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人事のためのキャリアコンサル_004:未経験から人事へのキャリアチェンジ
「人事のためのキャリアコンサル」とは、"人事"プロフェッショナルの方々のキャリア支援を目的に、架空の人事経験者のプロフィールを元に、「もし私だったらこんなアドバイスをする」をまとめたコンテンツです。
キャリアサマリ:
26歳、女性
新卒で大手メーカー営業職(2年)
→ HR Techスタートアップ企業でフィールドセールス(2年)HR Techサービスのセールスとして人事と仕事をするようになり、人事の仕事に興味を持った
現年収450万円、希望年収450万円以上
課題:
未経験ですが、人事の仕事に就くことができますか?
キャリアアドバイス:
未経験ですが、人事の仕事に就くことができますか?
ポジション数はあまり多くはありませんが、可能です。
例えば、採用担当のポジションで、「無形商材の営業経験がある方」「従業員対応がメインのポジションで、クライアントワークの経験がある方」など、採用業務に活かせる可能性の高い経験をお持ちの方を探しているクライアントもおりましたが、やはり「人事総務経験 尚可」のケースが方が多いです。
これは人事のポジションに限った話ではなく、中途採用の原則が「経験者」を求めていることが要因でしょう。
それでは、新卒や社内異動で"偶然"人事の経験をした方しか、中途採用で人事として転職ができないのでしょうか?
今までお会いした方の中で、「人事未経験からキャリアをスタートし、現在は事業会社の人事の仕事をされている方」のご経歴を伺わせていただくと、主に以下5つの経路で「事業会社の人事」のキャリアをスタートされている方が多かったです。
転職エージェント
RPOリクルーター
人事・組織コンサルタント
人事総務オペレーションアウトソーサー
人事向け商材の営業職
それぞれ説明をさせていただきます。
1.転職エージェント
国内には「転職エージェント(有料職業紹介事業所)」は19,355事業所(※)あります。(※)厚生労働省 平成 28 年度職業紹介事業報告書の集計結果より
近年「ダイレクトソーシング」や「ダイレクトリクルーティング」と呼ばれるスキルが注目されてきており、実際に「ダイレクトソーシング経験 尚可」が募集要件に含まれている「採用担当/リクルーター」のJob Descriptionをいただく機会が増えてきています。
各企業の組織構造や役割分担などによっても異なりますが、転職エージェントは、スカウトサービス、Linkedin等のSNS、リファーラル(人からの紹介)、採用イベントの企画・運営、ネットワーキングイベントの参加などを駆使して、日々クライアントからの要望にマッチする候補者を探し続けています。これが「ダイレクトソーシング」です。転職エージェントとして実績を挙げた方が、ご自身の経験を活かして事業会社の採用担当にキャリアチェンジするケースは、事業会社側からのニーズの高まりもあってか最近は特にお見掛けします。
2.RPOリクルーター
RPOとは、Recruitment Process Outsourcingの略、採用代行のことで、そこで働いている方を、ここでは便宜上「RPOリクルーター」と呼ばせていただきます。
RPOは、採用に関わる、企画・広報・応募受付・セミナー・テスト・選考などの一連の業務のうち、一部または複数の業務の代行を行います。そのため、「RPOリクルーター」と一言で言っても、どの経験を積むことができるのかは、働く企業や関わるプロジェクトによっても異なります。
転職エージェントと業務の比較をすると、RPOリクルーターの方が、より事業会社の採用担当が行っている業務に近しい業務に携わります。そのため、採用代行として働いているクライアントにそのまま就職をしている方ともお会いしたことがございます。
※採用代行業者とクライアント間で「勧奨(引き抜き)」に関する契約が存在していることもあり、担当のクライアントに就職する際には事前に確認しておくことをおすすめします。
3.人事・組織コンサルタント
コンサルティングファームにおいて、組織/人事コンサルタントを経験された方が、事業会社で人事企画、C&B、人材育成、タレントマネジメント、HRIS(人事システム)関連などのポジションにキャリアチェンジをされるケースもよくお見受けします。
私がお会いした方の場合は、「総合コンサルティングファームでの人事・組織コンサルタント」「組織人事専門のコンサルティングファームでのコンサルタント」「人材育成研修専門企業でのコンサルタント」の3パターンに集約されます。
4.人事総務オペレーションアウトソーサー
給与・社会保険手続き、入退社手続き、従業員の問い合わせ対応、グローバルモビリティ、ファシリティマネジメント等の人事総務業務のアウトソーシング会社で働いていらっしゃる方が、その経験を活かして、事業会社の人事総務部門にキャリアチェンジをするケースもよくお見受けします。
RPOリクルーターと同様、代行/アウトソーシングの業務であるため、特定の業務のプロフェッショナルとして、事業会社側からのニーズがあるようです。また、こちらもRPOリクルーターと同様に、事前にリスクを確認しておくことをお勧めします。
5.人事向け商材の営業職
人事向け商材とは、例えば採用管理システム・タレントマネジメントシステム・勤怠管理システム・労務管理システムなど人事業務に関わるシステムです。
上述の「転職エージェント」の方々の採用ニーズが高まっていることと同様に、ダイレクトリクルーティングツールの普及に伴って、採用担当に対して数字(採用目標)へのコミットが求められているため、営業職の経験を有する方のニーズも高まっています。
人事向け商材を扱っている方々の場合、お客様が人事であるため、人事業務への理解があることから、他商材を扱っている方々に比べると、未経験からキャリアチェンジがしやすい傾向にあります。
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上記のケース以外でも、未経験から人事の仕事を始められている方にお会いすることがあります。例えば・・・
スタートアップ企業の創業期に入社し、人事総務部門の立上げに携わる
友人/知人のつながりがあり、ポテンシャルを見込まれて人事総務の仕事をスタートする など
人事未経験の方に対する転職のご支援は、ニーズの多さと比べると、今まであまりお力になることができていませんでした。一方で、Linkedinのプロフィールを拝見していると、未経験から事業会社の人事にキャリアチェンジをしている方もお見受けすることがあります。Linkedinだけでは、どのような経緯で転職をされたのかは分かりませんが、採用をする側の方がスキル・経験以外の面を見た(見つけた)ことで採用に繋がったのだろうな、と想像しています。