ロータリーロック筆入れ〜「なつかし断捨離日記」
みなさん、こんにちは。
ケイズハウスのなかの人です。
ケイズハウスは、実家じまい(相続)や
マンスリーマンションを得意とする不動産会社です。
古ぼけてしまった大切な実家。
まるでタイムスリップしてしまったかのような子供部屋。
親と子の未来を見据えた断捨離は、宝物と感動でいっぱい。
このコラムでは、昭和の昔、
こどもたちには「ちょっとだけ手の出しにくかった」
ベストセラー商品の当時の価格や時代背景を探りながら、
その魅力を語っていきたいと思います。
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今、たとえば、自分の乗ってきた自転車を鍵もかけずにそこらへんに放置しておいて盗難にあったとしたら、それは「鍵をかけないのが悪い」と言われると思います。自分の物にはきちんと鍵をかけ管理しておかないと、心ない人々によって奪われる。日本は欧米諸国などに比べるとまだまだ安全だとはいえ、残念ながら現在はそういう世の中なのです。
では、小学生のころの我々はいったい何に鍵をかけていたのでしょうか。1970年代に流行した、マグネット型の鍵がついた「ロータリーロック筆入れ」(ユニオン)の話です。
本当は鍵なんかかけないほうがいいに決まってます。鍵なんかなくても、自分のものはなくならないし、ましてや身の安全も脅かされない、そんな世の中が断然いい。でも、うまく解説できませんが、(たとえ、それがメーカー側の思惑にはめられたにせよ)あの時のわたしたちは、たしかに鍵をかけたかったのです。
筆箱の中に何が入っていたのでしょうか。それは、鉛筆、消しゴム、ものさしであり、高価なものといえば、せいぜいが(これも当時流行っていた)シャープペンシルぐらいなものでした。まだまだ田舎の家々では、戸締まりもいい加減で、気がつくと近所のおばちゃんが居間に上がり込んでいるような時代でした。
そんな中、我々が鍵をかけてまで守ろうとしたのは何だったのでしょうか。
それは、ちびた鉛筆や粉で汚れたものさしなどではなく、鍵を自由にかけられることによって生まれる、子どもにもほんのちょっとだけ許された「一国一城の主」感でした。
ロータリーロック筆入れの当時(71年)の値段は350〜450円。現在の価格で1000〜1300円です。筆箱ひとつで「自信」を買えた。思えば、安い買い物なのでした。
では、また、次回をお楽しみに。