見出し画像

商店街シリーズまとめ

自分の中で「商店街シリーズ」と呼んでいる作品があります。

駅前にある少し寂れた商店街を舞台に、出勤する人、働く人、通りすがりの人、お互いを知らなくてもちょっとずつ関わりのある人たちの視点で書いたショートストーリー集です。
それぞれ一つの作品として単品で読めるようにしていますが、連作として見るとまた違ったストーリーや裏話を知ることができるようになっています。

noteを始めて間もない頃に書いた1作目から先日公開した5作目まで、スピンオフ的な1作品、そして"隠れ商店街シリーズ"として舞台となる場所は違うけど関係者のストーリーが1作、合計7作品について記録を兼ねて紹介します。

よろしければ紹介順に読んでいただけると大変嬉しいです。


『一日三善』

2018年8月公開、約2500文字

noteで公開した2作目のショートストーリーです。
サラリーマンの主人公は生活も仕事も冴えないけれど、日々心がけていることが良いことにつながるような話を書きました。

創作小説を公開するということ自体まだ挑戦し始めたばかりだったので、恥ずかしながらも思い入れのある作品です。

『看板』

2018年10月公開、約4800文字

前作『一日三善』に登場するカフェの店員さんが主人公になりました。
私は登場人物の横から出来事を覗き込んで「あぁ、こう見えていたのか」と感じてそれを書き留める、というような書き方をするので、カフェの2階からの景色を簡単なイラストにしたり、商店街と駅前と交番の位置関係を地図にして資料としました。

すごく大きな夢とか目標とかなくて日々をそれなりに過ごすという生き方も肯定されていいと思うし、誰かとの関わりの中で起きる小さな変化も魅力的に捉えたいと思います。
そしてリュックの男性が初登場します。

『自己紹介』

2018年11月公開、約400文字

こちらは400文字という原稿用紙1枚分の作品です。
作品後のあとがきにも書いていますが「名前の漢字を説明させる」という目的があって書いた話なので、文字数削りに苦労しました(笑)。
そしてまたリュックの男が出てきます。自分の中では、リュックの男の後を追っていたらこの現場に居合わせたっていう感覚です。

ショートショートガーデン(SSG)という400字ショートショート投稿サイトに掲載している作品です。

タイトル『自己紹介』が紛らわしいので補足です。
私の書く作品の大半は、登場人物の名前が出てきません。
実はあるけど出さない場合と、本当に名付けていない場合がありますが、基本的に「名前から連想される印象に固定されたくない」というのが理由です。
読み手の方に「この人、〇〇みたい」と想像してもらえると嬉しいです。

で、この作品をなんで書いたのかというと「名前の説明をさせたかった」から。(笑)
好きな作家の一人、東野圭吾さんの作品には、名前の漢字を説明するフレーズがよく出てきます。
小説は文字情報なので、読者にとっては読めば登場人物の名前は普通に漢字で伝わります。ルビ付きなら読み間違いもなく、あまり意識しない方も多いかもしれません。でも物語の中の世界では口頭でやり取りしているので、名乗ったり名前を伝えるときに漢字の説明が必要になってきます。

それを書いてみたくて名前が公表された高山さん。

この作品公開以降、オレンジの彼女のことがずっと気になるようになってしまいました。

『オレンジのカーディガン』

2022年1月公開、約4400文字

実は当初予定していなかったのですが、オレンジの彼女がずっと心にあって無視できないほど存在が大きくなるので、書きました。
素朴でかわいらしい人柄でとても好きです。

いつも電車で乗り合わせる名前も知らない相手の、外見上の特徴がなかなか見えなくてかなり苦労しました。知人に相談して、最終的にはブランド名を採用することになりました。自分では思い付かなかった知識に助けられました。

『羽根』

2022年2月公開、約8600文字

リュックの男です。
彼をずっと追い続けてきたので、この作品を公開してようやく一区切りがついたという気持ちです。8000文字を超える作品となりました。
書ききれなかったエピソードもいくつかありました。ということは、まだ完結ではないのかもしれないです。

note主催のコンテスト #創作大賞2022 に応募しました。

『スミレ』

2019年11月公開、約400文字

『自己紹介』と同じく400字以内の短い作品です。
商店街シリーズのスピンオフ的な位置付けで、3人のメンバーが渋谷の街に登場しています。

渋谷TSUTAYA主催の「渋谷ショートショートコンテスト」に応募して優秀賞をいただきました。受賞も嬉しかったですし、冊子に収録されたこともとても大きな記念になりました。

画像1

文字が印刷されて形になるってやはりすごいです。

隠れ商店街シリーズ

リュックの男のストーリー『羽根』を読めば関連がわかる、という仕掛けなのですが、そこまで私の作品を読み込んでくださっている方がいらっしゃることを期待してというよりは、自分自身が一番楽しみにしていた仕掛けになります。

公開は2018年12月です。えっ!もう3年以上も前!?

この頃にはリュックの男を含めて全体の構成はほぼ固まっていたので、本当にずいぶん長く商店街シリーズを寝かせ続けてきてしまいました。

こちらは1作品の中に3つのストーリーが入っている作品『雪』です。

人生の長い時間軸のなかで、たまたま同じ時間の同じ場所で雪を見上げただけの接点を書きました。
冒頭に一日三善を行う彼が登場します。
この日、関東地方で雪の予報がありました。
皆さん、足元にくれぐれも気を付けて。
そして少し、周囲に気を向けてみてください。

------

関連作品をまとめたマガジンも作成しました。

このnoteの紹介順に並べてあります。
合間時間によろしかったらぜひ開いてみてください。

スキやシェア、コメントはとても励みになります。ありがとうございます。いただいたサポートは取材や書籍等に使用します。これからも様々な体験を通して知見を広めます。