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新規事業における「するべき失敗」と「しなくても良い失敗」とは

みなさん、お元気ですか。
新規事業家の白石です。
今回はタイトルにもある通り、あまり聞きなれないであろう内容について簡単に解説していきます。
新規事業において非常に重要な考え方になりますので、是非最後までご覧ください。

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新規事業には「するべき失敗」と「しなくても良い失敗」が存在します。
この事を知っていると、大きなメリットを得る事ができます。失敗ではなく実は前進しているという事や、一方で前進していると感じているが、実は落とし穴にハマってしまっているという事など「正しい現在地」を把握できます。

では、この二つの違いについて解説します。

「するべき失敗」とは

まずは「するべき失敗」についてです。
前述の通り、するべき失敗とは"失敗だと感じる必要のない失敗"です。
新規事業はとにかく暗闇です。暗闇の中、走り続けるためには根拠のない自信と粘り腰、そして胆力が求められます。
逆に言えば、ふとした事でも気を抜けば心が折れてしまうのです。
極度のプレッシャーの中での検証で、予想と異なる結果が出た場合、それで落ち込んでしまうことも正直多いです。

ただ、新規事業は予想通りの結果が出ることなんて方が稀です。無駄に落ち込む必要はないです。しかしながら初めて新規事業に触れる方は落ち込んでしまいます。そして恐ろしいのが経営側の意識です。経営側がこの「するべき失敗」を知らないと、その失敗をマイナスに評価したりしてしまう事があります。これは最悪。新規事業を推進している現場は、これを経営側からされてしまうと、頑張れなくなるし何もできなくなります。

大小様々な「するべき失敗」があります。
小さなところで言うとインタビューを行う際に、事前に仮説を作って持っていきます。ただ、インタビューをしている中で事前の仮説とは全く違う回答を得る事ができた、などがあります。
これはむしろ喜ばしいことであり、前進しています。
新規事業における「正解」はいくら思考しても出てきません。答えは顧客が持っているのが基本であり、事前に準備してきたものと異なることは当たり前です。
より正解に近づくので、仮説と異なる結果になることは、どんどんするべきです。
新規事業界隈で著名である麻生要一氏の言葉に「仮説と顧客、このサイクルを300回繰り返したら新規事業はたち立ち上がる」というものがあります。

つまり、現場で新規事業を推進している人には「失敗ではなく前進ですよ」とお伝えし、むしろ積極的に失敗してほしい、と伝えたいです。
経営側には、これを失敗と捉えずに現場側のモチベーションを高めるようなコミュニケーションや見方をしてほしいと思います。


「しなくても良い失敗」とは

次に「しなくても良い失敗」についてです。
これも冒頭に記載した通りですが「前進していると思っていたが、実はそうではなかった」という不幸な状態になってしまう失敗です。

新規事業は速さが重要です。いかにスピード感持って検証を進めていくかが肝になります。ただ、これは必要な検証を飛ばして良い、という事ではありません。その時にするべき検証をしないで飛ばしてしまった場合、結果大きな手戻りが発生します。
新規事業において手戻りは多々発生するものですが、このフェーズ飛ばしの手戻りは、致命的な時間と工数が発生する場合が多く、これが理由で撤退する事業も多いです。

そして、このしなくても良い失敗というのは、現場で推進している当事者では気付けない事が多いし、気づきたくない思考も働きます。ではどうするのか。
"最初に知っておく"です。
するべき失敗は、やっている中でしか学ぶことができないです。
一方でしなくても良い失敗は、最初に知っておいて回避する事が有効です。
気付いてからでは遅いのです。

新規事業は家を建てる事とイメージ的には近いです。基礎を固めずに柱は建てられません。仮に建てられたとしても、屋根を作っている時には倒壊しているでしょう。新規事業にも一つひとつ工程がちゃんとあります。

経営側としては、過度なプレッシャーや重圧をかけ過ぎないこと。小さな事に意見を挟まないことが大事です。なぜならば、
・プレッシャーをかけすぎる→工程をスキップしがちで「しなくても良い失敗」に陥りやすい
・小さな事に意見を挟む→仮説の精度を上げようとするがあまり「するべき失敗」がしづらくなる
このような影響があるからです。

新規事業において「失敗」という言葉は想像以上に意味合いが広いです。
大なことは、失敗という言葉の表現をすることでなく、長期的視点で事実を正しく捉えることです。
「失敗」と判断することすら難易度が高いのが新規事業です。
新規事業において「失敗」と決めるのは判断ではなく「決断」になります。

少し脱線しましたが、この二つの失敗の違いを現場で推進する者も、経営側の者も双方が同じ解像度で知っておくことが非常に重要です。

私は企業に対して新規事業についてのアドバイスをしております。
同業者の多くは「新規事業を成功させる」事を強みとして、活動をしておりますが、私は少し毛色が異なります。
結果として目指すべきところは他の同業者と同じなのですが、私のスタンスは「しなくても良い失敗を防ぐ」事を目的としてアドバイザーです。
つまり、守りのアドバイザーです。

だからこそ、私は自分からプッシュ型の営業はしません。この守りの重要性を認識している経営者と仕事をすることが最も相性が良いと思っているからです。
新規事業に「絶対立ち上がる」という保証はありません。しかしながら、しなくても良い失敗を防ぐことで可能性を上げることはできる。

この二つの失敗について、ぜひ頭の片隅に置いておいてください。

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