【注意喚起】電動アシスト自転車、モノによっては違法な可能性あり
自転車業界のミライを勝手に背負っている吉田です。
最近流行りの電動アシストつき自転車について看過できない問題を発見したので、注意喚起の意味で記事にしておこうと思った次第です。
一言で言ってしまえばタイトルの通りで、
電動アシスト自転車の中には、道交法上「原付」扱いになるモノが含まれている可能性が大いにあるので、買う前にチェックしたほうがいいぜ、という内容になります。
※特定のメーカーや自転車を批判する意図はなく、あくまでいち消費者として調査したことを事実をベースにお伝えすることを目的としています。
結論
①電動アシストつきの自転車を買おうかな、と思ったら、
(めちゃ面倒くさいけど)日本交通管理技術協会のサイト(↓)で
「型式認定」を受けているかチェックして!
②型式認定を受けていない自転車は、公道を走ると様々な法令違反のリスクがあるよ!(ただちに違法というわけではない)
以上が結論です。
「型式認定」って何やねん!と思われていると思います。僕も思いました。
めちゃ簡単に言うと「これは電動アシスト自転車だよ」って認められるためのチェックのことなのですが、ちゃんと説明しようとすると、そもそも法律上、電動アシスト自転車はどう定義されているかを説明せねばなりません。
そもそも法律上「電動アシスト自転車」はどう定義されているか
細かい話になりますが、適当なことを言うわけにもいかないので法律の実際の条文を確認してみます。
道路交通法施行規則第一条に該当する記載があります。
あとから噛み砕いて説明するので読み飛ばしてもOKです。
まず電動アシスト自転車は、法律上は「人の力を補うため原動機を用いる自転車」って言うらしい。長い。
それはどうでもいいとして、
曰く「これは電動アシスト自転車だぜ!」って言うためには条件があると。
その条件というのが、条文をめちゃ簡単に翻訳すると下記。
①動力は電気じゃないとダメ!(イ)
②スピードが時速24km以上のときはノーアシスト(つまり人が漕ぐ力だけ)じゃないとダメ!(ハ)
③スピードが時速10km未満のときは、ひとが漕ぐ力:アシストされる力の比率が「1:2以下」じゃないとダメ(例外あり)!(ロ-(1))
④スピードが時速10km以上で24km未満のときは、ひとが漕ぐ力:アシストされる力の比率が、「1:速度に応じて変わる数値以下」になってないとダメ!(ロ-(2))
速度に応じて変わる数値というのが、以下の一番右の列の数値。
分かりづらいのでグラフにしてみた。
つづけると、
⑤改造したら簡単に↑以上の速度出せちゃうようになる、とかはダメ!(ニ)
⑥アシスト機能はスムーズに使えるようにしてあげてね。あとアシストがあるせいで逆に危ない、みたいのはやめてね。(二)
以上が法律で決められている「電動アシスト自転車」の定義。
当然、この基準を満たしてないものは、法律上は「これ原付じゃね?」とか、「これバイクじゃね?」って事になっちゃうわけでございます。
そこで「型式認定」
こういう複雑な基準を満たしているかどうかを、消費者がいちいちチェックするわけにもいかない。ということで公益財団法人 日本交通管理技術協会という団体が実施しているのが「型式認定審査」。
電動アシスト自転車の現物を、計測機械を使って実際にチェックして、「これは法律上オッケーなやつだよ!」と公式に認めてあげているわけです。
※電動アシスト自転車以外でも、原付や普通の自転車にも基準があるらしく、そのへんの認定もやってるっぽい。
ただし話をややこしくしているのが、この型式認定そのものは、
メーカーや国内販売代理店が自主的に出願して行うものであり、
かつ義務ではない。
という点。
(日本交通管理技術協会に電話確認済み 2022年5月時点)
これは関係者に聞いた話なのであくまで噂レベルで聞いてもらうと、
・そもそもこんなに厳しいの日本くらいで、諸外国では普通に40km/h出る「電動アシスト自転車」はある、とか、
・認定を受けるためには、モデル✗サイズごとにそれぞれ取得する必要がある、とか、
・1パターンの認定を受けるのに70万くらいかかる、とか、
・計測するための機械にも仕様があって、それが自社商品の仕様と違う場合は合わせないとそもそも計測してもらえない、とか、
色んな事情があって、「んーーーうちは型式認定受けない!」っていうメーカーも割といるらしい。
噂レベルの話なので社名は言わないけど、某超有名スポーツバイクメーカーも、E-bike(電動アシストモデル)については仕様が合わないとかで認定取得を見送っている、とのこと。(これも2022年5月時点)
だから今日本で売られている自称「電動アシスト自転車」の中には、
A:型式認定を受けている=法律の基準値内のもの
B:型式認定を受けてないけど法律の基準値内のもの
C:型式認定を受けてなくて、法律の基準値外のもの
の3パターンが流通している可能性があるわけです。
そしてAならいいけど、型式認定を受けてないものを買ったときに、
BなのかCなのかは分からないわけでございます。
型式認定されてない電動アシスト自転車に乗ったら違法なの?
と言うと、絶対乗っちゃダメ、というわけでもないのがややこしいところ。
上の例で言うと、BならいいけどCは危ない。
でもCに乗ってたからと言って、すぐに警察が来て取り押さえられるか、っていうとそういうわけでもない。なぜなら警察のひとも、ぱっと見で「これアカンやつや!」って判断できるわけないからです。
でもね、
型式認定されてない電動アシスト自転車に乗って事故って大変なことになった事例はあるらしい
そこで僕が住んでいる愛知県警察の交通局に電話して、「実際どうなってんの?」と聞いてみた。
警察としての公式見解じゃないよ、という前段のもと、あくまで個人の知識、意見として交通局のおまわりさんがシェアしてくれたのが、下記。
怪しい自転車メーカーに凸ってみたら
どことは言わないのですが、最近めちゃ広告を見る、電動アシスト自転車を謳っているメーカーの専売店に、勝手に覆面調査をしてみました。
機能の話をたっぷり聞いて、試乗までさせてもらったのですが、
・電動アシスト自転車だよ
・24kmになったらアシスト切れるから法律上OKだよ
・でもこの手元のボタンを押すと漕がなくても進むよ(!?)
という説明を受けました。
「えー漕がなくても進むのに自転車なんですか?」と聞くと、
「24km/hでアシスト切れるから何も問題ないよ!」との回答。
分かってて言ってるのか、分かってないのかは不明ですが、
普通に買いに来たお客さんにこの説明だとすると、ちょっと怖いな、、と正直思いました。
また試乗してみると、
これは感覚の問題もあるので厳密にそうとは言えないですが、
明らかに「漕ぐ力に対する割合」でアシストされている(つまりトルクに対して反応)というよりも、単純にペダルの回転数に応じてアシストがかかっているような感覚。
ペダルをぐるぐるしているだけで、力を加えなくてもぐんぐん加速していくことが素人目にも分かりました。
他の怪しげなメーカーにも電話で聞いてみたりしましたが、
「24km/hでアシスト切れるならOK」という説明は割と色んな所でされるものの、それ以外の細かい条件については知ってか知らずか全然触れられませんでした。怖い!
そして完全に穿った見方で「どうせMakuakeとかで売ってるような外国産の自転車は取得してないんだろ」と思いながら10件ほど電動アシスト自転車の商品を調べてみると、型式認定の取得は4件。
ランダムに購入すると60%くらいの確率で型式認定とってない、という結果に。多いのか少ないのか。
さらにややこしいことに
型式認定受けてなくて、かつ法律の基準外でも、「規制のサンドボックス制度」を活用した実証実験中、というものもあるようです(下記記事を参照)。
ここ最近都内でよく見る「LUUP」とかはこれに当てはまるそうで、
→親切な有識者がご指摘くださり、LUUPはおそらく規制のサンドボックス制度ではなく新事業特例制度をかつようしているのではないか、とのことでした!さらにややこしい笑
いずれにせよ、「いやこれ明らか自転車じゃないだろ!」というものが公道を走っていても、「コレに関しては実験なのでOK!」という場合もある、と。
ややこしい!!
結論に戻ると
と、言うわけなので、自転車屋さんで普通に「これ大丈夫?」と聞いても、「全然大丈夫!」と言われる、でも認定されてない、みたいな場合も普通にあるので、安心安全を第一に考える方は、面倒でも下記ステップを踏んでからの購入をおすすめしまーーーーす!!
電動アシストつきの自転車を買おうかな、と思ったら、
(めちゃ面倒くさいけど)日本交通管理技術協会のサイト(↓)で
「型式認定」を受けているかチェックして!
以上です。