【娯楽メモvol.22】『ラストマイル』
あらすじ
感想
アンナチュラル、MIU404と世界線がつながるシェアードユニバースムービー。
脚本に野木亜紀子、監督に塚原あゆ子、プロデューサーに新井順子が、再びダッグを組んだ今注目の一作です。
MIU404は大好きなドラマで、コロナ禍でやることもない中、毎週の楽しみだったことを思い出します。1話でド派手なカーアクション、2話以降の人間味溢れるストーリー、何より伊吹と志摩のコンビネーションがずっと見ていたいと思えるんですよね…。
アンナチュラルは当時見ていなかったので、今作に合わせて視聴。最初は遺体とリアルに向き合うのでちょっと怖かったんですが、こちらも緊迫感溢れる展開がとても魅力的でした。特に冷凍便のトラックに閉じ込められてしまう回が緊迫感あって、中堂さんのかっこよさも含めて特に印象的でした。
野木さんは現代風刺と登場人物の辛い過去を描くのがうまいですよね。
ブラックなハチミツケーキ工場とか、外国人労働者たちの悲痛な訴えとか、今作の物流システムとか。中堂先生の恋人への思いや、志摩の元バディへのやりきれない気持ちなども。
人には何かしら抱えている過去がある。でもそれを少しずつ紐解いていくことで、当時はわからなかった真実を知り、前に進むことができるようになる。
過去を乗り越えて、今という世の中を生きていく強さを考えさせられる…。見終わったあとに心にズシンとくるものがありますね。
僕もそんな風に、誰かの心に残る物語を書いてみたいです。
舟渡エレナのキャラクター
終始、満島ひかりがチャーミングでした。
最初、舟渡エレナが犯人なんじゃないかと疑った時は怪しく見えましたが、自ら爆弾を引き当ててしまい、過去を暴露するシーンを経て一気に親近感が。僕も荷物を開けて「カチッ」と音がしたら静かにそのまま水に沈めようと思います。
「爆弾が11個だとしたら…」のセリフには鳥肌。確かに、12個と予告があったからとはいえ、果たしてそれを信じてよいものか。DailyFirstに向けた復讐ならば、ありもしない残りの一つを探させ続けるというのも賢い犯人ならやりかねない。と、その思考に至る野木さんがすごい。
アツいドラマパート
MIUパート、アンナチュラルパートがそれぞれ本編を邪魔しない程度に絡んでくる感じが、ある意味ちょうどよかったかもしれません。ドラマの劇場版ではなく、あくまで世界線が同じということだから。でも正直、あの豪華キャストたちをもっと見たかったという気持ちもあります…。
あと、それぞれのテーマ曲がかかった時、(うぉぉ来たかぁ…!)って、ゾワっとしましたね。
個人的には、MIU404の時に高校生として虚偽通報事件を起こしていた前田旺志郎くんが、更生して機捜に入り、陣馬さんと一緒に初動捜査していることに感動しました。これが激アツ展開というやつ?
アンナチュラルで登場した、殺人配信をしていた高校生が、更生してバイク便の配達員として登場していたのも、いいサプライズだなと思いました。
印象的な特別出演と刑事コンビ
中村倫也、仁村紗和がスペシャルゲストとして登場。2人とも表情の演技が本当に上手ですね。中村倫也なんてセリフといえば「馬鹿なことをした…」くらい。それなのにずっと話の中心になる圧倒的存在感。仁村紗和も、爆風を顔面に受けるスローのシーンとか圧巻でした。
大倉孝二と酒向芳の長身刑事コンビも良かったですね。デコボコに見えて結構息のあった活躍ぶり。大倉さんはツッコミ役などコメディが上手い印象あるので、今回もそれが発揮されつつ、頭が切れる感じも出ててかっこよかったです。
爆弾について
最後の爆弾は本当にヒヤヒヤしました。落とした時点で爆発してしまうもんだと思ってたので、女の子がだいぶユサユサして持ち帰ったあげく、玄関で一回落としたので、終わった…と思いました。そこで爆発しなかったのは単純に運が良かったから…?ギリ間に合って爆弾を洗濯機にぶち込んだシーンは、伏線回収に度肝抜かれました。
「探してた答えはロッカーの中にあったのに!」
最初見たときは、どういうこと?爆弾の在り処がわかった?と思いましたが、改めて見ると筧まりかが探してた答え(山崎佑が自殺した理由)だったんだなと気付かされました。2度見た価値ありです。
「爆弾はまだある」は現代社会への訴えですかね。誰もが爆弾になり得てしまうという。本当に最後まで考えさせられる映画です。
これを見て以降、Amazonのセール広告を見るのが少し怖いです。配送業者に感謝の気持ちを忘れないようにしたいと心に誓いました。
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