思い出

楽しみにしていた『007 No Time to Die』を『梅田ブルク7』のレイトショーで見た。ビリーアイリッシュのテーマ曲が流れる辺りまでは過去最高の出来ではないかと思った。
 だが、テーマやプロットを複雑に盛り込み過ぎたことに起因して其れ以降はややというか可成りシンドい展開となるし、また、古典的恋愛物のような下世話な演出は小生的には"臭く"写ってしまった。"ジェームズボンドがこんな台詞を言うの?相応しくないなあ"と思うメロドラマのようなシーンも多々あったと思う。それ故にこんな長尺になってしまったのであろう。
 更に、モチーフが明らかに武漢発生の『新型コロナ感染』であるから本作の後味が悪いのが何といっても辛かった。"ボンドが死んでしまう"というショックよりも何か映画の感染症が観ている自分に移ったのではないかという不安感が後味の悪さを呼んだのだと思う。小生など見た後何度も繰り返して手を洗わざるを得なかった。
 とはいえ、カーチェイスを初めとするアクションシーンはやはり『007』ならではのスリルとサスペンスに満ちていて大変結構であった。"見に来て良かった"と納得させるカタルシスが観客として得られたのである。
 そんな訳で結果的にシリーズの中でも出来の良い一作であるという位置付けに落ち着くかも知れない。小生が点数を付ければ80点、星☆☆☆☆というところであろう。(2021年記す)

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