わたしのじかん

水を飲んで吐いたらもうすぐ午前四時
あたしは焦燥感と一緒に屋根の上に降り立つ

おとなりさんはいいひと 私に手を振る
樹脂製透明ハート型 これもちいさい犠牲
小さな愛に まだ傷痕から血が滲んでべとりと付いた

夜が明けるまで あたしはここで待つわ
大丈夫きっと落ちない そう信じて

だって頬を撫でる風はつめたくて、
かなしくて、
さみしくて、
吐き出したって、なにもない。

ちかちか光っては消える誘導灯は
誰もいないって言われることを恐れているの?

幽霊、透明人間、あたしはここに居るよ
喉に指突っ込んで どんなに痛がっても
煙と同じ ただの怪我扱いだってさ

想いを形に出来たなら
心臓を止めてもいいのかな
そのために私は此処から
首が曲がるだけ空を見上げてみた
いまにも落ちそうなこの壁に
へだてられているむこうの景色は?
あたしにはわからない わかりたくない
まだわからなくていい きっといつかわかるから

はじまりの太陽まで あたしは暗闇とふたり
じんじん痛むホールをヘッドホンで被して

何を探しているの 何を待っているの
雨はもう止んでいるのに

何を求めているの 何を嫌っているの
君はまだ土砂降りの雨の中動かない

冷えていく夜
味気のない屋根 視点は思ったよりもうんと低いから
いつかこの足で暗雲を踏み潰して笑ってやる

誰もいない… 誰もいない!
いない いない ばぁ
だけどあたしは…

─(午前三時四十分の夢より

ここから見える世界なんてちっぽけだ

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