インドへ#3 捨てる神あり 拾う神あり
インドは神様人口(?)世界一の国である。どこへ行っても神像があり、儀式やお祭りがあり、人々は毎日お香や花を供えている。インドでは様々なめぐり合わせとしか思えない体験をした。急速に現代化する社会の中で、何千年も途切れない信仰の世界が色濃く空気に満ちている。
インドに入国したばかりのぼくは、コルカタのめずらしい街の様子に興奮して、連日ほぼ一日歩き回っていた。人間の人口当時世界2位、大都市ではその密度も極端に高くて、まさにひしめいている。(ちなみにひしめくは「犇めく」って書くんだって!)
牛も字のごとく、押し合いへし合い路上を闊歩している。犬、猿、豚、鳥、まるで動物がいっせいに放たれたかのようなにぎやかさだ。人力車、サイクルリキシャ、オートリキシャ、牛車、オートバイ、路面電車、バス、鉄道。そうして人間(たぶん神様まで)が譲り合いなどせず、一斉に交差点に突進する様はカオスだ。カオスエネルギーがハンパじゃない。
調子に乗って歩き回っているうちに、突然発熱した。思えば熱射病だった。いきなり炎天下を歩き回ったので体がたまらず反応したのである。あまりの高熱に安宿の旅人たちが心配して、どこからか医者を連れてきた。
ところがその医者はろくに診断もせずに「マラリアだ、これを飲め」とタブレットを置いていった。つたない感じの蚊の絵が描いてある駄菓子屋の飴玉みたいな包み紙だ。第一マラリアの潜伏期間は1週間以上。ふつうそんなに早くは発熱しない。
ヤブ医者と恨んでみても熱は下がらない。仕方なくぼーっと横たわっていると、幸運にも日本人の看護師の女性が客の中にいて、座薬をくれた(というか突っ込んでくれた)。日本製というプラシーボ効果も手伝って事なきを得たが、体力もダダ下がりで旅をつづけるどころじゃなくなった。
その時旅慣れた何人かが口をそろえて言ったのが「プリーに行け」だった。コルカタから長距離電車で丸一日、静かな海岸の街、酷暑の時期でも海風は涼しく、適度に田舎で食べ物もうまい。大都市のエネルギーにやられた奴は皆プーリーで静養するという。軽井沢みたいなところなんだろうか?(海辺だけど)
それが、今回40年ぶりに訪れることになるプリー、そしてお世話になるサンタナゲストハウスとの出会いだったとは、まったく不思議なめぐり合わせと言うしかない。
そこでぼくは劇的に回復した。発熱地獄から爽やかな旅のあこがれの涼風へと誘われたのだ。プリーがそれからの長旅の滋養をくれたのである。
(・・・続く)
(※この旅日記は80年代当時のインドのごく一部、しかもぼくの個人的な体験です)
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