新規事業開発1年2ヶ月の振り返り。やって良かったこと、失敗から得たこと
こんにちは☀️PMのソネ(_kok____)です。
2022年6月でフリークアウトHD(以下FO)を退職しました。約1年2ヶ月と短い間でしたが、ゼロイチでプロダクトをリリースし、リアルなユーザーを知り、また次の展開を考える、という一通りの経験を積めたなと感じているので、それを振り返っておきたいと思います。
なにしてたん?
FOの中期計画には「次世代型チャット」という領域があるのですが、私はここの新規事業を立ち上げるためにPMとして2021年3月末にジョインしました。
具体的にはLINEを使った小規模ECサイト向けCRMツール「おみせコネクト」というサービスを作りました。
様々なブランドや商品が溢れかえる中、新規顧客を獲得し続けるのには無理があります。自社ブランドに共感してくれたファンに対し、どれだけ良い関係性を築いて何度もリピートしてもらうかが、今後ブランドが長く存続し続けるのに必要不可欠となってきます。
このような背景のもと、顧客との接点とコミュニケーションインタフェースを提供するのがこのサービスです。
プロダクトの概要と歩み
CRMというと世の中に沢山ありますが、おみせコネクトは個人でやっているような小規模なショップをターゲットとしました。ある程度の規模になるまでは無料で使ってもらい、売上が伸びたところで有料プランを使ってもらうフリーミアムSaaSのビジネスを描いています。
そのようなターゲットを想定していたため、まずは小規模なショップが多く新規ショップの伸びも当時爆発的だったBASE向けに、2021年8月MVPをリリースしました。
MVPの設計にあたり意識したのは、どれだけミニマムにして早く世に出せるか。事前ヒアリングはやりましたが、やはり実際に公に晒してリアルな反応を得るのが最も重要です。開発フェーズでは私も実装に加わりました。
ヒアリングで得たインサイトをもとに、チャット機能やECに特化したMA機能、スマホでも使いやすいUIなどを構築。なおこの段階では決済機能は実装しませんでした。フリーミアムだったため、しばらく決済は不要だと考えたからです(ところが実際は嬉しいことにリリース1ヶ月後には有料化のショップが現れ、急遽システム外の決済手段で代用しました笑)。
MVPのリリース後、機能追加や改善を行うことでアクティブ率を上げ、BASEの公式Appとして2021年12月に正式リリース。
BASEの公式Appsに並べられたことで、ユーザーは安定的に増加したのですが、対して有料プランに移行する数は想定よりかなり少なく、ビジネスを再考しなければなりませんでした。
データやヒアリングから、BASEのユーザー(少なくともおみせコネクトに登録しているユーザー)は、オリジナル商品ではなくドロップシッピングが圧倒的に多かったため、どれも同じようなショップばかりでそもそも顧客がおらず、CRMが本領発揮する以前のところに課題があるようでした。実際にユーザーを集めることで、BASEのユーザーにはPSFしないことが分かったのです。
そのため、既にある程度のファンが付いている、もしくは今後ファンが付きそうなショップが多くいるであろう、次なるECプラットフォームに対してサービス展開してく方向にステップを切り替えました(リリース前なので詳細は控えますが)。同時にPLの見直しも行い、しっかりと売上を狙えるプラン料金とバリュープロップを再設計しました。
この新しい取り組みのリリースに至るまでは見届けられませんでしたが、MVPをリリースし、失敗を分析して次の一手を実行するところまでは流れよくできたのかなと思っています。
やって良かったこと
■ 問い合わせしやすい作りとCS
初期フェーズは「CSこそPMの仕事だ!」と考えていました(CSはカスタマーサービス、カスタマーサクセスどちらも指しています)。サイトから問い合わせしやすい作りにしたのと、必ず名乗って対応したことが拘りです。
CSにしっかり時間を割くことは、ユーザーにも自分たちにも大きなメリットだと思っています。
深いニーズやインサイトが得られる
自分たちでは気づけない分かりにくい導線や説明に気づける
バグを教えてもらえる
信頼が得られ、多少の不具合は許容してもらえる
サービスのファンになってもらえ、その輪が広がる
ユーザーの事業が伸び、それが自分たちの実績となる
結局リリースから辞めるまでの約10ヶ月間、すべての問い合わせに私が対応することができました。「ソネさんだったらインタビュー受けますよ」とか「ソネさんによろしくお伝え下さい」とか(全部私が見てるんですが笑)言っていただけたのは嬉しかったです。
問い合わせから改善していったものも多々あるので、本当にやってよかったなと思っています。
■ MVPの段階で集客しない
今回MVPの時点でもそこそこのユーザー登録が窺えたんですが、マーケやPRはほぼ行わずあえて手に負える範囲のユーザーしか集めませんでした。
おかげでCSにしっかり時間を割くことができたし、サービスに可能性を感じて能動的に使ってくれる厳選されたユーザーだけに集中することができました。変にマジョリティやターゲット外の声が大きくなってしまうと、本来追求すべきコアバリューに向き合えなくなってしまうこともあります。
最初はユーザー数を追わず、スモールかつクイックにサービスのクオリティを高めてから本格的な集客をすることで、結果としてアクティブユーザー数を最大化できたのではないかなと思っています。
■ 使われていない機能の見直し
MVPのある機能が全くといっていいほど使われていないことにデータから気づき、思い切って削除しました。ユーザーにとって無駄な選択肢が減ることは良いことでしかないので、早い段階で気づけてよかったなと思っています。
今まで機能を加えることばかりしてきましたが、時には「これ、いらなくね?」と振り返ることも必要だと胸に刻んでおきたいです。
■ ロードマップの作成
これも今までなんとな〜くやってきたやつですが、ちゃんと言語化し共有することの大切さを感じました。当然チームで共通認識ができ、また共通言語で語ることができます。
立ち返るべき道がちゃんと定義されていると、実際に走らせてみたときにズレてきたらすぐ気づけますし、軌道修正するときもロジカルにアップデートできたと思っています。。
失敗から得たこと
■ 失敗の判断をし素早く切り替える
先に述べたように最初のMVPはターゲットに対しPSFせず失敗に終わりました。ロードマップ上もう少し長く検証期間を取っていたんですが、ユーザー獲得が思ったより上手くいったため、早めの定量的な判断ができました。
思った結果が出ないと、もうちょっと頑張ったら…とずるずるやってしまいがちなんですが、「こっちじゃなかった!」ことが分かる失敗はどんどんして早くサイクルを回すのが吉だなと感じる今回の体験でした。
失敗の理由を明らかにしておくのも大切です。今回の場合、BASEにはターゲットがいなかったね、というのが分かったので次の一手も迷わず打てました。
■ 自分が納得できない意思決定はしない
詳細省きますが、MVPの仕様を決める中でCEOの意見と私の意見が別れました。私としては自分の意見の方が明らか良いだろうと思っていたんですが、CEOの意向も強く、結局はCEOの意見を採用しました。
正直やってみないと正解はわかりませんし、FOに入ったのも世のFounderの手腕を肌で感じたかったというのが理由の一つだったので、まあまずは従ってみるか、と自分の中で腹決めをしました。
結局リリース後立ち行かなくなり、私の意見に途中で切り替えることにしたんですが、システム的に結構違ったものになるので、それまでに登録したユーザーはそのまま使い続けないといけないし(移行できなくはないが…)、それなりにでかい技術的負債も残してしまう形となりました。
どちらにするか事前にかなり議論はしたんですが、私も意見を押しきれずこのようになってしまったのは失敗だったなと思っています。
相手の意見が腑に落ちず、自分の意見が正しいと信じている間は、主張の根拠を整え、最後まで議論し続けるべきだったなと反省しました。
また組織としては、意思決定権と責任のあるべきところをしっかり定めておかないといけないなとも思いました。突然局所的にトップダウンの強い意向が入って失敗するって結構あるよなと。自分の今までの経験的にも…
以上、短い間でしたが自分にとっては結構新鮮な環境で、新しい学びも多かったです。
良かったことも悪かったことも、経験として次のポジションに生かしていきたいと思います!
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