ジョグの位置付け
長距離ランナーにとって、ジョグの位置付けというのは関心の高い話だと思うので、自分の考えを少し書いてみる。
この話に正解はないが、自分は「ジョグ=調子のバロメーター」として使っており、ペースは決めずに出力を固定している。
トレーニング全体ではポイント練習を重視しているので繋ぎの位置付けにある。(“繋ぎ”の定義は難しいが、疲労が回復を上回らず調子が整う、としておこう)
数式で例えるなら、
y=axという関数があって、x→出力、y→ペース、a→その日の調子(定数)とする。
xはいつも固定して、出てきたyからaを求める感じ。(a=y/x)
yを固定してしまうと(いつも決まったペースで走る)、その日の調子によっては(もしaが低かった場合)、めちゃくちゃ出力しなくてはいけない場合が出てしまう(x=y/a)。これでは繋ぎとしての目的から外れてしまうことがある。
具体的にはキロ5’00くらいからスタートして、3kmくらいかけて徐々にペースが上がり、だいたいキロ4’10前後で落ち着く。
最後の2kmくらいは気持ちよくキロ4’00くらいまで上げるが、全体を通してキロ4’00を切るジョグは最近ほとんどない。逆に、よほど疲れている時でなければキロ4’30かかるジョグもほとんどない。
距離は週間走行距離の範囲を決めていて(例えば180〜200kmって感じ)、そこから逆算して日単位で微調整している。
ちなみに5000m13分台のランナーでもジョグのペースはかなり人によると思う。
普段からキロ3’40とかで走ってしまう人もいれば、キロ4’30くらいの人もいる。距離もかなりばらつきがあるので、ジョグだけをみてどうというのはなかなか言えないと思う。意味があるかは別にして、キロ4’00を切っていればどのレベルでもジョグのペースが速いとは言えるとは思う(そうでない大学もあるみたいだけど...)
トレーニングとしてのジョグの位置付けは、トレーニング負荷をどのように分散させるかでかなり変わってくるだろう。
ポイント練習を週2回しっかり入れるならジョグは繋ぎの位置付けになるし、毎日平均的に負荷をかけていくスタイルなら、より負荷をかけるジョグも入ってくると思う。必要なトレーニング負荷を確保するためにジョグをどう利用するかという話である。
トレーニングとしてのジョグの位置付けを考えるなら、まず全体でどの程度のトレーニング負荷(強度×時間)を確保したいのか?強度と時間の内訳にこだわる必要は?達成するまでの練習中断リスクは?と、現状に合わせて要素分解して考えていく必要がある。いろんな要素を考慮した上で、ベターな選択をしていく。
ポイント練習の繋ぎとしての意味合いで取られがちなジョグだが、ポイント練習前後の練習を準備や回復に充てざるを得ないよりも、負荷を出来るだけ均一化した方が良い場合もあり得る。良くないのは、ポイント練習で外して大した負荷をかけられず、それに合わせて他の日の負荷も減ってしまうことだと思う。
ポイント練習を外してしまうことが多い人は、
インターバル→ファルトレク
ペース走→速めのジョグ
距離走→ロングジョグ
みたいに、タイムを追う必要がなく失敗がない練習に置き換えて、その分それ以外の日のジョグで距離を踏んだりペースを上げる、という考え方もありだと思う。あくまで僕の考えだが、レベルが高くないうちは1回1回の練習にこだわるよりも、週間月間単位で負荷を徐々に上げていく方が重要だと思っている。(“レベルが高くないうち”という定義は難しいが、まずは内容に拘らずトレーニング負荷を高めていって、そこで伸び悩んだら考えればいいと思う)
全体のバランスを考えてどう位置付けるか?という話なので、ペースや距離に拘るのではなく、目的を持つことから始めるのが良いと思う。目的が決まれば自ずとスタイルは決まってくる。