製造業のサービス化で大切なこと ~私の体験から~
最近よくお問い合わせをいただいたり、ご支援の中で話題に上るテーマに
製造業のサービス化(サービタイゼーション)
があります。
製造業大手さんのサポートでは、ほとんどがこのテーマがらみです。
今回は「製造業のサービス化」について実例を交えてお話します。
|製造業のサービス化のパターン
製造業のサービス化とは
つくり手視点で言うと
商品(プロダクト)の製造販売にサービスの要素を付加するビジネスモデル
のことです。
最近注目されているビジネスモデルですね。
「モノ売り」→「コト売り」への転換もテーマとしては同じです。
一般的にお客様への価値の提供方法は
◆商品(モノ)だけ
◆サービスだけ
◆商品+サービスの両方
になります。
そのうち価値の提供方法が「商品+サービスの両方」であるのが
「製造業のサービス化」であり
これは大きく2つに分類できます。
① 商品を提供する製造業が
商品に付随するサービスも同時に提供していくパターン
② 商品を提供する製造業が
新たにサービス事業を提供していくパターン
|サービス化自体が目的になっていないか
2つのパターンに共通して言えることですが
「製造業のサービス化」でありがちなのが
サービス化することが自体が目的になってしまうことです。
そうすると、なかなかお客様にとってのメリットまで
考えが至らなくなってしまいます。
結果、サービスの方向性が見つからないことがよくあります。
まずは
① お客様にとっての価値は何か?
② お客様の事業がそれによってどのように発展するか?
をしっかり定義することが大切ですね。
そしてその上で
③ その手段としてその価値をどのように提供するのがよいのか?
この順で考えると方向性が見えてきます。
また以前の記事でも触れた
「人間の欲求は永遠に続き、それをテクノロジーが進化する」
はここでも当てはまります。
かつては、お客様の欲求をモノで満たしていました。
そこへインターネットやネットワーク、データ情報が普及して
サービス化が加わり、ビジネスモデルが変化してきます。
お客様の欲求(価値)が
モノそのものだけでなく、モノのサービス化へと転換していく
きっかけにもなります。
|ソニーでのサービス化事業の実例
私もソニー時代には、B2B事業で
・ソリューションビジネスの立ち上げ
・サービス事業の立ち上げ
を担当しました。
製造からサービスへの転換は
苦労などよく分かっているつもりですが
実際担当してみると、なかなか大変です。
実例としてソニーで担当したカテゴリーのひとつを挙げてみます。
【記録メディア事業の実例】
記録メディア自体はモノです。
ですが、お客様の欲求(価値)は
・映像や音声コンテンツのアーカイブ(保存)
・ディストリビューション(配布)
になります。
それが、次のように変遷していきました。
テープ → ディスク → HDD・メモリー → 配信(サービス)
この視点で
・自分たちが現在提供している商品(モノ)の顧客欲求(価値)は何か?
・その次の姿や究極の姿は何か?
を考えると、方向性が見えてきたりします。
また、ソニー時代の最後に担当した分野の実例を挙げてみましょう。
【放送局向けカメラの特殊機能の提供サービスの実例】
特殊機能とは、当時でいうと
8Kや超スーパースローモーション
などです。
従来は特殊機能をすべて商品に搭載していた
↓
(お客様)
すべてのカメラには不要
必要なカメラでのみ使いたい
↓
特殊機能を外だしし、
必要なカメラのみに搭載できるようにした
↓
(お客様)
必要なカメラもいつも使うわけではない
必要な時だけ使いたい
↓
MonthlyやWeekly など
一定期間だけ搭載できるようにした
↓
(お客様)
必要と思ったときにすぐに機能を購入し使いたい
↓
クレジットカード決済ですぐに
機能を有効化できるようにした(海外のみ)
このように提供する方法がどんどん発展していきました。
結果的にサービス化が進んだわけです。
|おわりに
実例を挙げましたが、実際にこれからのことを考えると
製造業がサービスとして価値を提供することはマストになるでしょう。
自社のビジネスに合う形は自社で考えて試してみるしかありません。
モノの製造とは全く異なる考え方と事業形態になるので、
まずは小さくトライアルして経験を積むことが大切だと思います。
ぜひ、お客様の価値から考えて
サービス化した方がよい価値をみつけて
サービス事業をトライしてみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
※ 新規事業開発や商品企画に携わる方の「お役立ち情報」として
以下の資料が無料にてダウンロードできます。
どうぞご利用下さい。
【新規事業開発・企画構想30チェックリスト】
【白神式企画構想書テンプレート(ppt版)】
※ 株式会社プリミスからWeeklyでメルマガを発行しております。
新規事業開発や商品企画、ビジネスに役立つ情報を発信しておりますので
是非ご登録下さい。