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欧州スポーツ紀行 #3 「チェコ×アイスホッケー 『地元』がアツい!氷上の格闘技」

こんにちは!チェコ留学中の加藤です。

今回は、2月5日に開催されたアイスホッケーの1部リーグ戦、チェコ・エクストラリーガ(Czech Extraliga)HCオロモウツ(HC Olomouc)対HCチェスケー・ブジェヨヴィツェ(HC Motor České Budějovice)の観戦記をお送りします!

チェコのアイスホッケーってどんな感じ?
チェコでのアイスホッケーの立ち位置といえば、日本で言うところの野球でしょうか。
日常的に小中学生がホッケーのスティックを持ち歩いて練習に行っているところを見たりすることもありますし、スポーツバーでは基本的にサッカーかアイスホッケーが放映されています。
国内最高峰のCzech Extraliga(Extraliga ledního hokeje)には現在14チームが所属しており、レギュラーシーズン中は9月から2月までに52試合を戦います。勝ち点方式で順位付けがなされ、プレーオフにはその順位を元に対戦チームが決定します。特に、レギュラーシーズン4位までのチームはプレーオフ準決勝に自動的に進むことができます。
また、チェコ代表チームはIIHFの世界選手権にて過去6回の優勝を果たしており、冬季オリンピックでは1998年の長野でロシアを抑えて金メダル、2006年のトリノで銅メダルをそれぞれ獲得しています。そのためか、チェコでは
「NAGANO」という地名が意外に知れ渡っているという話も…

▲1998年長野オリンピックでの優勝の瞬間。

▲凱旋帰国した優勝メンバーとチェコ共和国初代大統領のVáclav Havel(ヴァーツラフ・ハヴェル)。

私の住むオロモウツにもエクストラリーガ(1部)のホッケーチームがあり、ホームゲームがある日は夕方からレプリカユニフォームやマフラーを身にまとった人々がスタジアムを目指す光景が見られます。
ちなみに、米NHLでもプレーし、チェコ代表として長野オリンピックで金メダルを獲得したJiří Dopita選手は1990年から約2年間HCオロモウツでプレーしており、出身もオロモウツ郊外のŠumperk(シュンペルク)です。
チケットは各チームのサイトから購入でき、最も安い立ち見席は160コルナ(約970円)、最も高いコートサイドの席でも220コルナ(約1300円)ほどと、手軽に観戦を楽しむことができます。


▲購入したオンラインチケットの一部

観戦記:2/5 (日)17:00 Face off 第45節 HC Olomouc - HC Motor České Budějovice

試合前
試合開始1時間前はまだ閑散としているが、30分前ごろから両チームの練習が始まるとだんだんと人が集まり始める

▲試合前のスタジアム

▲中ももちろん冷え込むので、防寒対策と身体を温めるためのアルコールは必須のよう

昨日のWorld cancer dayに関連した特別仕様のユニフォームで写真撮影。


▲試合前練習中のスタジアム内部の様子

プレーオフでは、レギュラーシーズン4位までのチームが準々決勝からのシード権を得られ、それ以降12位までのチームはラウンド16からのスタートとなる。

そのシード権“Elitní čtyřky” (=直訳:エリート4)へのきっかけを掴みたいオロモウツと、なんとしても2部降格を回避したいチェスケー・ブジェヨヴィツェが、オロモウツの本拠地であるZimní stadion Olomoucで激突する。


スターティングメンバー

第1Q
予定通り17時ちょうどにフェイスオフ。

試合開始後2分ごろ、いきなりチェスケーが先制点を得る。
一方で取りこぼしやゴールミスが目立ち終始相手のペースで翻弄されている印象のオロモウツ。ゴール際までパックを持ってはくるものの、追加点を決めきれずに膠着状態が続く。

▲得点しハイタッチするチェスケー・ブジェヨヴィツェの選手たち

速攻からのゴールチャンスが幾度もあるが、ゴール前での枚数が足りずに決め手に欠ける印象。
残り1分を切ったところで相手に追加点を入れられてしまい、第1Qは0対2と苦い立ち上がりとなった。

1Q: Olomouc 0-2 Č. Budějovice

▲ハーフタイムのリンク上を走る車

ハーフタイムにはスポンサーの車がリンク上を走る(たまにマスコットがトランクに乗ったまま走る)。
冬になると雪上を車で走ることが日常的なチェコにおいて、この宣伝方法は案外理にかなっているのかもしれない。

▲チームマスコットはにわとりの「Kokrhél」。名前は公募で決定されたそう。

第2Q
2Q開始後も惜しい箇所はあったが、どれも得点には結びつかず。
10分切ったところでねじ込もうとするも失敗していたが、積極的な攻めを見せる。
ついに残り7分でオロモウツ・#19 Lukáš Nahodilのシュートが決まり1点獲得。

戻して速攻、の攻め方で良いムードを作っていく。再三のピンチもゴーリーのセーブで回避し、1点を追う展開のまま最終クォーターへ。

▲作戦を練るオロモウツの選手たち

2Q: Olomouc 1-2 Č. Budějovice

最終クォーターで決め切り勝利を掴みたいオロモウツ。
有利な場面は出てくるがあとは最後の決定力といったところか。
機動的な動きになってきてもう一押しで得点という場面が多く見られる。

残り7分、#61 Lukáš Klimekが安定したショットで相手ゴールを揺らし同点。
さらに続いて残り5分45秒に外からタイミングを伺い、ゴール際に放ったショットを#72 Jan Bambulaが押し込んで勝ち越し点を決めた。

残り6分弱、ここから確実に守り切れるかといったところ。
逆転されたこともあってか相手の守備に穴ができ始め、オロモウツが積極的に攻める展開に。
ついに相手ゴーリーも攻撃にシフトし、試合は最終盤へもつれ込む。
残り1分弱の時点でファウルがとられなかったことから少し険悪なムードにはなるも、無事リードを守り切りオロモウツが勝利を収めた。

▲盛り上がる観客席

3Q: Olomouc 3-2 Č. Budějovice

今試合によってオロモウツは勝ち点3を獲得し、順位も1つ上げて7位。次節に向けて良い勢いをつけることができた。さらに決勝点を決めたフォワードの#72 Jan Bambulaは、次週にスウェーデンで行われたBeijer Hockey Gamesにナショナルチームの一選手として招集を受けるなど、チームにとって実りのある勝利となったことは確実だ。



▲私事ではありますが、実は試合前に#72 Bambula選手のユニフォームを購入していました

地元だから応援する、地元のアイデンティティ

この部分に関しては私の主観とはなってしまいますが、「チームが強いから」応援するファンよりも「チームが自分の一部だから」応援するファンの方が圧倒的に多い、ということが感じられました。
スタジアムに掲出されている広告は地元企業のものがほとんどで、カーディーラーやホテルはもちろん、チェーン店でない個人経営のカフェやピザ屋までが協賛しているところからも、チームが地元の一部であることが分かります。
「地元のアイデンティティ」であるホッケーチームが、チェコの人々の心のよりどころになっているのかもしれません。

参考:
http://www.olympedia.org/athletes/100571

https://hc-olomouc.cz/zapas.asp?id=Hanaci-otocili-utkani-s-Motorem-a-ziskavaji-cenne-tri-body-4608

https://hc-olomouc.cz/clanek.asp?id=Mel-jsem-radost-ale-vubec-jsem-to-necekal-rika-Jan-Bambula-o-sve-nominaci-7296

 

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