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未経験で人事になりたいあなたへ 011/100 山森 拓実さん

未経験で人事になりたい方向けに、人事コンサルタントの多田が100人の人事にインタビューをする企画「未経験で人事になりたいあなたへ」

山森さんとは、知人の紹介で昨年初めて仕事をご一緒させていただき、「こんなに人間が出来た人がいるのか」と感銘を受けた方です笑 インタビューを通じて、今回初めて仕事に対する考え方を伺いましたが、その印象のまま、素敵なスタンスを持っていらっしゃると改めて思いました。

また、山森さんと言えばSNSでの影響力が強く、これから人事キャリアを目指す方は、これからの人事のSNSの使い方としてチェックされることをお勧めします。22卒新卒採用においては、Twitterで出会った方を採用されていました!

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経歴

ー 経歴について教えていただけますか?

2015年に新卒で、アチーブメント株式会社に入社しました。自分の成し遂げたいことと会社の掲げているビジョンが完全に一致していたのが、入社を決めた一番の理由です。初期配属から人事部で、新卒採用担当からキャリアをスタートさせました。

ー 就職活動の時はどんなことを考えていたのですか?

漠然と「教育」に興味を持っていました。人や本との出会いを通して、物事の考え方や行動が変わり、人生が良くなったという経験から、教育こそが生きていく上で最も重要であると思っていました。
最初は、民間企業に入るつもりはなく、大学の教授など先生に近い立場になりたいと考えていました。色々見ていくうちに、「ビジネスの分野の方が向いているのではないか」と思い、友人の紹介で知ったアチーブメントへの入社を決めました。

ー 人事部への配属は希望していたのですか?

正直なところ半々です。弊社では、自社の商材と顧客に対する理解を深めるために、新卒のほとんどが営業に配属されます。3年程度営業を経験してから、人事部や商品開発チームなど次のキャリアを選択するというのが主な流れです。
推測にはなりますが、私が人事に配属された理由は、当時、学生に近い年代の人が関わっている方が新卒採用には効果的であるという理由で、新卒採用担当には、毎年新人を入れて育てていこうという方針があったこと。
中立的にフラットな目線で物事を見ることができ、外部環境に左右されない性格であるという点で、私に適性があったこと。
の2つじゃないかと思います。

ー 入社してからこれまでどんな仕事をされてきたのですか?

現在6年目で、1~3年目は新卒採用だけを担当していました。私のことを採用してくれた上司が退職したのがきっかけで、3年目半ばから新卒採用の責任者を任されました。4年目には自分が責任者として採用した代の育成を任され、5年目には新人だけでなく社内育成にも関わり始めました。今年からは人事評価制度にも関わるようになりました。

現在の仕事内容

メインとして、企画職や商品開発職の採用の企画とマネジメントをやっています。
引き続き、新卒採用プロジェクト全体の企画・マネジメントと内定者・新人育成も担当しています。
社内育成としては、次世代のリーダー・マネージャー候補の引き上げ、育成も一部関わっています。
最近は、160人程度いる社員の昇進昇格や業績結果のオペレーション、表彰制度の企画にも関わるようになりました。

経験してきた人事の仕事

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新卒採用を皮切りに、新人育成・社員育成・評価制度の運用と仕事の幅を広げてきました。

人事の仕事のポジティブな面

・使命感を感じながら仕事ができる
会社の経営のコアである「人」に関わるという意味で、会社の中心を担っているという使命感があり、やりがいを感じます。経営者と一緒に考え、悩むことができます。
例えば、一人の超優秀な人を採用して一気に会社の業績が良くなったり、逆に社員が辞めてしまって他の社員にしわ寄せが来たりといったことが起こることもあります。他にも、経営者と一緒に考え悩む立場だからこそ、経営者の葛藤を目の当たりにすることがあります。そういった瞬間に、経営者のビジョンを実現するために「こういう人が欲しい」「こういう人を育てたい」という願いを、人事の側面から叶えることがやりがいなんだなと感じます。

・数字から色々なことを想像できるようになる
これは採用から人事キャリアをスタートさせたからかもしませんが、数字からその人の精神状態やいまどういう状況か推測できるようになります。もっと言うと、業務成績の数字を、「あの人のこんな強みがこんな風に活かされたんんだろうな」「こんな表情で、こんな発言をしているから、この数字なんだろうな」という視点で見れる様になります。
採用の時は、高い評価だった人が入ってみたらそこまで成果が出なかった場合には、採用の時の評価が間違っていたのか、それとも育成がよくなかったのか、そういうところまで考えられるようになると楽しくなってきます。

・自分自身の成長に繋がる
人事をやっていると、人を見る目が養われます。いろんな人のことを理解できるようになったり、人の強い部分も弱い部分もわかるようになります。それに伴って、人としての器が大きくなり、許す力がついて、変に悩まなくなります。
内定辞退や離職、良いことを言いながらも結果が出ない人やその逆の人など、「自分が見えている世界はほんの一部でしかなくて、その人の深い部分は見えていないんだな」と感じることがよくあります。だからこそ、その深い部分を引き出すことができたとしたら、組織をよくすることができるといった面白さもあります。

人事の仕事のネガティブな面

・精神的にやられる
「経営者」「社員」「候補者」の3つの関係者の真ん中にいなければいけないというのが、精神的に辛い理由だと思います。
経営者は、「こういう風に舵を取りたい」という思いがあり、それに対して社員は、「それは難しくないですか」と考えていたりします。候補者は、会社のことをよく知らないのに夢を見たりします。この3者のどれかに感情を持っていかれることなく、全てに対して理解を示して、全てを受け入れる、そして3者が勝つ選択を淡々とこなすことができないと人事は務まりません。

・自分と他者を比較してしまうと苦しい
給料・グレード・その人の評価など、色んな人の情報が見えてしまいます。全部を見た上で、一喜一憂せず、何も思わないということが大事です。自分と比較して、「自分よりもあの人の方が…」とか「こんなに頑張ってるのに…」とか思ってしまう人には、向いてないかもしれません。

人事プロフェッショナルに必要な要素

・会社に惚れ込むということ
スタンス面での話になりますが、自分=会社というくらいまで会社と一体化できないと、採用も育成も評価もできないと思っています。その会社に惚れ込まないとその会社で人事はできないと思います。「人事をやりたいからどこかの会社で人事をやる」のではなくて、「その会社があまりにも好きだからその会社で人事をやる」という方が正しいです。
会社に惚れ込んでいない状態で人事をやると、候補者に嘘をついている自分に気が付いたり、なんでこんなに長時間労働しているんだろうと疑問に思ったりしてしまうと思います。

・自分が主役ではないという意識
人事はサーバントリーダーでなければならないと思っています。人事に対して派手なイメージを持っているかもしれませんが、実際はその逆です。自分が黒子になって、周りを立てる仕事です。いかに仲間が活躍して、いかに仲間に幸せになってもらうかということに喜びを見出せる人に向いていると思います。
自分が主役になりたいという人は短期的には結果を出せるし、ある程度のところまでは活躍すると思います。そこからビジネスサイドに移った方が満たされるのではないでしょうか。

・フラットさ
人事はフラットでなければいけないと思っています。先ほどの通り、社内でフラットな立ち位置にいることもそうですが、採用で候補者に対して「フラットな視点」を持つことも大切です。もちろん、人なので好き嫌いは多少あります。しかし、採用の際には好き嫌いではなく、「この人は会社にとってこういう部分で貢献してくれるから採用しよう」「こういう部分の価値観があっているから採った方がいい」といった考え方をする必要があります。

・専門的な知識
採用・育成・配置など人事担当者に専門知識がないと「人事に任せなくても全部現場でやればいいじゃん」という話になってしまいます。あえて人事が介在する価値を考えた際に、現場の営業マンがわからないことをコンサルティングできるレベルの専門性を有している必要があると思います。

人事キャリアを目指す方にアドバイス

人事に全く関わったことのない方には、経営戦略の全体像を理解するところから始めるということをアドバイスしたいです。
人事と聞くと採用・育成といったフロント側のイメージが強いかと思いますが、そもそも経営戦略から始まっていて、その下に人事戦略があって、その中に採用・育成もあれば制度も労務もあるというのが正しい姿です。
最初は採用や制度のオペレーションから人事の仕事は始まるかもしれませんが、その先にどんな仕事が待っているのかを考えておかないと、自分のモチベーションも続かないだろうし、価値のある人材にはなれないと思います。全体像を把握しながら目の前の仕事に取り組んで欲しいです。

人事に付随するサービスや人材紹介業などから人事を目指す方には、現在ある人事についての知識を一回捨ててもらってもいいかなと思っています。
その理由は、人事のあるべき姿は会社ごとに異なるものであり、人事に正解はないと思うからです。「うちの会社ではこういう風に採用活動をすると上手くいく」「他の会社でそのやり方をすると失敗する」ということはよくあります。そのため、会社がどうあるべきか、ゼロから経営者と議論をして人事制度や採用戦略を構築してくのがよいと思います。
人事は精神的にも肉体的にもきつい仕事なのです。何よりも健康な生活リズムを守って、心身共に健康であって欲しいです。これから人事を目指される方には、セルフコントロール能力を極限まで高めて欲しいと思います。

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