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現場と企画の果てしない分断はなぜ起きるの?

はじめまして。よしだけいすけです。
僕は自転車が好きなので、自転車を楽しむ人をもっともっと増やしたい!と思い、自転車関連の仕事をしています。
そのあたりは↓のnoteに結構書いたりしたので、もしよかったらご覧ください。

リクルートの企画にいたとき、僕の担当は年商数十億だかの弱小オプションサービス(本業の年商が数百億とかなので、これでも弱小)のサービス企画及び営業企画、ということで、

このサービスについて今後こうします、みたいな、サービス内容や業務フローの変更について、営業マンたちに企画を説明する機会が何度かあった。

多くの場合、営業マンたちは課ごとに6~10人くらいいて、週に一回課ごとに集まる会議があったりするので、その場に10分くらいお邪魔してご説明差し上げる、みたいな、そんなイメージ。
営業の課は何十もあるので、企画の人間もそれぞれ担当を受け持ってひとり何課も説明に行く、みたいなそんな感じだった。

営業現場には、「この道10年です」みたいなベテラン選手たちがたくさんいいる中で、

そんな先輩たちに「次からこんなふうにやってね」みたいな説明をして協力を得る、というミッションは、
新人としては、いやそうじゃなくても結構緊張するもので、

そのうえ営業マンによっては、親殺されたんかっていうレベルで企画の人間に敵意を剥き出してくる人とかもいて、
僕はそんな機会があるたびに「今日は何も起きませんように、、!」などと
普段は全く祈らない神々に対して胸の前で十字を切ったり、手のひらを合わせたり、だとかしてた。


企画マンに現場経験は必要?


その日もいつもと同じように、企画で考えたことを営業マンたちに説明する、という日だった。

この日は企画の先輩が考えて、偉い人の承認ももらい済みなキャンペーンだかなんだかについて、課の会議に冒頭10分だけお邪魔して、説明&協力の依頼をする、という内容。

いつもどおり胸の前で十字を切りながら会議室に入りつつも、いつもどおり緊張はおくびにも見せず持ち前のトークで場を和ませつつ、先輩が作ったパワポを元に「こんな感じでお願いします〜」と華麗な説明をして、「なにかご不明点ありますか?」といつもどおりな確認を投げたその時だった。

それこそ、この道10年です〜みたいな、おそらく企画に親を殺されたのであろうベテラン営業マンが言い放った。

「なんでもいいんだけどさ、これ考えたヤツ現場経験あるの?」



…固まった。

(心の声)
「考えたやつが現場経験あるかどうかって判断に関係あんの?」
「コレ考えたやつが現場経験?あるよ?お前より営業成績残してお前より期待されて企画配属になったヤツだよ?」
「てかお前なんでそんなに偉そうなの?」
「しかもこれ承認したヤツ、お前の上司だよ?」

戸惑いやら苛立ちやら何やらが胸の中を駆け巡った。

駆け巡りつつも、でもハナシは一旦聞こう、ということで、
「何か気になるポイントとか、やりづらいポイントとかありましたか?」と優しく聞いてみた。

聞いてみたけど、いろんなもんが駆け巡ってる胸の中のことでいっぱいいっぱいでその後のやり取りは正直覚えてないし、まあそんなに芯食ったこともお互い言ってなかったと思う。

なんやかんやでその場はしゃんしゃんな感じで終わって。

でも釈然としなかった僕は、ホームである企画部のフロアに戻ったとき、
雑談的にこのハナシを企画の先輩にしてみた。(もちろん、「お前は悪くないよ〜よくこらえてハナシ聞いたね、偉いね」なんて褒められることを無意識に期待しながら)

そんで返ってきたのが、

「まあ現場のヤツらは、売ってても偉くても“分かってる”人ってあんまいないからね、そんなもんそんなもん」

という反応だった。


見下し合いの無限ループ


その瞬間、頭の中にこんな図が浮かんだ。

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調べて分かったけど、ペンローズの階段っていうらしい。

あとはこんな場面も浮かんだ。

画像2


言ってしまえば「こ、こいつらお互いを見下しあっている、、!」

ということで、それで十分だからわざわざ画像検索する意味もないんだけど笑

無限に降り続けることができる(ように見える)階段の中腹に企画も現場も立っているんだなあ、、とか、「お前は俺の実力の50%にも及ばないんだ、、」みたいな見下し合いの無限ループの中に企画も現場もいて、
「やっちゃってんなあ」と思ったのを覚えてる。


こんなんどこの職場でもあるあるだろうし、
この場合は企画と営業、だったけど、これって経営と企画の間でも起こるかもだし、企画と開発、生産の間でも起こるかもだなあ、って思う。
でもあるあるってことは何かしら普遍的な課題を内在させているような気もするので、以降「なんでだろうね」っていうことを考えてみたい。

(前置き、なっが、、、、!)


企画と現場の分断はなぜ起きるか?


といってもコレ答えはあって、ひとえに「ものを見る粒度が違う」から。
に尽きると思う。


企画も営業も目指している先は本来一緒で、例えば「売上を最大化したい!」だったりする。なのになぜ見下し合いの無限ループが生まれるか。

ハナシを簡単にするために、コイントスを例にとってみたい。

コイントスの現場では、来る日も来る日も、
100人のコイントスマンたちがコインをトスして、「表がでた!」「裏が出た!」と報告してる。

コイントスの企画部門は、そんなコイントスマンたちの日々の結果を集計して、「大体表が50%、裏が50%くらいの確率で発生するな、、」なんてアタリマエの計算をわざわざしてる。

確率は試行回数が多いほど理論値に収斂していくはずで、
例えばコインの裏表を考える時、どう考えても50%ずつになる。気がする。

だけど、「実際にコインをトスしてるワタシ」とか「この一回のトス」のことだけを考えた時、「いや!俺はめっちゃ表出す方法を編み出したんだよね!」とか「5回やったけど全部裏だった!」みたいなことは全然あるわけで。

でもそれを企画に報告すると、「あ、それは誤差です。逆にめっちゃ裏でちゃってる人もいるんで、その人とプラマイで結局50%です」って話になる。

この「自分がやってみた感覚と、言われてる理論値の違い」っていうのが、いわゆる「企画と現場の分断」の正体なんだろうなと思う。

企画に「血が通ってない」「現場の感覚がわかってない」みたいな批判ってありがちだと思うけど、それはこんなふうに、現場で日々コインをトスする人たちの働きや、それによる結果の違いを「誤差」と片付けるから。

逆に企画の目線から見れば、結局「自分の感覚と違うから不安で吠えてるだけじゃん。ダルっ。」ということになり、企画の人が現場の人を見下す原因になってる。

じゃあ全体が見えてる企画のほうが偉いのか?
って言うと、そんなことは全く無くて。

企画の仕事なんてものは難しそうに見えて実はシンプルで、売上やらコストやら、なにかしらの数字にまつわる計画を立てて、それを経営と合意したり、対外的に発表したりするっていうだけ。

だけど、数字を出す以上は当然、その数字の妥当性を全方向から求められるわけで。

じゃあ妥当な数字って何?って言うと、結局の所「過去これくらいはできてたので、、」とか、「実績ベースの確率でいうとこれくらいなので、、、」っていうところに依拠するしかない。

そこは厳然たる数字の世界で、逆に言うと「現場の熱意」とか「ドラマ」みたいなものが介在する余地がないし、そうあるべきだとは思う。

「最近営業のみなさんのやる気がすごいので、今期は1.5倍売れます!」なんて企画のやつが言ってきたら、僕は経営者として全力ビンタをお見舞いすると思う。


でも、日々現場の色々と向き合ってる営業が偉いのか?
って言うと、そうでもない。だって現場の仕事があるのは、企画が売り物を作ってるから、だからね。


そんな世界で、それでも前に進むために


では僕らはどうやって「未来」を描くべきなのか。

過去に依拠して数字を作らざるを得ない企画部門。
でもその数字は現場が作ってきた数字。結局それは現場の働きの結果。
ということは、「過去の数字」の呪縛からはいつまで経っても抜け出せないのか?

答えは「そんなことはないはず」。だけど、

「答えは現場にしかないけど、どちらが欠けてもそれは見つけられない」

ということなんだろう、と現時点の僕は捉えてる。



企画的な未来の描き方と、現場的な未来の描き方がある。

全体を見やすい立場にいるのは企画部門なのは間違いない。
企画部門的な未来の描き方は、「構造を変える」とか「全員で同じことをする」とか、そういう仕組や数の力を使ったものになる。

一方で、現場にしかできないこともある。
それは例えば、「スーパープレーヤーになる」こと。

真偽のほどは定かではないけど、野球の世界では数千マンくらいの年俸が限界だったところに、落合選手っていう伝説的なプレーヤーが出てきて、何億円っていう年俸をもらうようになったことで、一気に億を貰える選手が増えたそうな。しらんけど。

営業マンが1000人いても全員がしょぼいやり方でやってたら意味はない。
スーパープレーヤーがひとりいても、一人だけだったら意味はない。

スーパープレーヤーをたくさん作るには、現場の出来事をつぶさに観察して、そこから少しでもヒントを得る企画の目と、

現場全員のヒントになるかもしれないような素晴らしい仕事を生み出すんだ、やりきるんだという現場の目、両方が必要なんだなあ、

と、土曜の昼にビールを飲みながら思ったのでした。

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旧友
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