【お城のある絶景】三つの美城に会いにいく旅〜バーデン=ビュルテンブルク州編
三つの美城に会いにいく旅
暖かくなったら、きっとまた会いに行こう。そう決めていた。
久しぶりのバーデン=ビュルテンブルク州の美城たち。この春はにどうしても訪ねたい三つの美城があった。
まずは欧州最大級の壮大な要塞廃墟として知られるハイデルベルク城、それから崖の上に立つ幻想的な絶景が有名なリヒテンシュタイン城、そして私のドイツで一番好きなお城であり、異世界の様な天空の城、ホーエンツォレルン城の三つだ。
Blogはこちら:https://ks-castle.com/blog/awesome-castles-bw
ハイデルベルク城
そして遂に春がやって来た。まずは4月の終わりに、その三城の中でも一番アクセスが容易なハイデルベルク城に行くことにした。
ドイツ政府観光局のTwitterアカウントでも、ドイツの古城は人気テーマのようだ。お城好きとしては、やはりマメにチェックしたいアカウントで、よく投稿される大自然がバックにあるお城のある景観が特に好きで、旅の参考にしている。
https://twitter.com/GermanyTravelJP
電車に乗り、久しぶりに会えるハイデルベルク城の景観を頭に思い浮かべながらドキドキが止まらない道のりになった。小雨の中、中央駅からはバスで中世の街並みが残る市街地へと急ぎ、お城への急な石畳の坂道を登っていく。街から見上げるハイデルベルク城も迫力があるけれど、やっぱりお城好きとしてはお城の中にも行きたいし、特にテラスから眺める歴史的市街地の眺めも楽しみたいと思った。
高台から見下ろすハイデルベルクの街は、近隣の山から切り出した赤い砂岩の建造物群が雨と霧に包まれて独特で幻想的な雰囲気を作り出していた。
雨に濡れた石畳を慎重に降り、今度はネッカー川の方へと進む。
ネッカー川に掛かるアルテブリュッケ橋を渡り、橋と川越しに見上げるハイデルベルク城の美しさは、記憶に鮮やかに残る景観だ。
それに加え、今回はどうしても哲学の道を訪れたかった。お城の対岸にある哲学の道まで登り、ネッカー川とアルテブリュッケ橋を眼下に望み、同じ高さからハイデルベルク城を眺めることに憧れていた。
前回ハイデルベルクに来たのが随分前で、どこかに向かう途中に少し立ち寄っただけで、哲学の道を訪れる余裕がなかったので、今回楽しみにしていた。
哲学の道にアクセスする方法はいくつかあるが、私はアルテブリュッケ橋を渡ってすぐの『シュランゲンヴェーク(蛇の道)』をクネクネと上っていった。早る気持ちを抑えられず細い急な坂道を急ぎ、息切れしながらたどり着いて振り返ったら絶景!と思ったら、春になり青々してきた木々に阻まれて何も見えない!
気を取り直して哲学の道を少し西に歩いていくと、見えた!同じ目線の高さにどーんと聳え立つハイデルベルク城の眺めは圧巻で、どれだけ眺めていても飽きない。次に訪れる時は哲学の道をもっと散策してみたいと思った。
ホーエンツォレルン城
5月に入り、ジャケットのいらない日もあるくらい春真っ盛りになってきた。木蓮や桜が咲き乱れ、水仙やチューリップもカラフルで美しい。冬の間は、お城巡りは少しだけお休みして街歩きばかりしていたので、お城に飢えていたのかも、というのは半分冗談だけど、久しぶりに大好きなホーエンツォレルン城の顔を見たい気持ちが止まらなくなった。
初めてホーエンツォレルン城にいったのはいつだっただろう。遠くから見えてくる幻想的な天空の城のような景観を眺めながら、「あそこに行くんだ」とワクワクする気持ちが止まらなかったのを覚えている。
このお城の内部で一番好きなのは「家系図の間」だ。ドイツ語で家系図は「Familientammbaum(ファミーリエン・シュタムバウム)」と言う。「Baum(バウム、木の意味)」と言う単語が入っているのがロマンチックだといつも思うのだが、ホーエンツォレルン城の家系図は特に印象的なので、最初に行った時から鮮やかに記憶に残った。家系図を文字通り一本の巨大な木に見立てて壁いっぱいに描かれているのだ。上に向かってどんどんと枝を伸ばすように描かれた木は、もう天井に届きそうだけれど、今に至るまでのホーエンツォレルン城ゆかりの人物が細かく記載されている。プロイセン王国の本家だけあって、知った名前もあちこちに見受けられる。そして、一番上を見上げると、実はまだ名前の入っていない箇所が用意されているのも興味深い。
その家系図の間に一歩踏み入れた途端に数百年前にタイムスリップした感覚に陥る。別世界に一瞬で引き込まれ、次の饗宴の間とも言える「侯爵の間」の美しさにゆっくりと足を踏み入れてみた。細長い少し変わった作りの大広間は床から天井までとても豪華な作りになっている。木彫の家系図の間から一転、明るい色の大理石やシャンデリア、大きな窓が印象的で、更にドイツらしい豪華なフラワーアレンジメントもあしらわれていて、流石、名門ホーエンツォレルン家だと感じさせてくれた。
そこからどんどん書斎や寝室へと進んでいき、見学の終盤にあるのは「青のサロン」で、青を基調とした家具と壁紙や天井、調度品のゴールドの素敵な組み合わせになっている。少し谷側に張り出した窓の部分は明るくなっていて、優雅な午後のお茶の時間が過ごせそうだとついつい妄想してしまった。午後の日差しに光り輝く青のサロンは今回の訪問で特にお気に入りになった。やっぱり青、好きな色だな。こんなサロンでのんびりお茶の時間を過ごしてみたい!
ツェッラーホルン山頂
そして、今回はお城訪問の後に、天空の城ラピュ・・・ではなくホーエンツォレルン城を思い切り楽しめる場所に無意識に足が向いた。今回はお城に呼ばれていた、としか思えない、と言うのは、結構当てもなく適当に山を登ったらいつか来たかった憧れの場所に着いたからだ。よくパンフレットにあるような構図で、お城とは別の山に登り、お城を向かいから眺めたいなぁと思っていた。ハイデルベルク城の時と同じだけれど、こちらはもっと規模が違う。ここでもまた細い道をクネクネと40分ほど登っていくと、急にパァっと開けてツェッラーホルン山頂に到着。右を見ると「うわっ!」と思わず叫んでしまった。
目の前に「あの絶景」があった。SNSやパンフレットで何度となく目にし、憧れていたお城の一番素晴らしい景観。遠くに見えるいくつかの赤い屋根の街、金色に色づいてきた麦畑、春の緑に包まれる山、そしてその中心にはホーエンツォレルン城が聳え立っている。
ここだったのだ!息をするのも忘れるほど嬉しく、ありきたりな言葉だけど、感動した。
リヒテンシュタイン城
もうかなり満足していたけれど、せっかくなので帰り道にはもう一つの美城、リヒテンシュタイン城にも立ち寄った。ホーエンツォレルン城から車で約45分しか離れていない。本当は、ドイツいち美しいとも言われるリヒテンシュタイン城の景観を内部から見たかったけれど、ホーエンツォレルン城の方で時間を使ってしまい、こちらは時間内に敷地に入れなかった。
数年前に寄った時も閉館していて、なかなか簡単に会わせてくれない絶景を扉越しに想像する。未練がましく扉の隙間から除いたり、お城の周りを散策して素敵な景色を探した。もう薄暗くなってきた帰り道、何と崖の下からリヒテンシュタイン城の全景が見える場所を偶然発見!今日はついている。
でもその場所からお城を見上げたら、もっともっと行きたくなってしまった。
次回はリヒテンシュタイン城を中心に旅のプランを立ててみよう!
まとめ
ドイツに来てからは何年もずっと、たくさんのお城に行くことしか考えていなかったけれど、最近は、お城がある景観に魅かれる。そのためには何キロも歩くし、山だって登るようになった。
思えば、あのノイシュヴァンシュタイン城も切り立った崖の上に立つ美城で周りを取り囲む山と爆音を立てて落ちる滝がどの季節に行っても美しく、お城と大自然のパーフェクトマッチングとも言えるではないか。
夏には憧れのペラー渓谷を歩くハイキングコースが開通していればいいのだけれど。そうしたら、ノイシュヴァンシュタイン城を別の角度から見ることができる。ペッラート渓谷とペッラート滝の絶景を楽しめるルートは落石のために2年ほど通行止めになっているのだ。
そんなわけで、お城の絶景は簡単には会わせてくれないけれど、もう次の旅が待ち遠しくて仕方ない。帰ってきたばかりだけど、またカレンダーの隙間を探している私がここにいる。
さあ、あなたも一緒にお城のある絶景を探しに行こう!
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