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世界電子政府ランキングを正しく理解して考えなければならないこと1

先日もE-Government Survey2020について概要のみnoteに書かせてもらいましたが、その後色々時になってしまい、もう少し真面目に調べた内容を本日は書いていきたいと思います。

E-Government Surveyとは

国連の経済社会局(UNDESA)が、2年ごとに行っている国連加盟国の政府電子化を、いくつかの指標を用いて調査している報告書になります。

重要なのは、なぜ国連がこのような活動をしているのか?という点であると思っています。これは報告書の冒頭にあるエグゼクティブサマリーに記載されています。まずここをきちんと理解した上で、内容に入っていかなければ、ただのランキング付のための調査に見えてしまいます。決して、日本が順位が上だ下だとマスゴミのネタのためのものではないことを理解してもらいたい。

SDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)という言葉は一度は聞いたことがあるかと思います。このSDGsで掲げられている通り「誰一人取り残さない No one will be left behind」世界にするために、政府の電子化は重要な取り組みの一つであり、世界の持続的な成長と幸福を実現できる社会を目指しています。本稿ではSDGsの説明そのものは割愛しますが、興味のある方はWebサイトをご覧ください。

エグゼクティブサマリーより抜粋

デジタル政府は、世界中のすべての人々に持続可能で包括的かつ公平な公共サービスを提供し、誰も取り残されないようにすることで、またより広範には革新を進め有効性を強化し、解決策を生み出す役割を拡大することで、今後10年の活動を支援する。
特殊な状況にある国や、発展途上国や先進国では一般的にサービスが不十分で経済的に阻害されている国でも、デジタル政府サービスは平等をもたらす可能性がある。電子政府は、遠隔地や恵まれない地域の人々にサービスやエンゲージメントの機会を直接提供し、自宅や村のデジタルキオスクを通じたアクセスを提供することができる。
電子政府はサービスの提供だけではないデジタルリテラシー(目標4)、デジタルインクルージョン(目標5、8、10)、デジタル接続性(目標9)、デジタルアイデンティティ(目標16)を進めていく役割も果たしている。

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つまり、政府のデジタル化を推進することで、国民全てに平等で公平な行政サービスを行きわたらせることができるようになるということ。例えば福祉であったり、選挙や教育や医療など、これまで隅々まで行き届いていなかった情報やサービスをデジタル化によって、物理的距離や社会的距離をなくすことができ、世界の持続的な成長と幸福を実現できる一つのアクションとなるのです。

このように、政府のデジタル化は国連の掲げるSDGsの重要なアクションのひとつなのです。なので、日本が今回14位で前回調査よりもいくつ順位を落としたとかは本質ではなく、自国と他国のベンチマークを比較して、より良い電子政府、より良い国家、より良い社会とするには何を改善すればよいのかを判断していくためのツールとなります。

ただしく判断するためにも、本調査の内容についてはきちんと理解する必要があると思ってもいます。

さもE-Government SurveyはSDGs推進の後ろ盾になり、素晴らしい活動であるかのように上述しておりますが、実際には必ずしも全てがそうとも言い切れません。読み進めていくと、そもそもな話比較すること自体に無理があったり、忖度的内容があったり、先進国間での国力誇示的な点であったり、色々と突っ込みたい点が多々ありました。ですが、冒頭申しあげたとおりに競うためのものではなく、自国の改善点をきちんと他者比較を行ったうえで理解するためのツールであることを忘れてはなりません。

詳細な内容についてはまた明日書きたいと思います。

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