祇園祭、鉾を曳いた日
今日は祇園祭の曳初め。鉾の試運転をするのに、運がよければ一般の観光客も混ぜてもらえるという日。子どもに鉾を曳くという体験をさせたいし、私も祭りの空気を味わいたいしという願望から京都へ向かう。
11時すぎ四条に到着。お昼ご飯を食べるためそのまま地下から大丸へ行こうとしたけれども烏丸駅に降り立った途端流れてきたお囃子のテープにいてもたってもいられなくなり地上へ。函谷鉾はすでに前懸胴懸もかけられていて道ゆく人々がスマホやカメラを向けていた。
そこここで飛び交う怒号。けれどもみんな楽しそう。この雰囲気が祭り。
七月になると町はすました顔をひっくり返して、本当の姿を見せる。祭りが「出現する」感じ。今日までみんなどこに隠れていたのと尋ねたくなるような。「ハレ」とはこういう事なのだろうなと思う。この空気に身を浸すだけで胸がいっぱいになる。
それからはランチに大丸へ向かう。さらっとまわっただけだったけれどもこの時点ですでにもう満足という感じであった。
食べ終わってからは地下一階と一階で祇園祭関連のあれやこれやを見てまわる。
各鉾町で散財することを見越し祇園ちご餅だけ買って後にする。
臨場感があって熱かった(子どもは怖がっていたが)。真木が立つところまで見たかったけれどもまだかかりそうだったのでその場を後にしようとしたところ、ばったり友人に出会う。これも祇園祭の面白いところ。
それからは一緒に鉾めぐり。月鉾で一般人も曳初めに参加してもいいか尋ねたところ「いいよいいよ。15時ごろから始まるよ」と言われていたので14時半頃に会所前へ行ってみたところ、曳初めの一般参加はできませんという旨の貼り紙が貼られていた。そう、これも祭り……!私みたいなのがたくさんいたのかもしれない。ちなみにこの時点ですでに函谷鉾の曳初めは始まっていました。
鶏鉾はどうだろうと尋ねてみると「ここではやってないけれども菊水さんならやってるかもしれない」とのこと。それじゃあ行ってみようかと北へ行こうとしたところ、目の前に菊水鉾の綱が。一般の人も大丈夫とのことだったので持ってみると、すぐに北へ方向転換。それに伴い室町通を北進。
で、このときの四条通から室町通へ入るときの混雑がすごかった。来年は室町通を南へ下るようにして行こうと思う。という覚え書き。なんとか潜り抜けて綱を持つ。
そしてふと前を見ると、共通のお知り合いの方が。斜め向かいにも、その奥にも。みんな集合してるやん。「〇〇さん!」「××!××!」と大声を出して呼びかけあう。祭りです。そしてみんな確実にひける鉾を事前に把握しているあたり流石です。
それからは気持ちが昂ったまま一人、また一人とお別れ。それぞれ家に帰ったり、祭りの続きを楽しんだり。お祭りのこの、約束しなくても会える、ひとときをともにしても、行きたいところがあればさらりと別れる、一期一会な感じが好き。
最寄駅に降り立った瞬間、あれは本当だったのかなと、さっきまでのことがすべて夢のように感じられる。こうして文字に起こしている間も。けれども昨日の今頃の自分とはぜったいに何かが違っている。この感じもとても好きだ。