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ソフトバンクビジョンファンドの投資成績内訳を探る

おつかれさまです。
ソフトバンクビジョンファンドの運用実績が公開されていたので、確認していきます。


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■期間12カ月(2019.3~2020.3)進捗
①新規投資:20社
2019年2月時点で71社で現在が88社なので、3社が私の中では不明です。
②追加投資:25社
③上場:5社
Uber,Slack,OneConnect,Vir,10xですね。
④投資額は$17.1B。
⑤分配額$5B
7%定率利回り、guardant一部売却(0.4B)だとおもわれます。

⑥LTM(過去12か月間)の投資損益:$-15.6B
昨年が86.6B程度ですので-18%程度下落。

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■累積実績

①実現損益:$+4.8B
$6B投資して$10.8B売却してます。関与する会社が7社と表記されている点ですが、脚注に記載されている通りのNvidia, Flipkart, また投資家向け説明動画内に口頭で説明されているWag, 一部売却組としてGurdant、PingAn、Slack、Roivantです。
②含み損益:$-4.2B (上場組+0.8B、非上場組-5B)
割合で計算すると約-6%です。非上場が8割を占めており、算出方法が不明なので、個人的にはあまり気にしている数字ではありません。

■ファンド開始以降のSBG損益(外部投資家分を控除後)

①ファンド全体:$-4B
②SBG分損益:$-1.9B
③運営収益:$0.35B
④最終SBG損益:$-1.55B (①+②+③)

最終SBG損益で$-1.55Bは決算説明資料内にも記載のあった-0.1兆円(≒-1.1B)と概ね近い値ですね。

2017年から投資して、昨年5月に投資完了。そして最終的に$80Bに対してほぼゼロと考えるとIRR=0%。目標20%には程遠いです。。

■コロナ影響による評価額変動率(2020.1~2020.3)

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①不動産:-41%
②コンシューマ事業:-21%
投資額が大きい企業はwework(①)、OYO(②)だと思われます。1月~3月までの影響ですので、wework問題(上場前のS1報告書にて評価額が著しく落ちた問題)は含まれません。

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ポートフォリオの内訳が記載されていますが、
投資累計で大きく損失しているのは不動産のみです。
①買付額:$10B
②評価額:$4.6B
③含み損:$-5.4B(①-②)

今回気になるのはwework問題とコロナショックがそれぞれどの程度影響を与えたかが気になります。計算します。
wowork問題はQ2決算から引用します。評価額は現在とQ3決算の情報から合計値と差を計算します。
④wework問題損失:-3.4B(Q2決算説明書より)
⑤評価額合計(3月末):$71.1B 
⑥評価額合計(12月末):$79.8B
⑦評価額差分(12月末~3月末):$-8.7B (⑤-⑥) (-11%)

④、⑦を比較すればわかりますが、wework問題より、コロナ期間(12月~3月)の方が2.5倍大きいことがわかりました。


また、コロナ影響による減損は割合(⑥、⑦)にして-11%程度です。ダウ平均減少率-30%に対して1/3程度です。未上場企業の評価額なので、参考程度に把握しておきます。

■まとめ
年間:-18%
累積:IRR=0%
コロナ期間:-11%(ダウ平均-30%)
wework問題よりもコロナショックのほうが2.5倍大きい影響。

ビジョンファンドだけを切り取ってみると非常に厳しい一年でした。
以上、感想、ご指摘有れば、コメントいただけると嬉しいです。


・参考
2020年3月期決算 投資家向け説明会
ビジョンファンド説明資料Q4
https://group.softbank/system/files/pdf/ir/presentations/2020/investor-svf_q4fy2019_01_en.pdf

動画配信 
https://group.softbank/news/webcast/20200520

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