【田端大学】マーケティングの仕事と年収のリアルを読み、エンジニアがキャリア相談してきた
■前書き
先日の田端大学の定例で
・田端 信太郎さん
(著書:ブランド人になれ!,MEDIA MAKERSなど)
・山口 義宏さん
(著書:マーケティングの仕事と年収のリアル(今回の課題図書,以下「マーケリアル」)、デジタル時代の基礎知識『ブランディング』 など)
という、トップマーケターのお二人にキャリア相談をするという非常に貴重な体験をさせて頂きました。
せっかくなので相談した内容と相談に対するフィードバックを記事化します。自分のキャリアに悩んでいる方々に読んで頂ければと。エンジニア以外にも役立つ情報が多々あるかと思います。
■相談内容とそのフィードバック
ここからは実際に発表した流れに沿って記載します。
・自己紹介
・これまでの自分のキャリア
・現状のステージ分析(エンジニアとして)
・現状の年収と今後の目標※
・マーケリアルを読んで共感した点
※発表中は自分の現状の年収について割と具体的な数値を出しましたが、記事中では伏せます。
知りたい方は直接コンタクトするなり田端大学に入るなりして下さい。
目標年収についてはこの記事中でも明記します。
■自己紹介
高石圭佑といいます。
2018年12月より、ZOZOテクノロジーズのエンジニアとして服作り工場の自動化を検討しているチームに所属しています。
今でも積極的に人材募集してるので、興味持った方はコンタクト下さい。直接応募頂いても結構です。
Twitterでも割と発信しているので、フォローして貰えると喜びます。
キャリアの項で詳細に説明しますが,エンジニアとしての専門領域は画像処理,デジタル回路設計,制御ソフトウェア開発です。
■老け顔として評判
実年齢でいうと31歳です。25歳のときに新卒として入社したので今年で社会人6年目。
写真を見てもわかると思いますが,
見た目の年齢>>>実年齢
ということをよくネタにされます。新卒入社時(当時25歳)に
同期から:アラフォーと言われる
人事から:中途入社っぽいと言われる
上司から:部長っぽいと言われる
と、なかなかの実績を残しています。
ここに関しては転職先のZOZOテクノロジーズでも高評価を得ていまして。
自分より年上のエンジニアたちから見事に年上認定されている様です。
なんつー会社に来てしまったんだ俺は。
■自分のキャリア
簡単に今までのキャリアを記載します。
・2010.4 ~ 2013.3(大学4年~大学院2年)
東京理科大学(+大学院)にて画像符号化のアルゴリズム開発に従事
・2013.4 ~ 2016.11(社会人1年目~4年目)
ニコン映像事業部にてカメラ(ミラーレス・コンデジ)電気設計担当
・2016.12 ~ 2018.11(社会人4年目~6年目)
ニコンFPD装置事業部にて露光装置の制御ソフトウェア開発担当
・2018.12 ~現在
ZOZOテクノロジーズにて工場自動化向け制御ソフトウェア開発担当
■最初のキャリアは画像処理エンジニア
エンジニアとしてキャリアを歩み始めた、と明確に言えるのは2010年の大学4年生からです。高校時代はゲーセンに入り浸ってましたし、大学の学部生時代はネトゲ三昧だったので・・。
大学4年生のときに,後に恩師と呼ぶようになる教授の研究室に配属され、画像の圧縮符号化アルゴリズムの開発に従事します。
画像処理に興味ある方は以下の僕の記事を読んでみて下さい。相当分かりやすい自信はあります。今後シリーズ化予定。
■続いてのキャリアは電気設計エンジニア
で、3年間画像処理関連のソフトウェアエンジニアとして過ごした後にニコンへ入社するわけです。
「ニコンでも画像処理をするぞ!!」と思って入社したものの
配属されたのは電気設計の部署でした。
ちなみに僕は大学で「ハンダ付けが嫌で電気から逃げた男」です。
その僕に入社直後に与えられたのは「カメラの試作品をハンダ付けで修理する」という業務でした。
拷問かよ。
初業務として先輩から
故障品2台+動作確認用の正常品1台を修理の為に受け取る訳ですが,
見事に全部ぶっ壊して返却しました。もともと壊れていたとはいえ修理可能だったボディもしっかりと修復不可能なレベルにして返却しました。
返却した時の先輩の引きつった顔は多分一生忘れません。
そんなこともありながら3年半を電気設計エンジニアとして過ごしていたところ,会社からの指示で事業部をまたいだ異動をすることになります。
■自身初の異動の経験。続いてのキャリアは制御ソフトウェア開発エンジニア
カメラをぶっ壊す経験を何度もしながら、なんとか電気設計の業務にようやく慣れてきたという時期に会社から異動指示を受けたのが2016年10月。
カメラの事業を離れることに若干の寂しさを覚えつつ門を叩いたのが「FPD装置事業部」という、産業機器を扱う部署です。
FPD露光装置に関しての詳細は以下のニコン公式サイトで「FX-103S 特別映像」という動画を見てみてください。
正直何度見ても涙が出るほど誇らしい動画です。2分以降とかほんとヤバい。
FPD露光装置というのはディスプレイの根幹となる「ガラス基板」に回路を焼き付ける装置。
2階建てのビルほどの大きさの装置の中で、露光用ステージが1umオーダの精度で駆動するわけですが、僕はそこのステージ制御を司るソフトウェアエンジニアとなります。
大学院で従事した「画像処理アルゴリズムの開発」と大きく違うのは,「実際にモノを動かすエンジニア」であるということ。
ハードウェアとソフトウェアどちらの知識も要求される業務であり、非常にやりがいを持って業務に励んでいました。
FPD露光装置という製品では世界的に見てもシェアをキヤノンと二分する一大勢力。
世の中に出ているディスプレイの半分には自分たちが関わっているというだけで,エンジニアとして誇りを持てる仕事だったと感じています。
結局この後「新しいことに挑戦してみたい」という気持ちが勝り「転職」という道を選ぶわけですが,今でも本当に良い職場だったと心の底から思っています。
「カメラ」という映像入力デバイスと「ディスプレイ」という映像出力デバイス。どちらに対しても深く関わり、どちらも世界トップクラスのシェアと技術を誇る会社で働いていたということは今となっても自分の財産です。
退職するときも何度も何度も「良い職場だった」と口にしたおかげか、非常に円満に退職をすることができました。
まぁ、ちょっと体質が古いなとは常々感じていましたけど笑
で、その経歴を持って,ZOZOテクノロジーズに転職をして現在に至ります。
■現状のステージ分析(エンジニアとして)
まず、「ステージ分析とはなにか?」について。
ステージというのは、マーケリアルに記載のある,自分がある分野においてどのレベルにあるのか?という指標です。
山口さんは「マーケター業務」を6ステージに分けていますが、僕は対象を「エンジニア業務」として、自分なりに以下の様に定義しました。
これを踏まえた上で,自分のステージを分析したのが以下となります。
画像処理という純粋なソフトウェア,電気設計というハードウェア,組み込みソフトというミドルウェア。
それぞれでキャリアステージ3,3,2,というのが現状の僕の自己評価です。
ここで田端さんから質問が入ります。
ド素人の意見ですが・・・ソフトウェアとハードウェアの融合領域で両生類みたいな存在ってことですよね?結構珍しいんじゃないですか?
僕の回答は以下です。
そこそこ珍しいということに山口さんの本を読んでから気付きました
後ほど改めて触れますが,「複数の領域でそこそこの人材」というのも捨てたもんじゃない、というのが今の僕の心象です。
自己分析をする上で「原体験の深掘り」の重要性がよく問われていますが、
それと併せて「自分の価値の客観視」を改めて行うことをオススメします。
※原体験の深掘り自体の重要性は僕も実感しています。
■現状の年収と今後の目標
■現状の年収
冒頭でも書きましたが,現状の年収の公表は控えます。
「31歳のエンジニア」として見れば,超高額とまでは言えないまでも少なくはない額を貰っています。
ニコンでもZOZOテクノロジーズでも、です。
■今後の目標年収
3年後:1000万円
5年後:1500万円
それを踏まえた上で設定した今後の目標年収が上記となります。
自分なりの根拠は以下の通り。
・産業向けIoTが非常に盛り上がる中で、エンジニアの更なる高需要化が見込まれる点
・ZOZOという高収益な会社の中でファクトリーオートメーション×サイズのパーソナライズという初めての試みをさせて貰っている点
・既にロボット業界でファナックが平均年収1,400万円を叩き出している点
提示したところ、田端さんからは
ポテンシャルがあればチョロいと思います。
とお墨付きを貰いました。ここまで行けなかったら自分のポテンシャルがなかったってことで。
そんな状態には絶対なりたくないので全力を尽くします。
金の亡者にはなるつもりはないが、金銭感覚が全く無いビジネスマンになるつもりもないという感じです。
その上で今後身につけて行くのは以下の領域。
・工場内ネットワークを繋ぐ通信技術
・工場と生産管理システムを繋ぐIoT連携技術
・ロボット制御技術
・英語
加えて、自分の実績が会社の利益につながっていることを明示できるだけのロジックを、自身でしっかり組み上げられるようになるつもりです。
なので、大前提として「実績を挙げる」が目標となります。
ちなみに、既にこれらの技術を身に着けている人がいらっしゃったら、是非ZOZOで一緒に働きましょう。
何度も言いますが絶賛エンジニア募集中です。仕事超楽しいですよ。
■マーケリアルを読んで共感した点
ここからは本を読んで自分なりに共感した点についてお話します。
①労働市場における"自分"という商品のマーケティング戦略がおろそかになっている人は意外に多い
本題どころか「はじめに」の中で出てくる文章です。いきなり心に突き刺さります。
本の中では「マーケターでもおろそかになっている」と記載がありますが、
「エンジニアでできている人は更に少ない」んじゃないかという印象です。
エンジニアでしっかりと自分の価値に値付けができているのは
・フリーランスで活躍している人
・自分で事業を起こし、ある程度市場に価値提供ができている人
・何度か転職をするなりして、複数の市場を渡り歩いた人
・上記の様な人と情報交換している人
に限られるのではないでしょうか。
僕自身非常に自分の価格付けが下手でして、
転職後の職場にて、7歳ほど年下のエンジニアから
「高石さんの提示額,僕が面接受けたときの提示額と同程度ですよ」
と言われてしまった程です。
結局ZOZO側の心意気で提示額からUPして貰いましたが,何ともまぁ情けない話だなと我ながら反省しています。
ちなみに僕は転職活動でZOZOテクノロジーズしか受けてない訳ですが、その話をしたところ、田端さんから
エンジニアとしての心意気は素晴らしいと思うけど、だからこそ買い叩かれるんだなって感じですよね
とのお言葉を頂きました。ぐうの音も出ない・・・笑
②専門分野の知識を90点から100点に伸ばすより、60点レベルでも良いので隣接領域の知識を持ったほうが、実際の評価につながって評価されることは少なくない
こちらはある意味僕を救ってくれた言葉になります。
エンジニアには「一点突破」に対する神格化があるような気がしていて、僕自身も「一つの技術で突き抜けなければ意味がない」と思っていました。
その為、ニコンの中で部署を異動するときは
「画像処理をやりたくてニコンに入ったのに電気設計部署に配属されて、ようやく電気設計に慣れてきたタイミングで今度は組み込みソフト開発か・・・」
と、少し意気消沈したことを覚えています。ZOZOに来るまでは「中途半端な器用貧乏野郎」というのが僕の自分に対する評価でした。
これに対し山口さんからは
これはスペシャリスト集団特有の価値観で、そのパラダイムの中ではそういった「中途半端な器用貧乏野郎」というマウンティングを取られやすい。
価値というのは抽象的な概念。「本人は何もしなくても、場所や売り先や相手を変えただけで価値が跳ね上がる」ことがある。「誰にとって価値があるか?」の視点が重要。
とのアドバイスを頂きました。
田端さんからも
幕末の日本にTOEIC600点の人が来たと仮定したとして、本人が「自分は英語が大してできない」と思っていても周囲から見たらものすごく価値がある、となる。
と、大して歴史を知らない僕でも簡単にわかる例を出して貰いました。非常に分かりやすいと感じた一方で、小学生を諭されている気分でものすごく悔しくなりました笑
結果的に僕は今までの経歴によって
画像処理のアルゴリズム開発というソフトウェア
電気設計というハードウェア
モノを動かす為の組み込み開発というミドルウェア
それぞれに対する「そこそこの知見」を得ることができました。
狙ってやったわけではありませんし、当時はネガティブに捉えていましたが、今となっては「行き先によっては価値があることは間違いない」と思うことができる程度には自分に自信が持てています。
最近よく、融合領域を表す言葉を聞きます。
金融と技術の融合である「FinTech」
教育と技術の融合である「EdTech」
電気と機械の融合である「メカトロニクス」(電気+機械+ソフト、かな)
電気とソフトと通信の融合である「IoT」
これらの言葉がわざわざ作られる、ということは「その融合領域の需要がある」ということだと思います。
マーケターだけでなくエンジニアの方々も、自分の価値を改めて見直すことをしてみても良いのではないでしょうか。思わぬ評価が転がっているかもしれませんよ。
そのための一冊として、マーケティングの仕事と年収のリアルという本はとてもおすすめです。