・役割とは異なる人を想像して、その目線から考えるとまた新しい結論に至ると思います。例えば、男性なら、アメリカ人なら、60代ならどう考えるだろう?といった具合です。これを今のうちから繰り返すことで、広い視野と共感力を持った人事になれると思います。
私自身が視野が狭いタイプだったので、答えをひとつ出した時にもうひとつプラスで答えを出すことを意識していました。まだまだ視野が狭いとは思いますが、いろんな人に共感する力には繋がっている感覚があります。
あとは、感謝することですね。生きていること自体が奇跡だと思うので、何かが起こるたびに心の中でずっと「ありがとう」という感謝の気持ちに変換することを心がけています。マイナスなことが起きたとしても、それをプラスな方向に変換して意味づけすると良いのかなと思います。
分人主義の考え方を大事にしています。例えば今インタビューを受けている自分と学生の前で話している自分など、その瞬間瞬間の役割を演じて生きているのが人生だと思っています。退職面談など本意ではない仕事をする時も「こんなことをやりたいわけじゃなかった」と思うのではなくて、「こういう役割を演じている今だ」としっかり自分を分けてそのシーン毎の役割を全うするという考え方をするのがいいと思います。
最後に、人生に一生懸命な人に人事になって欲しいなと思います。会社に所属して人事の仕事の役割を担うということ自体は、人生の中の1シーンに過ぎないと思っていて、そもそもの人生というストーリーを一生懸命に生きている人は周りにも良い影響を与えられると信じているからです。