人事のためのキャリアコンサル_009:身近に人事のロールモデルがいない
「人事のためのキャリアコンサル」とは、"人事"プロフェッショナルの方々のキャリア支援を目的に、架空の人事経験者のプロフィールを元に、「もし私だったらこんなアドバイスをする」をまとめたコンテンツです。
キャリアサマリ:
28歳、女性
日本語ネイティブ、英語ビジネス上級レベル
新卒で大手人材エージェント企業でRA・CA両面のエージェントを3年経験、現職は組織規模300名程度の事業会社のリクルーターとして4年目
現年収700万円
課題:
現職では人事チームが男性ばかりで、自分のロールモデルとなる方がいないため、自分の将来のキャリアを想像しづらい
キャリアアドバイス:
人事も含めた管理部門の場合、一般的には非管理部門に比べて社内の人員が少ないため、組織規模が小さくなればなるほど、「ロールモデルがいない」と悩む方は多いでしょう。
まず、「ロールモデルか否か?」を人が判断するにあたっての項目を洗い出してみます。
キャリアとして"成功"しているか?(そもそも自分にとっての"成功"の定義が曖昧だと判断ができない)
自分が理想とするワークライフバランスを実現できているか?
尊敬に値する人間性、価値観、行動規範などを持っているか?
専門知識や卓越したスキルを持っているか?
自分が理想とするリーダーシップスタイルか?
学習意欲や成長意欲、変化への適応性を持ち続けているか? など
上記以外にも人によって判断軸はあるでしょうから、全てに合致する人を職場内に求めるのは、規模の大きな会社(人事チームだけで50名以上程度)でも難しいでしょうし、ましてや人事チーム数名の組織であればロールモデルがいることを期待すること自体に無理があります。
そのため、自分の人事としてのロールモデルを求めるのであれば、社内にいたらラッキーで、基本的には社外に求めた方が良いです。
人事のロールモデル探しに限らず、「会いたい」を思った人にアプローチをすることは、自分の学びを深めるためには必須スキルだと思っています。
その中でも特に、人事の仕事の場合、会社/立場をオープンにしたインターネット&書籍では発信できない情報が多くあります。例えば、労務トラブルへの具体的な対処方法や、Exit Managementやアウトフローと言われる退職に関わる業務は、表層的な情報は拾えても、実務や実例を知るためには、経験者の方から直接聞かないと分からない部分が多いです。
人事のロールモデルを見つけるためのステップについて考えてみます。
アウトプットを見つける
アカウント/連絡先を見つける
連絡をする
1.アウトプットを見つける
Wantedlyや自社採用ページで、自社の人事に関する取り組みを発信する企業が増えています。そのため、人事のアウトプットを探すことが容易になっています。
例えば、以下のようなチャネルで、人事のアウトプットを探すことができます。
Wantedly
Twitter/LinkedIn
「日本の人事部」等の人事関連メディア
Google/Yahoo!JAPAN等から「人事」のキーワードでニュース検索
採用だけではなく、育成/組織開発/制度設計等の幅広いアウトプットを探すことができ、「なぜやろうと思ったのか?」「何を考えて実施したのか?」など、手法+思考や思想も垣間見えることができる情報もあります。
そこから、企業規模や会社・事業の知名度ではなく、実行者の人事の方が「どんな人なのか?」を想像し、自分にとってのロールモデルに近いかどうかを判断してみましょう。
2.アカウント/連絡先を見つける
例えば、以下のSNSでその方のアカウントがないかを探したり、
LinkedIn
Twitter
Facebook
Instagram
Youtrust
Meety(スタートアップの方であればカジュアル面談を実施している可能性もある)
もしなければ、以下の方法で繋がりを持てないかを探ってみます。
自分の繋がりのある人事の方々に連絡をし、直接の繋がりがないかを打診する
Google/Yahoo!JAPAN等からフルネームで検索 → 登壇イベントなど直接お会いできる機会を調べる
書籍を出版されている方であれば、問い合わせ先をオープンにしていることもあるので調べてみる
直接連絡をせずとも、LinkedIn、Facebook、TwitterなどのSNSアカウントを見つけてフォローすれば、その方の考え方を知れる機会が増えるので、それだけでも有益です。
3.連絡をする
「連絡をする」は、簡単そうに見えて、細心の注意を払う必要のあるアクションです。
私自身、面識のない方から営業目的も含めて「話したい」という連絡を日々いただくことがありますが、「話してみたな」と思えるメッセージをもらえることは、所感としては10%以下です。
よくありそうな文章を書いてみます。
おそらく上記のメッセージだと、返信すらもらえない可能性が高いです。もし私が送るとしたら、以下のような文章を書きます。
おそらく上記の文章を読んで、「自分だったら返信しない」「回りくどい/長すぎる」などの意見を持つ方もいるでしょう。相手にとって読みやすい、返信しやすい文章を作成したとしても、受け手がどう感じるかはその人にしか分かりません。
ただ、特に「人事」という仕事をしている人であれば、「想像力」と「日本語力」に対して、意識/無意識的に注視する人が多いと感じています。そのため、誤字脱字はもってのほか、これでもか!というくらい文章を推敲し、「この文章だとXXな人の場合は不快に思うかも」「この表現はXXな人の場合は受け入れ難いかな」など想像力を最大限働かせて、連絡文を作成します。
10人の方にお送りして1人返信を頂戴できたらラッキーくらいの期待値ですが、とにかく数を送ろうとしたり、コピペをせずに、1通1通丁寧に文章を作っていくことをオススメします。