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失恋や失敗など、「嫌な出来事」が頭の中にこびりついて離れない事は、誰しも経験がある。そんなとき、どうやって頭を切り替えれば良いのか。その方法を書く。

■「嫌な出来事」はアウトプットしない

嫌な出来事を話さない、日記などに書かない。

嫌なことがあったとき、私は親友や家族などに話していた。例えば、上司からひどく怒られ、ショックを受けた時、そのことを短期間で2人の友人や妻に別々に相談していた。その時は、話すことですっきりした気持ちになるが、その後、何度もそのことを思い出し、なかなか忘れることができず、辛い思いをしていた

話すことは、アウトプットすることになる。つまり短期間に3人に話す事で、その記憶は強烈に記憶され、忘れいない状態になってしまう。これが脳の仕組みである。

そのようにアウトプットしてしまうと記憶に残ってしまう。より忘れられなくなるので、アウトプットで強化された記憶を消すのは、「friend = 友達」という単語を「忘れたい」というのと同じくらい難しい話になる。

「失恋した」「仕事で大失敗した」「上司に怒られた」など、ネガティブな出来事を、何でも人に話すことはしない方が良い。

■「一回ルール」を徹底する

とはいえ、「嫌な出来事を誰にも言わずに心にとどめておく」ということは、ストレスが溜まるし、非常に難しい。私もそうであった。

先ほど、「短期間に3回アウトプットすると強烈に記憶してしまった」という話だったので、「たった1回のアウトプット」であれば大丈夫である。

英単語の意味を、1回復唱しただけで覚えられる人はいない。それと同じで、嫌な出来事があった場合、「自分の一番信頼できる人に、その話を1回だけ話して、それで終わりにする」とするのがベストである。

これを「ストレス発散の1回ルール」とし、この「1回」を守る限り、ストレスも発散できるし、記憶も強化されない。「嫌なことをグチると、ストレスも発散できると」言われるが、話過ぎると、何ヶ月、何年も忘れられずに悩まされることになるので注意が必要である。

「1回しか話せないとなると、ストレスとが溜まる」という人がいるが、その場合は、1回の吐き出しが不十分である。すべての「ネガティブ」を吐き出しつくすぐらいのつもりで、話すようにする。

「1回吐き出したら、それで忘れる」ということを習慣にする

最初は大変かもしれないが、慣れるとできるようになる。「忘れる」というのも「練習次第」である。

■寝る前に「3行ポジティブ日記」を書く

それでも、「嫌な記憶」を振り払えないというときは、「3行ポジティブ日記」が有効である。夜、寝る前の時間帯は、嫌なことを最も思い出しやすい時間帯になる。「寝る前15分」は、記憶のゴールデンタイムなので、寝る前に「つらい出来事」「嫌な出来事」を思い出すと、それだけで記憶に残りややすくなってしまう。

特にメンタル疾患の人は、寝るときに「つらい出来事」を思い出し、不安になって眠れなくなる。寝る直前に「3行ポジティブ日記」を書いて、その内容をイメージしながら、楽しい気分のまま布団に入る。

人間の脳はマルチタスクができない。「楽しい出来事」を考えている限り「つらい出来事」は思い出されない。「楽しい出来事」を考えることによって、頭の中から「つらい出来事」を追い出すことができる。

私は、毎日、「Twitterで3行ポジティブ日記」を書いている。元々、私はネガティブ思考であったが、3行ポジティブ日記を続けるようになり、ネガティブな出来事の中でもポジティブな点を探すようになった。

例えば、難しいプロジェクトリーダーに任命された時、昔であれば、「自分にはできない」と毎日、辛い気持ちを引きづっていた。しかし、今では、失敗したとしても、この経験で何が学べるか、どんな成長できるかという視点になっている(嫌な気持ちを忘れている)。これも毎日、「3行ポジティブ日記」を書いていることで、ポジティブな点を探すという考えが脳に植え付けられているお陰である。

■1件落着させると忘れやすい

ここまでの方法を試しても、なかなか消えない過去の記憶もあると思う。既に起こってしまった過去のトラウマはなかなか消すことができない。

心理学で、「ツァィガルニック効果」という概念がある。人は、目標が完了されないタスクの方が、完了したタスクよりもよく覚えている傾向がある。一言でいうと、「1件落着した出来事は忘れやすい。継続案件は忘れない」ということである。

例えば、好きなテレビドラマやアニメを考えてみると、それらの第1話からのあらすじを話すことはできる。逆に「サザエさん」のような、「1話完結」のアニメは、3ヶ月前に見たエピソードのあらすじを思い出せる人は殆どいない。

「恋人と別れた」というのは、「終了(完結)」した出来事のように思うが、心の中では「未練」「悔しさ」「名残惜しさ」「怒り」など、さまざまな感情が渦巻いている。

わかりやすくいうと、「引きづっている」のである。

ですから、引きづってしまう出来事も、1件落着させることができれば、スッキリと忘れることができるが、「感情をひき続ける限り」、時間が経ってもわすれることができない。

■「事実」と「感情」を切り離す

ある出来事が起きると、私たちは「感情」反応を起こす、恋人に振られた、「悲しい」「未練(別れたくない)」という感情が沸き上がる。

上司に叱られると「怒り」「不条理」が沸き上がる

激しく感情が沸き上がると、人は物事を客観的に見れなくなる。

「事実」と「感情」が一体となり、客観性を失う。「事実」が「感情の濃霧」に覆われ、「事実」を正しく理解して対処することができなくなってしまう。さらに、感情的になって、泥沼にハマっていく。

「事実」と「感情」を切り離すこさえできれば、「ショックな出来事」「嫌な出来事」「トラウマ」も、自分で処理できるようになる。

最も簡単な方法は、「時間を置く」ということである。たとえば、恋人に振られて1年も経つと、「まあ、そんなこともあったね」くらいに、冷静にとらえられる。時間とともに「感情」は希薄化するので、「事実」と「感情」が切り離されて、冷静にみられるようになったのである。

しかし、「1年も待っていられない」思ったはずで、そこで、20分でできる「嫌なことを忘れる方法」が以下である。

1、頭の中からすべて出て行って消えなくなるイメージで、嫌なことをノートに吐き出しつくす。

2、10分~20分ほど時間を置いてから、ノートを開く。そこに書かれたものを、自分が書いたものではなく、「第三者である他人が書いたもの」と思って読み返す

3、第三者に向けて「専門家(カウンセラーや医師など)」になったつもりで、客観的にアドバイスを書いてみる

4、「それって、それほど落ち込むことじゃないよね」「そんなこと忘れて、次にすすんだらいいのに」「この先、きっといいことがあるから」と、アドバイスの方を思いつく限り、たくさん書く

これを実施すると、こころが浄化されるように、ものすごくスッキリする。2度目のノートを開いたときに、「人ごと」のように客観的に読めてしまう。これが、アウトプットによる「客観視」の効果である。

文章にすることで、「事実」と「感情」が切り離される。時間を置くことで、「感情」がさらに希薄になり、「他人事」として眺められるようになる。注意すべきは、このワークでも「1回ルール」を順守することである。同じ出来事について、2~3度も書くと、やはり記憶は強化され、忘れられなくなるので本末転倒である。

「嫌な出来事は徹底的に書き出した方がいい」というアドバイスもあるが、1回だけにした方が良い。「書く」ことは、「話す」こと以上に、記憶を増強しやすいからである。

ただし、このワークであれば、客観視のプロセスが入っているので、「感情で歪んだ解釈」が「冷静な解釈」に書き換えられるので安心である。

「嫌な出来事だけを徹底的に書き出す」ワークは、単に「嫌な記憶」を強化するだけなので、やめた方が良い。客観視して、ポジティブなアドバイスでしめることが大事である。

みなさんが「嫌な出来事を忘れて」、幸せな日々を暮らすことができるようになることを願います。



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