むしゃさんに会いに記念館へ
白樺派として知られる文豪・武者小路実篤のことを"むしゃさん"と呼ぶ。
文学に疎い私が今までちゃんと認識したことのない彼に対して親しみを持つようになったのは、うめがきたねさんの影響です。
まだ彼の作品をきちんと読んだこともないのに、インターネットの時代にこのnoteを通じて作家としての彼の人生やその言動に触れて心揺れるようになるとは、私自身もそうだし当時の彼を含めて誰一人想像もしなかったでしょう。
7月中旬、東京に行く機会があったので、空き時間を利用して武者小路実篤記念館に立ち寄りました。
京王線の仙川駅を降りて、徒歩で向かいます。
まず到着したのは実篤公園。
通路に柵がされていたので、もしかしたら休園かもしれないと思ったけれど、右手側の受付らしき窓口に行けばちゃんと対応してもらえました。
受付を経由させるための柵かも。
武者小路実篤記念館に行きたい旨を伝えたら、公園を通過するルートを案内してくれました。
ほぼ一本道なので案内板の通りに進めば問題なさそうです。
この日は小雨が降っていて、傘を差したり閉じたりを繰り返すような天気でした。
人気も少なく、快適な道中です。
旧武者小路実篤邸の内部公開は休館。
さらに道を進むと「ヒカリモ」の看板。
少し寄り道します。
この先の岩に囲まれたエリアにあるというヒカリモ、かすかに光るように見えました。
元のルートに戻って、最後の地下道を抜けます。
地下道の先にある階段を上がって地上に出ると、武者小路実篤記念館の建物の敷地内に出ます。
建物の横から、正面に出ると入り口がありました。
記念館の看板が掲げられている門構えはこのような感じ。
静かな住宅街の中に建つ、小綺麗な建物です。
ここから館内に入りました。
内部の撮影は禁止のため、写真はありません。
むしゃさんの年表、作品、書簡、ゆかりの品などが展示されています。
資料館には多数の関連書籍が整然と並んでいました。
理想を求めて村を作ったり40代になってから絵を描きはじめたり、文学に限らない広い活動を生涯続けたむしゃさん。
その一端に触れられる素敵な記念館でした。
比較的こじんまりとした平屋建ての館内。
入口から順に奥まで展示品を見て、振り返ったとき、吹き抜けのように高くなった天井付近に掲げられた巨大な書が飛び込んできました。
龍となれ雲自づと來たる
迫力ある筆文字と力強い言葉に衝撃を受けて、見上げたまましばらく立ち尽くしてしまいました。
この日は、画家である河野通勢の企画展が行われていました。
むしゃさんと交流があって数々の挿絵も担当した河野さんは長野県育ち。展示されていた彼の描くスケッチには長野の風景が数多く描かれていました。
写真家なら写真、作家なら文章、そして画家なら絵にして、残さずにはいられない美しい信州の風景にまた心を打たれました。
文芸に疎い私はこの日まで彼のことも知らなかったので、来られてよかったと思います。
ロビーに戻って、売店へ。
むしゃさんの書籍を何か買いたいけど、ファースト書籍は何にすればいいのかを迷い続けて今もまだ手が出ていないのです。
そんな中、迷わずゲットしたのがこちら。
今回最強インパクトを受けた「龍となれ」のしおり。
むしゃさんの言葉の力がすごい。
そして、実は今回この記念館に来た一番の目的といっても過言ではないのがこちら。
むしゃさんの書「雨が降った」のジグソーパズル!
記念館限定で発売されているはずなのに売店コーナーで見当たらなくて、受付で聞いたら奥から出てきました。マイナーグッズなのかもしれない。
エントランスではほかにも、むしゃさんの手形と、長年連れ添った自身のその手に感謝する文章とが銅像になったものも展示されていました。それも彼の人柄が伝わる良い言葉で、撮影させてもらえないか聞いてみたけど館内なのでやはり無理でした。
ふとした時に淡々と前向きで元気でいられるような、そんなむしゃさんの言葉を人生に添えて、ごきげんに生きていきたいものです。
また行く機会があるとしたら、次はぜひ専門家にご同行いただいて解説付きでという夢を持ちつつ。
終